赤ちゃんの予防接種後の副作用(副反応)って何が起こる?風邪との違いは?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「赤ちゃんに予防接種を受けさせたところ、発熱してしまった」という経験をすることがあります。これは予防接種後に起きる副作用(副反応)で、決して珍しいことではありません。それでは、予防接種を受けて発熱などの副作用(副反応)が出てしまった場合、どう対処すればいいのでしょうか?今回は赤ちゃんの予防接種後の副作用(副反応)について、症状や対処方法などをご説明します。

赤ちゃんの予防接種後の副作用(副反応)とは?

予防接種 日本人

予防接種は、対象となる病気への免疫を作るために行います。

予防接種では、毒性を弱めたりなくしたりしたウイルスや細菌に似たタンパクなどを体内に入れて、病気に似た状態を起こします。

毒性を弱めたりなくしたりした病原体などを一度体内に入れることで、赤ちゃんには免疫ができ、その後、同じ病原体が体内に侵入してきても、発症や重症化を予防することができるのです。

ただし、毒性が弱められたりした病原体とはいえ、体にとっては異物であることには違いありません。そのため、予防接種をした後は、副作用として体が何らかの反応を起こすことがあります。

予防接種によって起こる副作用のことを「副反応」といいます。

副反応の主な症状には以下のものがあります(※1)。

  • ・ 発熱する
  • ・ 注射したところが腫れる・硬くなる
  • ・ 赤ちゃんの機嫌が悪くなる

ごくまれに痙攣、脳症、アナフィラキシーショック(呼吸困難・じんましん・嘔吐)などの重い症状が現れることもあります。

赤ちゃんが予防接種後に副作用(副反応)が起きたときの対処法は?

新生児 赤ちゃん 発熱 体温計

予防接種を受けた後に赤ちゃんに副反応が起きたときは、症状の重さによって対応が異なります。

基本的には、予防接種の副反応は、 1~2日で自然に治まって消えていくことがほとんどです(※3)。

予防接種の副反応によって赤ちゃんが発熱した場合、脱水症状にならないようにおっぱいやミルクなどでの水分補給をこまめに行いながら、様子を見ます。

ただし、痙攣や意識低下、あざが増える、鼻出血や歯肉出血が続くなどの重篤な副反応が起きた場合、すぐに病院を受診してください。

症状が重篤かどうかの見極めが難しいときは、予防接種を受けた医療機関に問い合わせたり、小児救急電話相談(#8000)に電話をしたりして(※2)、相談してください。

また、3〜4日経過しても赤ちゃんの発熱が続いたり、予防接種をした腕の上部から肘を超えて広がるような強い腫れが続くときは、予防接種を受けた病院に相談しましょう。

赤ちゃんの予防接種後の副作用(副反応)で注意すべきことは?

女の子 赤ちゃん 日本人 初節句

予防接種後に赤ちゃんに重い副反応が起きることもあるので、予防接種を受けた後は、接種場所で30分間安静にしましょう。

すぐに帰宅しなければならない場合は、赤ちゃんに副反応が起きたらすぐに病院へ連絡をとれるようにしておきます。

おたふく風邪やBCGなどの生ワクチンを受けた場合は予防接種から3週間以内、インフルエンザなどの不活化ワクチンを受けた場合は接種から24時間以内に、副反応が起きることがあるとされています(※3)。

赤ちゃんに発熱などの症状が出ていなければ、予防接種当日でもお風呂に入ることはできます。ただし、注射を打った部分をゴシゴシ洗ったり、強くこすったりしないように注意してください。

子供が大きくなると、予防接種をした当日は、激しい運動を控えるようにいわれることがあります。ただし、赤ちゃんが激しい運動をすることはないので、予防接種の当日は普段通りの生活を送っても問題ありません。

赤ちゃんの予防接種後の副作用(副反応)の発熱と風邪を見分けるには?

赤ちゃん 鼻水 風邪 日本人

予防接種の副反応による発熱と、風邪による発熱はなかなか見分けがつきにくいかもしれません。

予防接種の副反応によって赤ちゃんに熱が出ている場合は、注射した部分が腫れたり硬くなったりと、皮膚の異常が見られることがあります。

赤ちゃんが風邪で熱を出している場合、発熱以外に咳や鼻水、嘔吐や下痢といった症状が現れる可能性があります。

予防接種後に赤ちゃんが熱を出して、原因が分からず対処に困ったときは、医師に相談するようにしましょう。

赤ちゃんが予防接種後に重い副作用(副反応)!医療費は国が負担してくれる?

お金 100円 費用 価格

予防接種は、赤ちゃんが感染症などにかからないために行いますが、ごくまれに、病気になったり、障害が残ったり、死亡するなどの健康被害が発生することがあります。

予防接種によって健康被害が起きた場合は、医療費や手当が給付されます。

申請手続きや給付の種類・金額など詳しい情報は住んでいる自治体の窓口に確認してください(※4)。

赤ちゃんの予防接種の副作用(副反応)について正しく知ろう

赤ちゃん ママ 日本人 コミュニケーション

「予防接種は病気を予防するためのもの」というイメージが強いと、予防接種によって赤ちゃんに発熱が起きるといったことがなかなか想像できないかもしれません。

しかし前述の通り、予防接種を受けると、赤ちゃんに発熱や皮膚の腫れなどの副反応が起きることがあります。

予防接種を受けたあとは副反応に迅速に対処できるように、予防接種を受けた場所でしばらく安静にして過ごしましょう。

そして、副反応が起きたときは、すぐに医師に相談してください。

予防接種の副反応に関する正しい知識を身につけ、赤ちゃんの健康を守っていきたいですね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう