妊娠後期に入ってから「会陰マッサージをするといい」と耳にした妊婦さんもいるのではないでしょうか。どんな効果があるのか、どこをどのようにマッサージをしたらいいのかなど気になりますよね。
そこで今回は会陰マッサージについて、期待できる効果や妊娠何週からできるのか、基本的なやり方などをご説明します。
会陰マッサージとは?どんな効果があるの?
会陰マッサージとは、肛門と腟の間にある「会陰」を伸びやすくするためのマッサージです。
分娩時に会陰部分が十分に伸びず赤ちゃんがスムーズに通過できないと、会陰が裂けてしまう「会陰裂傷」が起こりやすくなります(※1,2)。
会陰裂傷の程度が大きいと出血が多くなったり産後に手術が必要になったりするため、会陰の一部を切って裂傷の軽減を目的とした「会陰切開」が行われることもあります(※2)。
会陰マッサージをして会陰部分が伸びやすくなっていれば、裂傷や切開の部分が小さくて済み、傷口の痛みが少なく回復が早いといわれています。
会陰マッサージはいつから始められる?誰でもできるの?
会陰マッサージを行って会陰裂傷を予防することが期待できるのは、妊娠34週以降の初産婦とされています(※3)。
妊娠経過や妊娠回数にもよるので、妊婦健診の際に医師に確認してから始めるようにしましょう。
出産した経験のある人は、くれぐれも自己判断ではじめないようにしてくださいね。
会陰マッサージをするときの注意点は?
会陰マッサージを行うときは、以下の注意点やポイントに気をつけてください。
オイルのパッチテストを行う
準備として、まず使用するオイルを腕の内側に10円玉大に塗ってパッチテストをしましょう。
塗布後24〜48時間放置して肌に赤みやかゆみが現れなければ問題ありません。少しでも異常があればそのオイルは使わず、別のオイルで再びパッチテストをしてみてください。
会陰の周りと手を清潔にする
マッサージを始める前に会陰周辺と手をしっかり洗って清潔な状態にしておきましょう。入浴中や入浴直後は、体が清潔で皮膚がやわらかくなりやすいので、会陰マッサージをするのにおすすめのタイミングです。
爪を切っておくのも忘れないでくださいね。
肛門に触れないようにする
マッサージをするときに指が肛門に触れないように気をつけてください。もし肛門に触れてしまったら一旦マッサージを止めて、手をよく洗ってから再開します。
週3回までにする
会陰マッサージで会陰裂傷のリスクが下がるのは週3.4回以下の頻度で行った場合であり、週3.5回以上行っても効果がないという研究結果があります(※3)。毎日のようにマッサージをすると会陰部分を傷つけるおそれもあるため、週3回までを目安にしましょう。
体調が悪いときは行わない
妊娠34週以降はお腹が張りやすくなり、足の付け根が痛くなるなど妊娠後期ならではのマイナートラブルも増えてきます。体調が少しでもすぐれないと感じたら、会陰マッサージをするのはやめておきましょう。
会陰マッサージにおすすめのオイルは?
会陰マッサージに使うオイルは、植物由来で無添加なものがおすすめです。会陰部分の肌はデリケートなので、刺激が強いオイルは肌荒れの原因にもなります。
以下のようなオイルは会陰マッサージに適しているといわれていて、ネットショップやドラッグストア、アロマオイル専門店などで手に入りますよ。
- スウィートアーモンドオイル
- カレンデュラオイル
- セサミオイル、
- ホホバオイル
- オリーブオイル
- ココナッツオイル など
体質や好みにあったオイルを選んで、必ずパッチテストをしてから使うようにしましょう。
会陰マッサージのやり方は?
会陰マッサージにはさまざまな方法がありますが、ここでは基本的なやり方をご紹介します。
1. 腟の中からUの字を描くように
指1~2本にオイルをつけて腟に少しだけ挿入し、内側の壁をUの字を描くようにマッサージしましょう。体の前面(おへそ側)を12時として、4時から8時の方向へそっと圧をかけるイメージで行うのがポイントです。
2. 会陰の周りをクルクルと円を描くように
オイルをつけた指で会陰部分を右から左へ、左から右へと横方向にマッサージしましょう。円を描くように細かくクルクルと指を動かすのが効果的です。
この2つの会陰マッサージを交互に、トータルの時間にして数分を目安に行うといいでしょう。
腟に指を入れるマッサージに抵抗がある人は、会陰の周りをUの字を描くようにマッサージをしてみてくださいね。
会陰の周りをマッサージする際は、指で直接ではなくオイルを染み込ませたコットンを使ってもかまいません。コットンを使った場合は、マッサージ後にオイルが染み込んだコットンをおりものシートや生理用ナプキンに乗せて、そのままオイル湿布をするのもおすすめですよ。
会陰マッサージは無理のない範囲で続けよう
会陰マッサージはマタニティクラスや助産師外来などで説明されることも多いので、疑問や不安があれば積極的に聞いてみましょう。
会陰マッサージの効果には個人差がありますが、無理のない範囲でコツコツ続けて、出産に向けて会陰の伸びを少しでもよくしておけるといいですね。