差し乳とは?割合や特徴は?溜まり乳との違いは?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

母乳育児をしていると「差し乳」や「溜まり乳」という言葉を聞くようになります。はじめて聞くママは、なんのことかよくわからないですよね。これらは医学的な言葉ではありませんが、母乳の出方を指す言葉です。今回は、そんな「差し乳」や「溜まり乳」について違いや特徴などをご紹介します。

差し乳とは?溜まり乳との違いは?割合は?

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一般的に「差し乳」とは、「放っておいても普段からあまり張らず、授乳時間を空けても張らない」「赤ちゃんが飲み始めると張ったような感じになり、一気に母乳が出てくる」といった特徴を持つおっぱいのことです。

反対に「溜まり乳」とは、「授乳時間が空くとおっぱいが自然と張り、赤ちゃんに吸ってもらうと張りが落ち着く」ようなおっぱいのことをいいます。

これだけ見ると「差し乳の場合は、母乳が作られていない」と勘違いしそうですが、そういうわけではなく、個人差により乳房が張りやすいママ、張りにくいママがいて、体質によるものです。

つまり、「差し乳」といわれるママも「溜まり乳」といわれるママも、乳房で母乳は作られ続けているのです。また、ある程度の時間がたったら授乳しないと、新しい母乳が作られにくくなってしまうのは同じです。

また、片方の胸だけが「溜まり乳」、もう一方の胸は「差し乳」というママもいて、それも珍しいことではありません。一人の人であれ、左右で母乳の分泌が同じ、というわけではないんですね。

その割合を示す統計データはありませんが、多くのママが差し乳、溜まり乳に悩まされています。

差し乳の特徴は?搾乳が難しい?

授乳

両乳房が差し乳タイプのママは、おっぱいが張りにくく、あまり搾乳できないのが特徴です。

授乳時間が空いてもおっぱいが張らないので、授乳をつい忘れてしまうこともあります。赤ちゃんがあまり泣かない子だと、余計に忘れてしまいがちになるママもいますが、授乳回数が減ると母乳は作られなくなり、母乳量は減ってしまいます。

新生児なら授乳回数は1日8回以上、授乳感覚は3時間おきを心がけ、母乳が継続的に作られるようにしましょう(※1)。

差し乳になるのはいつから?

カレンダー

おっぱいの張りに悩まされているママからすると、いつから差し乳になるのか気になるかもしれませんね。

授乳のリズムが安定すると差し乳になる、と聞いたことがあるママもいるかもしれませんが、おっぱいが差し乳になる時期は個人差があります。

一般的に、授乳のリズムが安定するのは生後2〜3ヶ月頃くらいからといわれていますが、その時期くらいから差し乳になるママもいれば、5ヶ月以上たっても差し乳にならないママもいます。また、授乳開始直後から差し乳で、張ることがほとんどないというママもいるようです。

差し乳で母乳が出ない、搾乳できないときの対処法は?

搾乳

差し乳のママで搾乳ができないと悩む人も多くいます。そんなときは、おっぱいが張りやすい朝一番に搾乳をするのがおすすめです。もしくは、搾乳できた分を少しずつ小分けに保存し、飲ませるときに数回分を合わせるといいですよ。

搾乳するときは、片方のおっぱいから搾れなくなったら、もう片方を搾り、終わったらまた最初に搾ったおっぱいをもう一度搾るというように、短時間で左右を往復しましょう。

差し乳でも乳腺炎になるの?

悩み

「おっぱいが張らないので、差し乳だと乳腺炎になりにくい」と考えられがちですが、差し乳のママでも乳腺炎になる可能性はあります。

乳腺炎は古い母乳がおっぱいに残って、詰まってしまうことで引き起こされますが、差し乳でもおっぱいに母乳が残っていれば、乳腺炎を引き起こしてしまう可能性も十分にあります。授乳回数が少ないときや赤ちゃんが片方からしか飲まないときなどは、特に注意が必要です。

片方だけ差し乳で、もう片方は溜まり乳というママの場合は、つい溜まり乳の方のおっぱいだけで授乳してしまいがちなので、差し乳側のおっぱいが乳腺炎になってしまうこともあります。

溜まり乳の特徴は?乳腺炎になりやすい?

授乳

溜まり乳タイプのママは、母乳を出し切らずにいると乳腺に母乳が溜まってしまい、乳腺炎を起こすことがあります。

乳腺炎の主な症状は、乳房にしこりができる、赤くなる、腫れる、授乳時に痛みがある、ママが発熱するなどです。軽い症状の場合は、授乳したり搾乳したりするとしこりがなくなることもあるので、いったん様子をみましょう。

赤みが出る、痛むなど症状がひどいときは、母乳外来のある病院や助産院へ行き、診察してもらってください。

乳腺炎の治療としては、クーリング(乳房を冷やす)や搾乳、抗生物質の処方をしてもらえます。化膿性乳腺炎が悪化している場合は、切開して膿を出すこともあります(※2)。

溜まり乳の場合、普段から授乳しても張りがとれないようであれば、搾乳することが乳腺炎の予防につながりますよ。

片方だけ溜まり乳で張る…どうすればいい?

はてな 疑問 クエスチョンマーク

「おっぱいの大きさが左右で異なるほど、片方だけが溜まり乳」といわれることもあります。片方だけ溜まり乳のママは、日頃から常に溜まり乳の方の乳房が張ってしまい、どのように扱えばよいのか迷っているかもしれませんね。

左右の乳房の状態が違うと、前述のとおり、注意深くケアをしておかなければ、乳腺炎などのトラブルが起きがちです。

差し乳でも溜まり乳でも、片方の乳房だけ張る場合は、出にくい方から授乳することをおすすめします。これは、赤ちゃんのやる気があるときにおっぱいを吸わせる方がよく飲んでくれるからです。

溜まり乳の場合、乳頭が硬くなっていて赤ちゃんが吸いにくいことが多々あります。授乳前に乳頭をマッサージして柔らかくしておきましょう。張りすぎて母乳の出が悪いときは、授乳前に軽く搾乳をして「圧抜き」をし、飲みやすくしてあげます。

そして必ず、もう一方の乳房からも授乳をするようにしましょう。左右交互に授乳をすることは、この場合でも同じです。

赤ちゃんがお腹いっぱいになってしまって、授乳を拒否したあとでまだおっぱいが張っているようであれば、搾乳しておきましょう。

母乳の分泌には大きな個人差があります。「なかなかうまくいかない」と悩んでいる場合は、母乳外来でおっぱいの状態を診てもらい、指導を仰ぐことも考えてくださいね。

差し乳でも溜まり乳でも、授乳回数や時間を一定に保つことが大切

ママ 親子 赤ちゃん 搾乳

差し乳、溜まり乳などおっぱいの状態は色々ありますが、おっぱいにトラブルがあった場合は、母乳外来のある産婦人科に相談するのがおすすめです。

特に授乳中のおっぱいトラブルは大変ですよね。普段はトラブル知らずのママも、体調不良や脂っぽい食事などで突如トラブルが起きることもあるので、授乳中は日々の生活に気をつけてくださいね。

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