妊婦は食中毒に要注意!気をつけたい4つの食中毒と赤ちゃんへの影響を解説

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

お腹の赤ちゃんのことを思うと、妊婦さんは口にするものひとつを取っても気を使いますよね。妊娠中に食べない方がいいとされている食べ物は様々ありますが、妊婦さんが特に気をつけたいのは「食中毒」の原因となる食品です。今回は、妊婦さんに知ってもらいたい食中毒の種類と、食中毒を防ぐために避けたい食べ物、普段の生活で心がけたいことをご説明します。

妊婦が食中毒に気をつけるべき理由は?

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妊婦さんに限ったことではありませんが、食中毒になると発熱や嘔吐、頭痛、腹痛、下痢などの症状が現れることが多く、つらい思いをします。

妊娠中は免疫力が下がり、食中毒にかかりやすいので、特に注意が必要です。

あとで詳しく説明しますが、食中毒の種類によってはお腹の赤ちゃんに影響を及ぼすこともあるので、食中毒になる可能性のある食品は避けたり、保存・調理の方法を工夫したりと、食中毒をしっかり予防することが大切です。

妊婦が注意すべき食中毒の原因は?

細菌 ウイルス ばい菌 微生物 
食中毒の原因となるものは様々ありますが、妊婦さんは特に、次の4つのものに注意しましょう。

それぞれの微生物が生息している可能性の高い食品もあわせて挙げますので、妊娠中は食べないように気をつけてくださいね。

リステリア菌

● 避けたい食品:肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン、ナチュラルチーズ

健康な大人の場合、リステリア菌の食中毒にかかることはまれで、発症しても軽症で済むことがほとんどです。

しかし、妊婦さんは少量のリステリア菌でも悪寒や発熱、筋肉痛などの症状が現れることがあるだけでなく、敗血症や髄膜炎など命に関わる病気につながることもあります(※1)。

カンピロバクター

● 避けたい食品:生レバー、ユッケ、鶏刺し

カンピロバクターによる食中毒は、日本で起きている細菌性食中毒のなかで最も多いとされています。

カンピロバクターに感染すると下痢、発熱、腹痛、吐き気、倦怠感などの症状が現れ、1週間程度で治ることがほとんどです。ただし、妊婦さんは重症化することが多いので注意が必要です(※2)。

トキソプラズマ

● 避けたい食品:レアステーキ、生ハム、ユッケ、馬刺し、サラミ

妊娠しているどうかに関係なく、トキソプラズマに感染しても目立った症状が現れないのが特徴です。

しかし、このあと説明するとおり、妊娠にはじめてトキソプラズマに感染すると、お腹の赤ちゃんに感染してしまうリスクがあるので、予防が大切です(※3)。

ノロウイルス

● 避けたい食品:加熱していない二枚貝(カキやハマグリなど)

ノロウイルスに感染すると吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、軽い発熱など胃腸炎の症状が現れます(※4)。

妊婦さんが特に重症になりやすいということを示す報告は特にありませんが、嘔吐や下痢により脱水症状を起こしたり、体力を消耗してしまったりする可能性があります。

妊娠初期の食中毒は胎児への影響が大きい?

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前述の4つの原因で食中毒になった場合、胎児に次のような影響が出る恐れがあります。

感染がわかった場合、原因となる病原菌にあわせた薬の投与などを行い、胎児への影響を最小限に抑えることになります。

リステリア菌

妊婦さんが感染すると、リステリア菌が胎盤を通じて胎児へ感染し、流産を引き起こしたり、生まれた新生児に影響が出たりすることがあります(※1)。

カンピロバクター

カンピロバクターのなかには、赤ちゃんに髄膜炎を起こすものもあります(※5)。

髄膜は、脳や脊髄の表面を覆っている膜で、髄膜炎になると知的障害や麻痺などの後遺症が残ることもあります。

トキソプラズマ

妊娠中に、生涯ではじめてトキソプラズマに感染した場合、胎盤を通じて胎児に感染する恐れがあります(※6)。

赤ちゃんに感染しても、約90%は特に症状がありませんが、残りの約10%に「先天性トキソプラズマ症」を引き起こし、脳や神経、皮膚や目などの障害が残ることや、幼くして亡くなってしまうこともあります(※6)。

妊婦さんの感染が妊娠初期であるほど胎児への感染率は低くなりますが、万が一感染した場合の胎児の重症度は高くなります(※6)。

ノロウイルス

ノロウイルスが妊婦さんからお腹の赤ちゃんに感染するということは考えられていません。

ただし、ノロウイルスの症状で妊婦さんが十分に水分や栄養を摂れなくなると、胎児の発育に影響を及ぼす可能性はあります。

妊娠中にできる食中毒予防法は?

火 加熱 バーベキュー 網 焼き 食べ物 野菜 肉
リステリア菌、カンピロバクター、トキソプラズマ、ノロウイルスに共通する予防法は、「食材を十分に加熱してから食べる」ということです。

生ハムや鶏刺しなど、生だからこそ美味しい料理もありますが、妊婦さんは生モノを避け、火が通ったものだけを摂取するように心がけてくださいね。

加熱以外にできる食中毒予防法は、以下のものがあります。

● しっかり手洗いしてから食事する、調理する
● 生野菜はよく洗う
● 新鮮な食材を食べる、調理に使う
● 生肉や魚を切った包丁はすぐに洗う
● 生肉、魚、卵を触ったら手を洗う
● 冷蔵庫内の食品も期限内に食べきる

妊娠中に食中毒の疑いがあればすぐ病院に

食後に体調が悪化したときは、食中毒の可能性があります。できるだけ早く対応するためにも、すみやかに産婦人科で受診してください。

また、特に体調に変化がなくても、火を通していない魚介類や肉類をうっかり食べてしまい、食中毒にかかっていないか心配なときも、医師に診てもらうと安心ですよ。

妊娠中は食べてはいけないものがたくさんあってストレスに感じる人もいるかもしれませんが、赤ちゃんが無事に生まれるまでのお楽しみとして取っておいてくださいね。

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