揺さぶられっ子症候群とは?症状は?親が気をつけたい3つの予防法

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

泣き止まない赤ちゃんをあやしていて、少し強めに揺らしてしまったときに「揺さぶられっ子症候群になってしまうのでは?」と不安を感じたママやパパは少なくないようです。赤ちゃんの死亡事例もある揺さぶられっ子症候群ですが、どの程度の揺れでなってしまうかがわからないと、いたずらに不安だけが一人歩きしてしまいますよね。今回は、揺さぶられっ子症候群について、どんな場合に起こるのか、どんな症状が出るのか、対処の仕方など、気になるポイントをご紹介します。

揺さぶられっ子症候群とは?新生児にも起きる?

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揺さぶられっ子症候群とは、赤ちゃんの体に強い振動や長時間の振動を与えたことで、脳内で出血などの障害が引き起こされることをいいます。「揺さぶられ症候群」と呼ばれることもあります。

揺さぶられっ子症候群は主に新生児~生後6ヶ月の赤ちゃんに起こります(※1)。低月齢の赤ちゃんは体に対して頭が重く、頭を支える首の筋肉も弱いからです。脳自体も未熟で頭蓋骨との間に隙間があいているので、頭を強く揺らされると脳が動いて血管が切れてしまうことがあります。

この結果、脳血管からの出血により命にかかわる事態を招いてしまいます。生後半年を過ぎれば首も据わり、体の揺れに対しても反射的に体をこわばらせて防御できるようになるので、揺さぶられっ子症候群になる可能性はほとんどなくなりますよ。

揺さぶられっ子症候群が起こる揺れとは?バウンサーや車の振動は大丈夫?

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実際どれくらいの振動や揺れで揺さぶられっ子症候群になるのかを知らないと、赤ちゃんと接するのが怖くなりますよね。バウンサーで少し強く揺れたり、ベビーカーや車でガタゴト強く揺れたりしたときはどう考えればいいのでしょうか。

基本的には、常識的な範囲で接していれば問題ありません。高い高いや、バウンサー・車で少し強めに揺れてしまったと思っても、揺さぶられっ子症候群になることはありません(※2,3)。ただし、長時間のドライブなどでは1時間に1回程度は休憩することをおすすめします。

揺さぶられっ子症候群になりえる揺れは、赤ちゃんの頭が前後にガクンガクンと激しく揺れるようなときと考えてください。具体的には、「2秒間に5~6回ほど強く・速く頭を揺らすことを15秒以上」が目安です。

「高い高い」では揺さぶられっ子症候群になりにくいと考えられますが、誤って赤ちゃんを頭から落とし、床に頭をぶつけてしまうリスクがあるので、止めておいたほうが良いでしょう。

揺さぶられっ子症候群の症状と対処法は?

救急車

もし赤ちゃんに強い振動や長時間の振動を与えてしまった場合に、以下のような症状がいくつか現れていれば、揺さぶられっ子症候群が起きている可能性があります。すみやかに脳外科医のいる救急病院へ連絡しましょう。

● 顔色が悪く、ぐったりしている
● 母乳やミルクを全く飲まないか、吐いてしまう
● 全く泣かない、笑わない
● 10分以上激しく泣き続けている
● 痙攣(ひきつけ)を起こした
● 目の焦点が合わない

処置が早ければ早いほど揺さぶられっ子症候群から回復する可能性がありますが、処置が遅れるほど重篤な障害のリスクが高まります。また揺さぶられっ子症候群が軽度の場合は、数ヶ月経って初めて発達が遅れているなどの異常が判明するケースもあります。

揺さぶられっ子症候群になった後にどう対処するかではなく、普段から予防策をとっておくことが肝心です。

揺さぶられっ子症候群を防ぐ赤ちゃんのあやし方は?

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ついうっかりやったことが揺さぶられっ子症候群を招いてしまう、ということが起こらないように、普段から注意することが大切です。大切なのは、赤ちゃんをあやすときはしっかりと頭を支えてあげることと、無理に頭を揺らすような状況を避けることです。

それほど力を入れたつもりはなくても、首がすわっていない赤ちゃんには強い揺れを感じさせてしまうこともあります。首をしっかりと支え、ガクンガクンと首を揺らさないようにして、揺さぶられっ子症候群にならないようにしましょう。

揺さぶられっ子症候群の3つの予防法とは?

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特に揺さぶられっ子症候群が起こる場面で多いのは、赤ちゃんが泣きやまずママやパパがイライラしてしまったときです(※3)。

「なぜ寝てくれないんだ!」「泣いている理由がわからない…!」といったイライラにストレスを感じてしまい、思わず赤ちゃんの肩をもって前後にゆさゆさと揺らしてしまうことが揺さぶられっ子症候群の原因として挙げられます。

赤ちゃんが泣きやまない理由としては、甘えたい、おなかがすいた、暑い・寒い、寂しいなど、さまざまです。予防法として、以下の3つの方法を試してみましょう。

1. 赤ちゃんが欲しがっていると思うものを試す

母乳やミルクをあげたり、オムツを替えたり、抱っこをしたり、汗を拭いてあげたり、赤ちゃんが不快に思う可能性のあることを、一つずつ試してみましょう。赤ちゃんのオムツの中や服の下の汗をかきやすいところを含めて、変わりがないことを確認してください。

2. お腹にいたときの状態を再現する

赤ちゃんはお腹にいたときの頃を思い出すと、リラックスして自然と泣き止むとされます。例えば、おくるみで包んであげたり、妊娠中のお腹の中の音に近い「サー」という音を聞かせたり。ガサガサ音や掃除機の音、水が流れる音も赤ちゃんの泣き止みに効果的といわれています。

3. 一旦その場を離れて深呼吸

これらの方法を試しても泣き止まずにイライラしてきたら、まずは一度その場を離れましょう。

ストレスのコントロールは、子育てには特に重要なことです。旦那さんに任せるか、赤ちゃんをベビーベッドなどの安全な場所に移動させ、深呼吸したり、家事をしたりして落ち着いてから、赤ちゃんの様子を見てあげましょう。

また、赤ちゃんが生後1ヶ月を過ぎていたら、数分で良いので外の空気を吸わせてみると、泣き止むことがあります。赤ちゃんもママ・パパも、気分転換が重要ですよ。

小さな心がけで揺さぶられっ子症候群の危険は防げる

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赤ちゃんと普通に接していて揺さぶられっ子症候群が起きてしまうのはきわめて稀です。ほとんどの家庭では心配しすぎることはありません。ただ、ママやパパも人間なので、赤ちゃんが泣き止んでくれないときにイライラしてしまって、強く当たってしまうことが絶対ないとは言い切れません。

余裕がなくイライラしている自分に気がついたときは、我慢せずにパートナーや医師などに相談しましょう。1人でがんばりすぎないことも、揺さぶられっ子症候群を引き起こさないためには大切ですよ。

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