離乳食が3回食になると、卒乳のタイミングを意識し始める人も多いのではないでしょうか?卒乳というとおっぱいからの卒業をイメージしがちですが、ミルクにも卒乳があります。そこで今回は、ミルクはいつまで飲ませて良いのかや、上手な卒乳方法についてご説明します。
赤ちゃんのミルクはいつまで?
赤ちゃんにミルクや母乳をいつまで与えてよいという目安に、特に決まりはありません。
小児科医をはじめとする専門家の間でも意見は分かれていて、特定の時期に断乳を勧める人もいれば、赤ちゃんが自然にやめるまで飲ませることを勧める人もいます。
厚生労働省では卒乳を下記のように定義しています。
「卒乳とは、赤ちゃん主体で行い、自然に母乳を欲しがらなくなるまで続けること」
そのうえで、卒乳の進め方について下記のように発表しています。
「いつまで母乳を続けるのかが適切かに関しては、母親の考えを尊重した上で支援を勧めていきたい」
引用:医学書院『母乳育児支援スタンダード』p.438
赤ちゃんが、エネルギーや栄養素の大部分を粉ミルクや母乳以外から摂れるようになることを「離乳の完了」といいますが、離乳の完了は「ミルクや母乳を飲んでいない状態」を指すわけでなく、「赤ちゃんの離乳の進み具合に応じてミルクや母乳を与える状態」と定義されています(※1)。
赤ちゃんには個人差があるので、「ミルクはいつまでか」ということにこだわりすぎず、赤ちゃんの成長にあわせて卒業することが何よりも大切ですね。
赤ちゃんがミルクをやめる目安はあるの?
厚生労働省によると、ミルクと母乳で卒乳のタイミングに違いはなく、1歳〜1歳6ヶ月頃には、1日3回の離乳食と1〜2回のおやつから、エネルギーと栄養素の大部分を摂ることが目安とされています(※1)。
ただしこれは先にもご説明した離乳の目安であり、この時期に完全にミルクをやめなければいけないというわけではありません。
そこで、ここではミルク卒業のきっかけとなる赤ちゃんの成長をいくつかご紹介します。赤ちゃんには個人差があるので、赤ちゃんの様子を最優先にして検討してくださいね。
離乳食をしっかり食べるようになった
1日3回の離乳食と1〜2回のおやつをしっかり食べ、体重が成長曲線に沿って増えていれば、ミルクからの卒業を考えて始めてもよいでしょう。
体重は、必ずしも成長曲線の範囲に治まらなくても、カーブに沿って増えていれば問題ありませんよ。
乳歯が生えて虫歯が気になった
ミルクそのものが、虫歯のきっかけになる訳ではありません。しかし、離乳食の食べカスが歯に付着している状態で栄養価の高いミルクを飲むと、虫歯ができやすくなる可能性があります。
ミルクを飲ませる前に、ガーゼで歯の表面を拭くと虫歯の予防になりますよ。
粉ミルクの量が多くて離乳食が進まない
離乳食が3回食になると、エネルギーや栄養を食事から摂る割合が一気に増えます。
しかし赤ちゃんがミルクを飲む量が多いと、離乳食が進まないケースもあります。離乳食の量が増えない場合は、ミルクの量をチェックしてみましょう。
ちなみに3回食が始まる生後9〜11ヶ月頃のミルクの量は、1日あたり2回、トータル500mlが目安とされています。
赤ちゃんがミルクを卒業するための準備は?
赤ちゃんがミルクを卒業するには、哺乳びん以外のものから飲み物が飲めるようになっていることが欠かせません。赤ちゃんは、哺乳びんはミルクを飲むものと思っているので、哺乳びんに麦茶などを入れると嫌がってしまうことがあります。
ミルクの卒業を考え始めたら、スパウトやストローマグで飲む練習を始めるといいでしょう。
赤ちゃんがミルクを卒業するには?
ミルクの卒業には明確な期限はないので、赤ちゃんの様子を見ながら、ゆっくり進めていくことが大切です。
ここでは、多くのママが実践し、赤ちゃんが無理なくミルクを卒業できたアイデアをご紹介します。
1. ミルクの回数を減らす
離乳食が3回食になったら、ミルクは1日2回が目安になります。
離乳食をしっかり食べられるようになったら食後のミルクはやめ、おやつタイムの2回のみに減らしましょう。このとき、離乳食は手で食べられるメニューを用意すると、赤ちゃんの食欲が旺盛になることが多いのでおすすめです。
慣れてきたら2回のミルクのうち1回を麦茶などに置き換え、回数と量をさらに減らしていきましょう。
2. ミルクはバイバイねと言い聞かせる
赤ちゃんにきちんと説明するというアイデアも効果的です。
1歳になれば牛乳を飲めるようになるため、「ママとパパと一緒に牛乳を飲もうね。だからミルクはバイバイね」と言い聞かせるのもいいですね。
3. 寝る前のミルクからやめる
ミルクを飲むことが入眠の儀式になっている赤ちゃんは、ミルクの卒業が一筋縄ではいかないかもしれません。
そんなときは、寝つくまで抱っこをしたり、昼間しっかり遊ばせてスムーズに寝入るようにしたり、読み聞かせをしたりとと、赤ちゃんが眠ってくれる別の方法を探してみましょう。
赤ちゃんが泣き止まないからと寝る前にミルクを与え続けてしまうと、ミルクがないと寝ないようになってしまう可能性もあります。
寝る前のミルクをやめられると、そのままミルクを卒業できることも多いもの。ママやパパは大変かもしれませんが、少しずつ慣れていきましょう。
ミルクがいつまでかは赤ちゃんのペースによります
赤ちゃんのミルクの卒業は、「いつまで飲ませてよいか」ではなく「必要なエネルギーや栄養を離乳食から取れているか」という点で検討するといいですね。
どうしても周りの赤ちゃんの様子と比較しがちですが、赤ちゃんの成長には個人差が大きいもの。赤ちゃんとママに無理のないペースで、ミルクからの卒業を検討してみてくださいね。