多くの妊婦さんを悩ませる「つわり」ですが、その症状は吐き気が現れるだけとは限りません。なかでも「よだれつわり」はあまり知られていないつわりの一つ。友人や先輩ママに相談しても「そんなことあるの?」と驚かれることが多く、一人で不安を抱えている人もいると思います。そこで今回は、よだれつわりとはどういうものか、原因や時期、対策方法についてご説明します。
よだれつわりとは?
「よだれつわり(よだれづわり)」は医学的な用語ではありません。しかし一般的には妊娠してから大量のよだれが出るようになることをいいます。「唾液過多症」と呼ばれることもあり、通常より唾液が過剰に分泌されてしまうのです。
酸っぱい食べ物を口にしたときに、妊娠前より大量のよだれが出るケースもあれば、何もしていないのによだれが出続ける人、寝ているときもダラダラ出てくる人などがいます。
唾液の量も個人差があり、「少し増えたな」と思うくらいで飲み込んで対処できる程度の人もいれば、飲み込めないほどの量が出る人もいます。
つわりの症状としては、よだれの他に以下のようなものがあります(※1)。
- 吐き気・嘔吐
- 全身のだるさ
- 頭痛
- 眠気
- 食欲不振
- 嗜好の変化
よだれが増えると、そのせいで吐き気が引き起こされやすくなってしまうこともあります。嗜好の変化にともなってよだれが泥水のような味に感じたり、口の中がネバネバしたりする感覚が気持ち悪く、飲み込むたびに吐き気をもよおしてしまうのです。
量が増えた唾液を飲み込むだけでは対処できないのが、よだれつわりのつらいところです。
よだれつわりの原因は?
よだれつわりに限らず、妊娠初期につわりが発生する原因はよくわかっていません。しかし妊娠したことによりホルモンのバランスが変わること、精神的な変化などが影響していると考えられています。
つわりは一般的に50~80%の妊婦さんが経験し、特に初産婦さんの方がつわりになりやすいとされています(※1)。
よだれつわりはいつまで続く?妊娠中はずっと?
つわりは妊娠5〜6週頃に始まり、胎盤ができあがる妊娠12〜16週頃に落ち着くのが一般的です(※1)。よだれつわりも同じタイミングで終わりますが、他のつわりよりも長く続く傾向にあるようです。
人によっては出産まで大量のよだれが続いていて、出産を機に突然止まったということもあります。
吐き気がおさまっても、よだれだけは増えたままということはよくあることです。「よだれつわりは長く続く」と考えておくと、よだれが出続けていても過度に不安を感じずにすみますね。
よだれつわりの対策は?
一日中よだれが出続けると、日常生活にも支障をきたしますよね。おすすめの対策をいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
空のペットボトルを持ち歩く
飲み込めないほどに出てくるよだれをタオルやハンカチで拭くのは大変です。しかも、唇や口の周りが刺激されて荒れてしまうことも。
そこで、空のペットボトルを持ち歩き、よだれが出てきたら吐き出しましょう。ペットボトルにカバーをつけておけば中が見えないので飲むふりをして吐き出せます。
枕元にタオルやティッシュ、洗面器を置く
よだれは寝ているときにも出てきます。朝起きたら枕がよだれで濡れることも。枕にタオルを敷いておくと安心ですね。また、枕元に洗面器を置いておくと、夜中や朝に目覚めたときにすぐ唾液を吐き出せます。
脱水症状に注意
唾液の量に気を取られてしまいがちですが、その影響で脱水症状になる危険があります。妊娠中は通常よりも水分を必要とする時期ですが、よだれの分だけ水分は失われるので、意識的な水分補給が欠かせません。
特に体重が減少してきた、尿の回数や量が極端に減ったという場合は脱水症状の兆候なので注意が必要です。嘔吐を伴うとさらに水分が奪われるので、症状がひどいときは早めに医師に相談しましょう。
出てくるよだれを拭うためにタオルやティッシュを使うこともあると思います。そんなときは唇や口の周りが荒れないように、こまめにリップクリームなどでケアをしておくといいですよ。
よだれつわりはツボで緩和できる?
よだれつわりにはツボも効くといわれます。手と手首の境目になっているしわの中央から、指をひじに向かって三本分置いたところに「内関」というツボがあります。
これは吐き気や胃痛・二日酔いといった消化器系の不調に効果があるといわれており、よだれつわりにもおすすめです。
妊娠初期の過剰なよだれは医師に相談を
よだれつわりは、つわりの中ではそれほど知られている症状ではありません。周囲に同じ経験をしている人がいないと、自分だけがおかしいのではないかと不安になってしまいますよね。
しかし、つわりの症状は個人差があるものなので、過度に心配しすぎないでください。そして日常生活に支障が出ると思ったときは、無理をせずに早めに病院を頼りましょう。