家族に水虫の人がいたりすると、赤ちゃんにうつらないか心配になってしまいますよね。赤ちゃんがハイハイやつかまり立ちをするようになったらなおさらでしょう。そこで今回は、赤ちゃんも水虫になるのか、また、水虫にかかるとどのような症状が出るのか、何が原因なのか、そしてどんな治療法があるのかについてご説明します。
水虫とは?原因は?
水虫とは、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が原因で起きる皮膚病です。皮膚の最も外側にある角質層に白癬菌が感染することで起きる皮膚病を「白癬」といいますが、そのなかでも特に足にできる白癬を一般的に「水虫」と呼んでいます。
白癬菌が足に感染しやすいのは、足が靴下や靴で包まれることで高温多湿になりやすいからです。白癬菌も他のカビと同じように高温多湿の環境を好むため、足は白癬菌にとって絶好の感染場所なのです。
また、同じ理由から、水虫は梅雨頃から夏にかけて起きやすくなっています。
日本臨床皮膚科医会が2008年に行った調査によれば、日本人の4人に1人が水虫にかかっているといいます。水虫はおじさんの病気というイメージがあるかもしれませんが、実際には水虫の患者数には男女差はほとんどありません(※1)。
また、水虫は年齢に関係なく、子供でも発症することが近年知られてきました。
赤ちゃんも水虫になるの?
白癬菌は年齢に関係なく誰にでもうつるため、赤ちゃんでも水虫になります。
ただし、白癬菌が長時間足に付着していないと水虫にはなりません。そのため、長時間靴下や靴を履き続ける機会があまりない赤ちゃんは、水虫になりにくく、患者数そのものは多くないと考えられます(※2)。
赤ちゃんの水虫の症状は?
「水虫=かゆい」というイメージがありますが、必ずしもかゆみが出るわけではありません。赤ちゃんの水虫には大きく分けて以下の3種類があり、それぞれ症状が異なります(※3)。
趾間(しかん)型
足の指の間の皮膚がむけたり、皮膚がふやけてジメジメする特徴を持つ水虫です。多くの場合かゆみを伴います。
小水疱型
足の裏や、足の側面に小さな水ぶくれができるタイプの水虫です。強いかゆみを伴うのが特徴です。
角化型
足の裏や縁の角質が厚くなり、皮がむけたり、ひび割れたりするタイプの水虫です。かゆみはなく、見た目も水虫には見えません。
赤ちゃんの水虫の治療法は?
赤ちゃんの水虫には、抗真菌作用のある塗り薬が効果的です。症状がない部分も含め、指の間から足の裏全体にかけて最低4週間は毎日塗る必要があります。
なお、塗り薬だけでなく飲み薬も有効ですが、赤ちゃんや子供は副作用や他の薬との飲み合わせによる懸念から、飲み薬を使わないのが一般的です。
また、角化型以外の水虫は抗真菌薬を使えばほとんどの場合治るため、4週間以上塗り続けても水虫がよくならない場合は、水虫ではない何が別の病気の可能性があります。そのときは病院で再度診てもらった方がよいでしょう(※4)。
赤ちゃんの水虫の予防法は?
赤ちゃんの水虫を予防するには、赤ちゃんだけでなく、家族全員が日常生活の中で次のようなことに注意しましょう(※5)。
タオルなどを家族で共有しない
家族に水虫の人がいる場合は、タオルや足ふきマットなどを共有せず、赤ちゃんの体を拭いたりするときは未使用のものを使うようにしてください。また、家族が常に自分の体を清潔にするとともに、床や畳の掃除もこまめに行いましょう。
乾燥・通気性を保つ
水虫の原因である白癬菌は高温多湿な環境を好みます。そのため水虫予防には乾燥と通気をよくすることが効果的です。特に足は蒸れやすいため、できるだけ通気性の高い靴や靴下を選ぶとよいでしょう。
帰宅時に足を洗う
家庭内に白癬菌がいなかったとしても、外出先から持って帰ってきてしまうこともあります。そうならないため、帰宅したら足を洗うようにしましょう。特に足の指は必ず洗ってください。
白癬菌が皮膚に付着してから角質層に侵入するまでに24時間かかるといわれているため、帰ってきてすぐに洗わなければいけない、というほどの緊急性はありませんよ。
足を洗ったらそのままにせず、しっかりと乾燥させることも大切です。
赤ちゃんの水虫予防には家族の協力が必要
赤ちゃんは水虫になりにくいとはいえ、絶対にならないわけではありません。水虫になると足がかゆくなったり、ひび割れて痛い思いをすることもあるでしょう。また、一度水虫になると1ヶ月近く治療を続ける必要があるため、赤ちゃんに負担を強いることにもなりかねません。
そのためには、赤ちゃんが水虫にならないように予防することが重要です。水虫の予防の基本は、白癬菌に触れないこと、そして乾燥や通気をよくすることです。
赤ちゃんだけが予防しても、家族が外から白癬菌を持ち帰ってきてしまったら予防にならないので、みんなで協力して取り組みましょう。
赤ちゃんがつらい思いをせずにすむように、家族みんなで協力して予防したいですね。