妊婦のノロウイルス!原因と症状、治療法は?薬は飲める?

冬になると、毎年のように流行を見せるノロウイルス。「妊娠中にかかったら、どんな症状が出るの?」「胎児への影響はあるの?」など、気がかりなことがたくさんありますよね。そこで今回は、ノロウイルスに感染する原因と症状、治療法などについてご説明します。

ノロウイルスとはどんな病気?

飛沫感染 女性
「ノロウイルス」とは、秋口から春先にかけて感染する人が多い、冬型の胃腸炎や食中毒の原因となるウイルスです。感染すると、嘔吐、下痢などの症状を引き起こし、感染力が非常に強いのが、特徴のひとつです。

感染した人を介して集団発生することが多く、学校や保育園・幼稚園、福祉・養護施設などで、集団発生がよく見られます(※2)。

妊婦さんがノロウイルスにかかることはある?その原因は?

トイレとタオル
妊娠すると免疫力が下がり、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱まるといわれています。そのため、妊娠中は、ノロウイルスにかかりやすい状態だといえます。

ノロウイルスは、感染した人からうつる場合と、ウイルスに汚染された牡蠣などの二枚貝を生で食べたり、加熱不十分で食べたりして感染する場合があります。

人への感染は、接触(経口)感染が主なルートです。病原体に汚染された物(ドアノブや手すり、便座、タオルなど)の表面を介したり、病原体を含む大便や嘔吐したものを介して、口から体内に侵入することで感染します(※1)。

このほかに、飛沫感染や狭い空間での空気感染によって拡大したという報告もあります(※1)。

妊娠中のノロウイルスの症状は?

妊婦 腹痛
ノロウイルスに感染すると、妊娠の有無に関わらず、1〜2日間の潜伏期間を経て、吐き気、嘔吐、下痢などの症状があらわれます。そのほか、腹痛、頭痛、発熱、寒気、筋痛、咽頭痛、倦怠感などの症状があらわれることもあります(※1)。

症状の重さには個人差があり、すぐに回復する人もいれば、寝込んでしまう人もいるようです。

妊娠中の場合、つわりによる嘔吐なのか見分けがつかないことがあるかもしれませんが、発熱や腹痛などの他の症状があれば、ノロウイルスなどによる胃腸炎や食中毒を疑いましょう。

妊娠中にノロウイルスにかかったら、赤ちゃんに影響はある?

妊婦さん 腹痛 吐き気

妊娠中にノロウイルスにかかってしまったら、赤ちゃんに悪影響がないか心配になる人もいますよね。しかし、腹痛や吐き気、そしてノロウイルス自体に赤ちゃんへの影響はないとされています。

ただし、つわりがひどく体力が落ちていると、嘔吐や下痢をくり返すうちに脱水を引き起こす可能性もあります。妊婦さんが脱水を起こすと、赤ちゃんへの栄養や酸素が行き渡りにくくなるといわれています。

嘔吐がおさまったら、少量ずつ、こまめに水分を補給するようにしましょう。その際、体にスムーズに吸収される経口補水液がおすすめです。

つわりがひどく、もともと水分がとれていない場合は、病院で点滴を受けることもあります。

妊婦さんのノロウイルスの治療法は?

白湯 常温の水
ノロウイルスにかかってしまったとしても、基本的には特別な治療は必要ありません。体内に入ったウイルスの排出をすること治癒への近道なので、脱水に気をつけて安静にしていれば、数日程度で症状は治まるといわれています(※1)。

そのため、受診しても自宅で安静にするようにいわれる人も多いようです。

ただし、嘔吐がひどく水分を取れない場合は、すみやかにかかりつけの医師に連絡をしたほうがよいでしょう。

しかし、待合室で嘔吐するとほかの妊婦さんにうつしてしまう危険性があるため、産婦人科では受診を断られるケースもあるようです。ノロウイルスの症状が見られたら、ますは電話で問い合わせるようにしてくださいね。

妊婦さんはノロウイルスの治療薬を飲める?

市販薬
ノロウイルスの増殖を抑える薬はないので、医師にかっても、整腸剤や痛み止めを処方されたり、対症療法が取られることが一般的です(※1)。

しかし、妊婦さんに処方できる薬は限られているので、受診しても薬の処方はされず、脱水に気をつけて安静にするように言われることが多いようです。

激しい下痢や嘔吐はつらいものですが、自己判断で市販薬などを飲むのは避けてくださいね。

妊娠中のノロウイルスの予防法は?

二枚貝 牡蠣
ノロウイルスは、汚染された二枚貝を食べたり、感染した人に接触することで感染します。

ノロウイルスは熱に弱く、85度以上で、少なくとも1分以上加熱することで、ウイルスの感染性を奪うことができるとされています(※1)。妊娠中は、二枚貝の生食を避け、しっかり加熱調理するようにしましょう。

二枚貝を食べなくても、包丁やまな板、手指を介してサラダなどの生で食べる食材にウイルスが付着してしまう場合もあります。二枚貝の調理をする際は、生食をするメニューと使うまな板や包丁を分けたり、念入りに手洗いをするなど、衛生面に気をつけましょう。

家族に感染した人が出たら?

感染した人から排泄された嘔吐物や便にも、ウイルスの感染性は残っています。

症状が落ち着いてからもしばらくは、同じタオルなどを使うのは避けるようにしましょう。そのほか、トイレに嘔吐をしたり、便を流すときは、ふたをしてから水を流すとウイルスが飛散しにくくなるといわれています。

床などに嘔吐をした場合は、次亜塩素酸ナトリウムで消毒をするとウイルスの感染性を奪うとされています(※1)。拭き取る際に、飛散したウイルスを吸い込んだり、素手で触れないようにマスクやゴム手袋をしてから処理をすると安心ですね。

妊娠中はノロウイルス予防・対策を!

手を洗う様子
前述のように妊娠中はホルモンバランスの変化から免疫力が下がり、ウイルスに対する抵抗力が弱まります。また、つわりや体調の変化で、体力が落ちている人も多いでしょう。

疲れを感じたときは早めにしっかりと休息を取り、栄養価の高い食べ物で免疫力アップを心がけましょう。また、帰宅後は、家族みんなで手洗い・うがいも心がけましょう。

冬場は、感染力の強いノロウイルスやインフルエンザなどが猛威を振るいます。用がなければ混雑した場所への外出は控え、万全の体調で赤ちゃんを迎えたいものですね。

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