お腹にいる赤ちゃんのことも考えると、妊娠中は体調を崩さないように気をつけたいもの。特に冬はインフルエンザが流行するので、自分や家族がかかってしまったらどうしよう…と心配な人も多いのではないでしょうか。
今回は、妊婦さんがインフルエンザにかかったときの対処法や胎児への影響、予防接種は受けていいのかなどについてご説明します。
妊婦はインフルエンザが重症化しやすいの?胎児に影響は?
一般的に、インフルエンザウイルスに感染すると38℃以上の発熱や頭痛、関節痛などの症状が見られ、ほとんどの人は1~2週間ほどで自然に治ります。
しかし妊婦さんは通常よりも体力や免疫力が下がっているため、インフルエンザにかかると肺炎などの重い合併症を起こすこともあり、妊娠週数が進むにつれて重症化のリスクが高くなると報告されています(※1,2)。
また妊婦さんがインフルエンザにかかると、自然流産や早産につながることも稀にあると言われています(※1)。
「妊娠初期にインフルエンザにかかると、胎児に神経管閉鎖障害や心奇形などを引き起こす」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
しかしこれらの先天異常は、インフルエンザウイルスの直接的な影響というよりも、妊婦さんの高熱も影響しているのではないかと言われており、発症後早めに適切な治療を受ければ奇形などのリスクは上昇しないとされています(※1)。
こうした理由から、妊婦さんは感染予防を徹底すること、もしインフルエンザにかかった場合はすぐに治療をすることが大切です。
妊婦はインフルエンザの予防接種を受けられる?
インフルエンザの重症化を予防する最も有効な方法は、インフルエンザワクチンの接種を受けることです。
「妊娠中に予防接種を受けてもいいの?」と不安になる人もいるかもしれませんが、妊婦さんに対してもインフルエンザの予防接種が推奨されています(※1)。
妊娠中に予防接種を受けても、母体・胎児ともに悪影響を及ぼさないと考えられており、先天異常が起こりやすくなるという報告もありませんよ(※1,3)。
ただし、インフルエンザワクチンには製造過程で微量ですが卵の成分が入るため、重度の卵アレルギーや鶏肉アレルギーがある妊婦さんは注意が必要です。
ワクチンを受けることによって血圧が急激に下がるなどのアレルギー症状を起こす恐れがあるので(※2)、予防接種を受ける前に、必ず病院で医師に確認しましょう。
妊娠中にインフルエンザワクチンを接種することにより、生まれてくる赤ちゃんが生後6ヶ月までインフルエンザにかかる確率が下がることが分かっています(※1)。
生後半年未満の乳児はインフルエンザワクチンを打つことができないので、妊娠中に予防接種を受けておくと、赤ちゃんの健康を守ることにつながりますよ。
妊婦がインフルエンザの予防接種を受けるべき時期は?
インフルエンザの予防接種は、妊娠中のどの時期に受けることも可能です。
インフルエンザワクチンは接種してから効果が現れるまでに約2週間かかるため、妊娠週数を問わず、インフルエンザが流行する少し前の10〜12月中旬に予防接種を受けることが推奨されています(※1)。
妊婦がインフルエンザにかかったら?タミフルは飲める?
妊婦さんがインフルエンザにかかった場合、妊娠していない患者さんと同様「タミフル」や「リレンザ」などの抗インフルエンザ薬が処方されます。
妊娠中は薬を飲んでもいいのか迷うかもしれませんが、これまでの調査結果から、タミフルやリレンザが胎児に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられていますよ(※3)。
抗インフルエンザ薬は、ウイルスの増殖を抑え発熱期間を1〜2日間短くする効果があります。しかし、発症後48時間以内に服用しなければ効果が発揮されないため、インフルエンザを疑う症状が現れたら早めに内科を受診しましょう。(※2)。
妊娠中はインフルエンザをしっかり予防しましょう
妊婦さんはインフルエンザが重症化しやすいと言われているので、流行する前に予防接種を受けるようにしましょう。パートナーや同居している家族も一緒にワクチン接種をすると安心です。
また栄養バランスの良い食事で体力をつける、手洗いや手指の消毒をしっかりする、部屋の空気を乾燥させない、外出するときはマスクをつけるなど、日常生活の中でもインフルエンザの感染予防をしましょう。