性行為で出血…原因は?鮮血や茶色の血は病気の可能性もある?

監修医師 産婦人科医 山本 範子
山本 範子 日本産科婦人科学会専門医。平成5年、日本大学医学部卒。日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。現在は港区の日野原... 監修記事一覧へ

女性にとって、生理期間以外の出血はとても気になるものです。ましてや、パートナーと性行為を行った際に出血したとなると、「何か悪い病気なのでは?」と不安が高まるのではないでしょうか。今回は、性行為で出血が見られた場合、考えられる原因と対処・治療法、不妊リスクについてご説明します。

性行為で出血することもある?

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まず、生理ではないときに見られる性器からの出血を「不正(性器)出血」と呼びます。

性行為によって出血する場合は、腟や子宮などの器官に炎症が起きている、腫瘍ができている、外傷があるなどの可能性があります(※1,2)。

性行為で出血する原因は?鮮血や茶色の血が見られるときは?

生理 ナプキン 漏れ

性行為をして出血が起こる場合、次のような原因が考えられます(※1)。

経血の残り

生理が終わってしばらくの間は、性行為中に経血の残りが出てくることもあります。この場合、茶色がかったおりものが見られます。

外傷

腟やデリケートゾーンに傷がある場合、性行為の刺激で出血することがあります。

子宮腟部びらん

子宮腟部がただれているように見える状態を「子宮腟部びらん」といいます。若い女性ではよく見られるもので、病気ではありません。

ただし、びらん部分は刺激に対する抵抗力が弱いため、刺激が加わると出血しやすく、性行為中や性行為後に鮮血が見られることもあります。

炎症

腟から細菌感染していたり、出産や流産手術によって子宮の中が傷ついて「子宮内膜炎」にかかっていたりすると、不正出血が見られることがあります。

良性の腫瘍

子宮頸部や子宮内膜にポリープができていたり、子宮筋腫があったりすると、性行為による擦れなどが原因で出血することもあります。

悪性の腫瘍(がん)

子宮頸がんや子宮体がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍は、初期にはほとんど自覚症状がありません。

しかし、進行すると不正出血が見られ、性行為の際も血が混じった茶色っぽいおりものが出たり、出血したりすることがあります。

性行為で出血!病院に行く目安は?

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前述のとおり、性行為の際に不正出血が見られた場合、様々な要因が考えられます。

シーツや下着に少し血液が付着する程度であれば、腟に傷がついていて皮膚が敏感になっているだけの可能性が高いので、急いで病院を受診する必要はありません。

ただし、出血の量が生理のときのように多い、性行為のたびに出血する、性行為後しばらくたっても出血が続くということであれば、念のため婦人科で相談すると安心です。

また、不正出血のほかに、下腹部痛や腰痛、発熱、寒気などがある場合は、何らかの病気が原因の可能性もあるので、できるだけ早く婦人科を受診しましょう。

性行為で出血したときの治療法は?

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性行為による出血の原因が、炎症や腫瘍など婦人科系の病気である場合、その病気に合わせた治療を行う必要があります(※2)。

炎症

腟や子宮が炎症を起こす原因は、細菌や真菌、ウイルス、原虫など様々です。

まずはその原因を検査で突き止め、それぞれに効果がある抗生物質などの薬で治療を行います。

良性の腫瘍

子宮頸管のポリープが小さい場合、病院の外来で切除することが可能で、ほとんど痛みはありません。子宮内膜のポリープや、ポリープの根元が太く大きい子宮頸管ポリープは、入院して手術する必要があります。

子宮筋腫は、大きさや症状によっては経過観察となりますが、場合によっては薬で筋腫の発育を抑えたり、筋腫を取り除く手術をしたりすることもあります。

これらの良性の腫瘍は、大きくなるようであれば悪性(がん)の可能性もあるので、慎重に検査・治療する必要があります。

悪性の腫瘍(がん)

子宮や卵巣にがんが見つかった場合、その進行状況や子供を希望するかなどによって治療方法が異なります。

転移がなく、将来的に子供を希望する場合は、がんの部分だけ手術で取り除き、あとは放射線治療などを行うこともありますが、状況によっては子宮や卵巣ごと摘出しなければならないこともあります。

そのため、できるだけ早い段階で検査を受け、早期治療に取り組むことが大切といえます。

性行為の出血は、不妊につながるの?

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性行為で出血したからといって、必ず不妊につながるというわけではありません。

しかし、生理以外での性器出血は、女性が妊娠・出産するにあたって大切な器官である子宮や卵巣に何らかの異常があるサインである可能性もあります。

生殖器のトラブルをそのまま放置してしまうと、将来的に不妊につながってしまうこともあるので、先述の病院に行く目安を参考に、婦人科を受診してくださいね。

出血の有無を問わず、定期的に婦人科検診を受けることも大切です。

性行為の出血が気になるときは婦人科へ

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性行為による出血がある場合、子宮腟部びらんなどの場合は特に治療がいりませんが、子宮がんなどの病気が隠れている可能性もゼロではありません。血を見ただけでは自己判断が難しいこともあると思うので、少しでも迷ったら婦人科を受診してくださいね。

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