妊娠中に頭痛に悩まされている人は多いですよね。もともと飲みなれた頭痛薬を使ってすぐに痛みを和らげてもいいのでしょうか。
そこで今回は、妊娠中に頭痛薬を飲んでもいいのか、カロナールやロキソニンは大丈夫なのか、頭痛薬を使わない対処法などをご説明します。
妊娠中は頭痛が起こりやすい?
妊娠するとどうしても運動不足気味になり、体の血行が悪くなりやすいです。
血行不良は首や肩の凝りを引き起こして、後頭部から首筋にかけて頭全体が締めつけられるように痛む「緊張性頭痛」の原因となります(※1)。
ストレスや、不安なども原因となるため、妊娠中は緊張性頭痛が起きやすい状態ともいえます。
一方で、ズキンズキンと脈を打つような強い痛みが起こる「片頭痛」は妊娠中には軽減する傾向があるとされていて、特に妊娠後期では60〜80%の人が片頭痛発作が軽くなるといわれています(※2)。
もし頭痛のほかにむくみが見られる場合は「妊娠高血圧症候群」、目のかすみがある場合は「子癇(しかん)」などの前兆の可能性もあるので、すぐにかかりつけの産婦人科を受診してくださいね(※3)。
妊婦は頭痛薬を飲んでもいい?赤ちゃんへの影響は?
妊娠4週から15週の間は赤ちゃんの重要な器官が作られるため、薬の影響を受けやすい時期です(※3)。
また、ほとんどの頭痛薬(NSAIDs)に含まれる成分は、おなかの赤ちゃんの血管や腎臓に悪影響を与える可能性があることがわかっています(※4)。
そのため、妊娠初期に限らず妊娠中は原則として頭痛薬を使わないか、どうしても必要な場合には医師に相談してから飲むようにしましょう。
妊娠中に飲める頭痛薬はあるの?カロナールは?
一部の頭痛薬は、妊娠中でもある程度安心して飲むことができるとされています。
妊娠中に飲む頭痛薬としてよく選択されるのは、カロナールなどの「アセトアミノフェン」という成分を含んだ薬です。
アセトアミノフェンは、赤ちゃんの奇形を引き起こすリスク(催奇形性)の報告がなく、適切な量を守れば妊娠初期の妊婦さんが飲んでも問題ないとされています(※5)。
ただし、妊娠末期では赤ちゃんの血管に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。また長期間飲み続けていると、赤ちゃんの神経や運動能力の発達障害との関連も指摘されています(※5)。
このためアセトアミノフェンは漫然と飲むのではなく、症状があるときだけ短期間飲むほうが安全です。
妊娠中にイブやバファリン、ロキソニンは飲んでもいいの?
妊娠前に、市販の頭痛薬の「イブ」や「バファリン」「ロキソニン」を服用していた人は多いと思いますが、これらの市販薬は妊娠中に服用しても良いのでしょうか。
イブ
主成分は?
イブプロフェン
妊娠中に飲める?
イブの主成分であるイブプロフェンは非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)に分類され、妊娠後期の服用は推奨されていません。
イブシリーズは出産予定日12週以内の人の服用を禁止しています(※6)。
バファリン
主成分は?
アスピリン
妊娠中に飲める?
バファリンの主成分であるアスピリンも非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)に分類され、妊娠後期の服用は推奨されていません。
バファリンプレミアムDX、バファリンプレミアム、バファリンA、バファリンライト、バファリンルナiは、出産予定日12週以内の人の服用を禁止しています(※7)。
ロキソニン
主成分は?
ロキソプロフェンナトリウム
妊娠中に飲める?
ロキソニンを含む頭痛薬も非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の一種で、妊娠後期の服用が推奨されていません。
ロキソニンS、ロキソニンSクイック、ロキソニンSプレミアム、ロキソニンSプラス、ロキソニンSプレミアムファインは、出産予定日12週以内の人の服用を禁止しています(※8)。
どの薬も妊婦さんは服用前に医師に相談するよう明記されているので、市販の頭痛薬を飲む場合は、必ずかかりつけの産婦人科医に相談してくださいね。
妊娠中に頭痛薬を使わずに対処するには?
妊娠中の頭痛はできるだけ薬に頼らず、生活習慣の見直しや対症療法で改善することが大切です。
ストレスや疲れが頭痛を悪化させることがあるので、日頃からたっぷり睡眠をとり、無理のない範囲で体を動かして血行を良くしておきましょう。
化学成分の入った薬に抵抗がある場合、体質にあった漢方薬が処方してくれることもあります。
まずはかかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談してくださいね。
妊娠中の頭痛がつらいときは医師に相談を
頭痛がひどくなると、ほかに何も手につかなくなるほどつらいときもありますよね。ただし、妊娠中は服用するべきではない頭痛薬も多いので、購入・服用する前にまず医師に相談するようにしましょう。