栄養や免疫がたっぷりで、赤ちゃんとママとの大切なコミュニケーションでもある母乳。でも、慣れるまでは、赤ちゃんが授乳時に思うように飲めなかったり、母乳の出が悪かったりして、上手くいかないことも多いもの。「乳首が痛い」「血が出た」という辛い経験をするママもいます。今回は授乳時の乳首の痛みについて、原因や対処方法をご紹介します。
授乳中、乳首が痛い!出血はいつまで続くの?
授乳時に乳首が痛くなって、授乳をするのが困難な状況に陥るママは珍しくありません。乳首の先や根元が赤くただれたようになり、ヒリヒリとした痛みやツーンとした刺激を感じます。
ひどくなると皮膚が切れて血が出ることもあります。これらは「乳頭亀裂症」と呼ばれるもので、授乳によって起こります。
ママも赤ちゃんも授乳に慣れていない新生児期に多く見られる症状ですが、原因によっては授乳期全期に渡って、この痛みや出血が続くこともあります。
授乳時に乳首が痛い原因は?出血するのは異常なの?
乳頭亀裂症になってしまうのには、以下のような原因が考えられます。
授乳時間が長い
はじめての育児の場合は、なかなか母乳が出ないということもよくあります。そうすると何度も授乳を繰り返し、一回の授乳時間が長くなりがちなので、乳首に大きな負担が掛かってしまいます。
また赤ちゃんに、お腹が空いているわけではないのに安心感からずっとくわえていたがったり、遊び飲みをしたりする癖がある場合も、この症状が出やすくなります。
乳首をくわえる角度が浅い
赤ちゃんが乳首をくわえる角度によっては、乳首が切れて、痛みが出ることもあります。授乳時に抱く姿勢が正しくなかったり、赤ちゃんが吸うことに不慣れだったりすると、「浅飲み」になってしまいがちですが、浅飲みのときほど痛みが出やすくなります。
乳首の乾燥
授乳後、乳首についた赤ちゃんの唾液を拭かずに放置していると、乾燥によって乳首が切れて血が出ることもあります。
乳頭の形
ママの乳首が陥没乳首や扁平乳首の場合、赤ちゃんは一般的に浅飲みになりやすくなります。その結果、乳頭亀裂を引き起こす恐れがあります。
赤ちゃんが噛む
生後5ヶ月以降になると、赤ちゃんにも歯が生え始めます。生え始めは歯がむずむずと痒くなってしまうので、そのせいでおっぱいを噛んでしまうことも。
また、硬い歯で噛まれたママが「ギャッ」と叫ぶと、その反応が面白かったり、ママを喜ばせていると勘違いしたりして、わざと噛む子もいます。
授乳中に乳首が痛いときの対策は?薬を塗ってもいい?
授乳中に乳首が痛くなるのはよくあることとはいえ、そのままにしておくと授乳タイムが苦痛な時間になってしまいますよね。
赤ちゃんにおっぱいをあげないわけにもいかず、せっかく出ている母乳を諦めてミルクに切り替えるのももったいないこと。ミルクに切り替える場合は、搾乳をするなど乳腺炎予防のためのおっぱいのケアもしなければいけません。
そこで、乳首が痛くなってしまったら下記のような対策を試しながら授乳を続けてみてください。
ケアクリーム・オイルを塗る
痛みが軽ければ、授乳後に乳首ケア用のクリームやオイルを塗ることで軽い傷や乾燥が改善されていきます。おすすめは、赤ちゃんの口に入っても問題がない「ピアバーユ」です。
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痛みがひどく、授乳にも支障が出るような場合は、産婦人科で軟膏を処方してもらいましょう。
乳頭保護器を使う
乳首を保護するための「乳頭保護器」というものも販売されています。痛みがひどいときの保護になりますが、軽い痛みのときから使用すれば、痛みの悪化を防ぐこともできますよ。
ただし、赤ちゃんがうまく吸えないこともあるので、母乳外来などで助産師さんに授乳状況をみてもらってから使用するようにしましょう。
搾乳した母乳を飲ませる
痛くてどうしても授乳しづらいときは、直接ではなく、搾乳した母乳を飲ませるようにしてください。痛いからと母乳を出さないでいると、乳腺炎になってしまう恐れがあります。母乳を出すことで、そのリスクを回避できますよ。
搾乳後は、洗浄綿で乳首をきれいに拭いて、清潔な状態を保ちましょう。
絆創膏を貼る
赤ちゃんの歯が原因で痛みや血がでる場合、乳首の周りの痛みがひどくなりがちです。乳口を塞がないのであれば、絆創膏を使用する手もあります。
ただし、絆創膏を使うときは、衛生面から授乳の度に張り替える必要があります。また、はがれてしまって誤って赤ちゃんが飲み込んでしまうことがないように、使用時は目を離さないようにしましょう。
授乳時の乳首の痛みや出血を予防するには?
まだ授乳時の乳首の痛みや出血を経験したことがない場合でも、いつこのようなトラブルが起きるとも限りません。授乳の際のちょっとしたコツで痛みや傷を防ぐことができるので、授乳中のママは常に予防をしておきましょう。
乳頭マッサージをする
乳首が硬いと皮膚の伸びが悪く、負担がかかって傷ができやすくなります。授乳前に乳頭マッサージをする習慣をつけ、乳首をやわらかくしてから赤ちゃんに含ませましょう。この際にクリームやオイルを使用して乾燥を防ぐことも大事です。
乳首は深く含ませる
赤ちゃんが乳首を浅くくわえこんでいると、痛みや傷の原因になります。乳輪部が隠れるくらいまで、できるだけ深く含ませるようにしましょう。
乳首を離すときに指を添える
授乳時間が過ぎたからといって、赤ちゃんがまだ吸っているのに無理やりおっぱいを離そうとすると、乳首が引っ張られて負担が掛かります。授乳を終わらせるときは赤ちゃんの口元にママの指をそっと添え、口を開けさせてからゆっくりと乳首を抜くようにしましょう。
赤ちゃんの抱き方を変える
授乳の姿勢をいろいろと変えてみるのもおすすめです。横抱きだけでなく、縦抱きやフットボール抱きなど、授乳の度に角度を変えて含ませましょう。乳首の同じ場所を繰り返し吸われることがなくなり、負担が軽減され、亀裂が入るのを予防できますよ。
左右の乳房を均等に吸わせる
抱き癖や母乳の出具合によっては片方のおっぱいだけを長く吸わせるママもいますが、できれば避けたい方法です。長く吸わせている側の乳首に大きな負担が起きるだけでなく、吸わせていない側のおっぱいの乳腺で母乳が固まってしまい、乳腺炎の元になります。
乳首はもちろん、おっぱい全体のケアのために、できるだけ左右均等に吸わせるようにしましょう。
乳頭吸引器を使う
陥没乳首や扁平乳首の場合は、乳頭マッサージをしたり、乳頭吸引器を使ったりして、乳首の状態を良くしましょう。痛みがでる前に、早めに対処してください。
歯固めを与える
歯茎がむずがゆくて乳首を嚙んでいるようであれば、歯固めを与えて不快症状を緩和してあげましょう。ベビー用歯ブラシで歯茎をマッサージしてあげるのもおすすめです。
噛まれても反応しない
赤ちゃんがおもしろがって乳首を噛んでいる場合は、噛まれたときにママが声を出さないなどあえて反応しないようにしましょう。ママが特別に反応しなければ、噛むという行為をやめてくれることもあります。
授乳時に乳首が痛いときは、我慢しないで
母乳育児をはじめて慣れないうちは、母乳不足や寝不足に振り回され、大変なことが多いですよね。さらに乳首が痛いとなると、もう泣きたくなってしまうもの。
赤ちゃんのためだからと痛みや出血を我慢するのではなく、今回ご紹介した予防法や対処法を試して、コンディションを整えながら授乳を進めていきましょう。
赤ちゃんが成長するにつれておっぱいを吸う力も強くなるので、次第に乳首が傷つかないようになりますよ。毎日の授乳タイムを愛おしく楽しい時間にしていけるといいですね。