差し乳とは?割合や特徴は?溜まり乳との違いは?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

母乳育児をしていると「差し乳」や「溜まり乳」という言葉を聞くようになります。はじめて聞くママはなんのことかよくわからないですよね。これらは医学的な言葉ではなく、母乳の出方を指す言葉として使われています。今回は、そんな「差し乳」や「溜まり乳」について違いや特徴などをご紹介します。

差し乳とは?溜まり乳との違いは?割合は?

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差し乳と溜まり乳には、以下のような違いがあります。

差し乳

「差し乳」とは、「放っておいても普段からあまり張らず、授乳時間を空けても張らない」「赤ちゃんが飲み始めると張ったような感じになり、一気に母乳が出てくる」といった特徴を持つおっぱいのことです。

溜まり乳

「溜まり乳」とは、「授乳時間があくとおっぱいが自然と張り、赤ちゃんに吸ってもらうと張りが落ち着く」ようなおっぱいのことをいいます。

これだけ見ると「差し乳の場合は、母乳が作られていない」と勘違いしそうですが、そういうわけではありません。乳房が張りやすい・張りにくいという個人の体質の違いです。

つまり、「差し乳」も「溜まり乳」も、乳房で母乳は作られ続けています。ある程度の時間がたったら授乳しないと新しい母乳が作られにくくなるのも同じです。

なかには片方の胸だけが「溜まり乳」、もう一方の胸は「差し乳」というママも少なくありません。その割合を示す統計データはありませんが、差し乳、溜まり乳に悩まされています。

差し乳の特徴は?搾乳が難しい?

授乳

両乳房が差し乳タイプのママは、おっぱいが張りにくく、あまり搾乳できないのが特徴です。

授乳時間が空いてもおっぱいが張らないので、赤ちゃんが授乳のタイミングであまり泣かない場合は授乳を忘れてしまうこともあります。

授乳回数が減った分だけ母乳は作られなくなるので、新生児なら授乳回数は1日8回以上、授乳間隔は3時間以内を心がけ、母乳が継続的に作られるようにしましょう(※1)。

また、「授乳のリズムが安定すると差し乳になる」と聞いたことがあるママもいるかもしれませんが、差し乳になる時期は個人差があります。

授乳開始直後から差し乳で張ることがほとんどないママもいれば、授乳のリズムが安定してくる生後2〜3ヶ月頃くらいから差し乳になるママも。一方で、5ヶ月以上たっても差し乳にならないママもいます。

差し乳で搾乳できないときの対処法は?

搾乳

差し乳のママで搾乳ができないと悩む人も多くいます。そんなときは、おっぱいが張りやすい朝一番に搾乳をするのがおすすめです。もしくは、搾乳できた分を少しずつ小分けに保存し、飲ませるときに数回分を合わせるといいですよ。

搾乳するときは、片方のおっぱいから搾れなくなったら、もう片方を搾り、終わったらまた最初に搾ったおっぱいをもう一度搾るというように、短時間で左右を往復しましょう。

差し乳でも乳腺炎になるの?

胸 痛い 女性 乳腺炎

「おっぱいが張らないので、差し乳だと乳腺炎になりにくい」と考えられがちですが、差し乳のママでも乳腺炎になる可能性はあります。

乳腺炎は母乳がおっぱいに溜まり続けることで引き起こされます。差し乳でもおっぱいに母乳が残っていれば乳腺炎を引き起こしてしまう可能性も十分にあります。授乳回数が少ないときや赤ちゃんが片方からしか飲まないときなどは、特に注意が必要です。

片方だけ差し乳で、もう片方は溜まり乳というママの場合は、つい溜まり乳の方のおっぱいだけで授乳してしまいがちなので、差し乳側のおっぱいが乳腺炎になってしまうこともあります。

溜まり乳の特徴は?乳腺炎になりやすい?

赤ちゃん 抱っこ

溜まり乳タイプのママは、母乳を出し切らずにいると乳房に母乳が溜まり乳腺炎を起こすことがあります。

乳腺炎の主な症状は、乳房にしこりができる、赤くなる、腫れる、授乳時に痛みがある、ママが発熱するなどです。軽い症状の場合は、授乳や搾乳をするとしこりがなくなることもあります。

赤みが出る、痛むなど症状がひどいときは、母乳外来のある病院や助産院へ行き、診察してもらってください。

乳腺炎の治療としては、クーリング(乳房を冷やす)や搾乳、必要に応じて抗生物質の処方をしてもらえます。乳腺炎が悪化して化膿すると、場合によっては切開して膿を出すこともあります(※1)。

溜まり乳の場合、普段から授乳しても張りがとれないようであれば、搾乳することが乳腺炎の予防につながりますよ。

片方だけ溜まり乳で張る…どうすればいい?

授乳 母乳

片方だけ溜まり乳のママは、日頃から常に溜まり乳の方の乳房が張ってしまい、どのように扱えばよいのか迷っているかもしれませんね。

片方だけ溜まり乳の場合でも、片方だけでなく必ず左右とも飲ませましょう。飲ませる順番は、張っていない方から授乳することをおすすめします。赤ちゃんのやる気があるときにおっぱいを吸わせる方がよく飲んでくれるからです。

溜まり乳の方を飲ませるときは、乳頭が硬くなっていて赤ちゃんが吸いにくいことがあるので、授乳前に乳頭をマッサージして柔らかくしておきましょう。張りすぎて母乳の出が悪いときは、授乳前に軽く搾乳をして「圧抜き」をし、飲みやすくしてあげるといいですよ。

赤ちゃんがお腹いっぱいになってしまって、授乳を拒否したあとにまだおっぱいが張っているようであれば、乳腺炎を予防するためにも搾乳しておきましょう。

母乳の分泌には大きな個人差があります。「なかなかうまくいかない」と悩んでいる場合は、母乳外来でおっぱいの状態を診てもらい、アドバイスしてもらいましょう。

差し乳でも溜まり乳でも、授乳回数や時間を一定に保つことが大切

差し乳、溜まり乳などおっぱいの状態は色々ありますが、おっぱいにトラブルがあった場合は、母乳外来のある産婦人科に相談するのがおすすめです。

特に授乳中のおっぱいトラブルは大変ですよね。普段はトラブル知らずのママも、体調不良などで突如トラブルが起きることもあるので、授乳中は日々の生活に気をつけてくださいね。

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