乳腺炎の症状とは?原因と対処法、予防のための授乳のコツは?

記事監修 助産師 佐藤 裕子
日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 続きを読む

授乳中のママについてまわるのが「乳腺炎」の心配。おっぱいが腫れたり、しこりができて痛くなったり、ひどいと高熱まででてしまう、なんて聞くだけで辛くなってしまいますね。できることなら痛い思いをせずに、授乳を続けたいもの。そこで今回は、乳腺炎について詳しい症状や原因、予防法や対策法をご紹介します。

乳腺炎の症状とは?

女性 胸 痛み 張り

乳腺炎とは、その名の通り乳腺(母乳を外へ運ぶ管)が炎症を起こしてしまうことをいいます。最初はおっぱいに痛みを伴うしこりができ、悪化するとおっぱいがパンパンに張って岩のように硬くなったり、発熱などの症状が起こります。授乳をしているママの約2~3割が乳腺炎になるといわれています。

乳腺炎の主な症状

● おっぱいが熱を持ち、しこりができる
● おっぱいが赤みを帯びる
● おっぱいを押すと痛む
● 熱、寒気、頭痛、関節痛
● 腕を上げたり、赤ちゃんを抱っこすると胸のあたりが痛む
● 半透明の白い色ではなく、黄色っぽい母乳が出る
● おっぱいが張って硬くなる

乳腺炎の原因は?

なぜ why 原因

乳腺炎には「急性うっ滞乳腺炎」と「化膿性乳腺炎」の2種類があります。乳腺に母乳が溜まり、詰まって炎症を起こしてしまうことを「急性うっ滞乳腺炎」と呼び、細菌が入ったことで乳腺が炎症することを「化膿性乳腺炎」と呼びます。

化膿性乳腺炎は、赤ちゃんの口を通して細菌が入ることや、急性うっ滞乳腺炎が悪化することによって発症します。授乳中のママがまずかかるのは、急性うっ滞乳腺炎であることが多く、原因には以下のようなことが挙げられます。

急性うっ滞乳腺炎の主な原因

● 赤ちゃんの母乳の飲み方が偏っていて、バランスが悪い
● 授乳間隔にばらつきがあったり、母乳の飲み残しがあったりする
● きついブラジャーや姿勢の悪さなどによる胸部圧迫

また、食事と乳腺炎の関係について気になるかと思いますが、食事と母乳の質・量の関係性については、まだはっきりとした根拠がありません(※1)。WHOも「高塩分・高脂肪の食事は乳腺炎の原因になると考えられているが、根拠ははっきりしていない」と発表しています(※2)。

一方で、母乳相談室や母乳外来、医師の監修による書籍でも、乳腺炎の予防に対して食事の指導をすることがあり(※3,4)、食事と乳腺炎には関係があるのではないかという考えがあるのも事実です。関係性ははっきりしていませんが、高塩分・高脂肪の食べ物は控えておく方が無難だといえます。

それでは、つらい乳腺炎にかからないためにはどうすれば良いのでしょうか。次から乳腺炎の予防法をお伝えします。

乳腺炎の予防法1. 授乳の方法を工夫する

ママ 女性 授乳

片方のおっぱいばかりでの授乳や、同じような抱き方で赤ちゃんに授乳していませんか?乳腺は乳首を中心に放射状に広がっているため、片方だけや、同じ抱き方で授乳していると、母乳が外に出ず、一部の乳腺に母乳が残ったままになってしまい、詰まりやすくなってしまいます。

オーソドックスなタイプは横抱きですが、縦抱き(赤ちゃんと正面に向い合って授乳する)やフットボール抱き(ラグビーのボールを抱えるように)も意識して1日の授乳のうち1~2回は方向を変えて授乳すると、すべての乳腺の通りがよくなります。

また、左右交互に同じ量の母乳を赤ちゃんに与えるのも大切です。意識的に左右同じ量の母乳を赤ちゃんに授乳してあげることで、両方のおっぱいの母乳をバランスよく維持できます。

乳腺炎の予防法2. 胸を圧迫しないようにする

新生児 赤ちゃん

胸をしめつけて圧迫していると、乳房の循環が悪くなって母乳が乳腺にたまり、乳腺炎になりやすくなります。妊娠前に使っていた下着はスタイルをきれいに見せることに重点を置いているため、ワイヤーが入っているなど、母乳で張った胸は圧迫されてしまいます。

産後すぐから妊娠前に使っていた下着に戻すのは避け、授乳用のブラジャーをつけるようにしましょう。授乳するときに胸を出しやすく、母乳パッドをつければ、母乳が服に漏れてしまうこともありません。

また、寝るときも注意が必要です。横向きに寝ると、下になる方のおっぱいの乳腺を圧迫してしまうため、寝ている間に乳腺炎になってしまうこともあります。意識して上を向いて寝るようにしたり、バランス良く向きを変えて寝るようにしましょう。

乳腺炎の予防法3. バランスの良い食事を摂る

和食 ごはん

授乳中はお腹が空きやすく、疲れが溜まるので、高カロリーなものや脂肪分の多いものを摂取しがちです。厚生労働省によると、授乳中のママに必要な摂取カロリーは1日2300~2350kcalと、妊娠前に比べて350kcalほど多く摂取したほうがよいため、摂取カロリーは減らさずに、和食中心のバランスのとれた食事を心がけましょう。

また、完全母乳で育てるとママは母乳に水分を取られるため、水分補給もこまめにするようにしたいですね。水分の摂取量は1日1.5Lほどが目安です。水が苦手という人は、たんぽぽ茶やゴボウ茶を飲むと血行が良くなり、母乳の流れが良くなる効果が期待できますよ。

乳腺炎になってしまったときの対処法は?

グッズ 体温計 熱

どんなに予防していても、育児疲れや細菌感染などから乳腺炎になってしまうこともありますよね。まず、しこりが痛むといった軽めの症状の場合は、母乳を出して詰まりを解消することが先決です。

しこりのある部分を軽く圧迫しながら、手で搾乳するとしこりを軽減できる場合があります。このとき、おっぱい全体を動かすようにマッサージすると、さらに母乳が作られようとして、乳腺炎を悪化させる場合があるので注意してください。

おっぱいが熱を持って張っている場合は、温めずに濡れタオルや冷却ジェルシートを使って冷やしましょう。キャベツの葉を貼って、その上からさらしを巻くという古くからの方法もあります。冷やし過ぎても良くないので、現代においてもキャベツの葉くらいの温度がちょうどいいと言う助産師さんもいますよ。

すでに、おっぱいが岩のようにがちがちになって絞れない、高熱が出てしまったという場合には、マッサージや入浴は避け病院に行くようにしましょう。ここまで酷くなると抗菌薬などの薬を頼る必要があります。ただし、乳腺炎に対して抗菌薬が効くかどうかについても、はっきりした根拠はありません(※1)。

乳腺炎を予防して、授乳を楽しく

赤ちゃん 笑顔 口

乳腺炎の予防はセルフケアが大切です。毎日おっぱいに違和感はないか確認しながら、気になる点があったらすぐに病院や助産院に相談してください。授乳し続けるのは根気も体力もいりますが、赤ちゃんが母乳を必死に飲んでくれる姿はかわいいものですよね。

授乳してあげられる期間は短く、長い人生でも尊い経験ですから、乳腺炎に気をつけながら限りある授乳ライフを楽しんでください。ママの毎日の頑張りは、愛情としてきっと赤ちゃんに伝わりますよ。

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