主に夏に流行する手足口病は、手や足、口の中などに発疹が出るウイルス感染症です。水疱(水ぶくれ)を伴う小さな発疹が体中にたくさんできるため、子供が手足口病を発症すると、ママやパパは驚いてしまうことでしょう。今回は、手足口病の発疹がどこにできるのか、いつまで続くのか、かさぶたになるのか、痕が残ってしまうのか、など様々な疑問にお答えします。
手足口病はどんな症状が出る?
手足口病は、エンテロウイルス属のウイルスが感染することによって起こります。主に夏に流行し、5歳以下の子供が感染者の約90%を占めます(※1)。
ウイルスに感染すると、2~5日の潜伏期間を経て発症し、手や足、口の中に発疹ができます(※2)。熱が出ることもありますが、発熱しないで発疹のみが現れるということもあります。
手足口病は、症状が治まったあともしばらくの間、少量ながらウイルスを体内から排出するのが特徴です。
そのため、手足口病は一度流行するとなかなか収まらないという特徴があります。
手足口病の発疹はどこに出る?
前述したとおり、手足口病の発疹は、その名の通り、主に手や足、口に発生します。
皮膚の発疹は赤く隆起していて、大きさは1~4mmほどです(※2)。手のひらや足の裏に特に多くでき、他にも手の指や膝、肘、おしりなどにできることもあります。
多くの場合、発疹の痛みやかゆみは弱いですが、爪を立ててかきむしると傷になり、中の水分が出てきてかゆくなったり、痛くなることもあります。場合によっては、とびひなどの二次的な感染を起こすこともあります。
一方、口の中にできる発疹は、舌、口蓋(口の中の上部分)、歯ぐき、唇など、口の中と周辺にできます。
固いものが当たったり、噛んだりすると痛かったり、濃い味のものを口に入れるとしみたりします。
手足口病の発疹はいつまで続く?かさぶたの痕ができるの?
手足や口の発疹は、3~7日ほどで消失します(※3)。その際、かさぶたができることはなく、痕が残ることもありません。
ただし、かきむしって傷になると、傷が治る過程でかさぶたになったり、なかなか痕が消えないこともあります。
手足口病の発疹には薬が必要?
手足口病は、予防接種できるワクチンや根本的な治療薬がなく、治療は主に対症療法になります。
手足口病でできる皮膚の発疹は、かゆみや痛みがないことが多いので、薬を使用せずに消えるのを待つことが多いものの、かきむしって傷になると、痛んだりかゆくなったりしてしまうので、かゆみを抑える内服薬や外用薬を使うこともあります。
口内の発疹も、薬を使用しないことが多いものの、痛みで食べ物や飲み物を受け付けないときには、痛みを和らげるためにステロイドの外用薬を塗布することもあります(※2)。
手足口病の発疹が少ないとき、ひどいときもある?
一口に手足口病といっても、症状が重いときと軽いときがあり、発疹が少ないことも、多いこともあります。
手足口病を引き起こすウイルスはいくつかありますが、感染したウイルスによっても症状の重さが異なります。たとえば、ほとんど発熱を伴わないウイルスもあれば、発熱することが多いウイルスもあります。
2011年に流行した手足口病は、一般にいわれている手足口病の発疹よりも大きく、口内の発疹も症状がひどく、また発熱が多いという特徴がありましたが、日本では流行したことのないコクサッキーA6ウイルスが原因でした(※4)。
手足口病の発疹がひどいときは、とびひの可能性も?
前述したとおり、手足口病は夏に流行しやすいウイルス感染症ですが、同じく夏に流行しやすく、肌に発疹ができる病気として「とびひ」があります。
もし手足口病と診断されても、一般的に手足口病に見られる発疹と異なる症状がある場合は、とびひ(伝染性膿痂疹)を併発している可能性が疑われます。
とびひは、黄色ブドウ球菌により破れやすい水ぶくれが体中にできる病気です(※5)。水ぶくれの中だけでなく、表面にも菌がいるため、火事の飛び火のようにどんどんと水ぶくれが広がってしまいます。
とびひの発疹はかゆみが強いため、抗菌剤の塗り薬や、抗ヒスタミン薬などのかゆみ止めを服用して治療を行うこともあります。
手足口病の発疹は、まず様子を見ましょう
手足口病は発熱しないことが多く、発疹があっても、痛みやかゆみがないことがよくあります。ただし皮膚の発疹をかきむしってしまうと、治癒が遅れたり、痕が残ってしまうことも。
また口の中の発疹は辛い症状になってしまうことが多いので、子供が手足口病になったときは、柔らかく味が薄い食べ物を与えるなど、しっかりとケアしてあげましょう。