妊婦はワインを飲んでも大丈夫?妊娠中は料理に入れるのもダメ?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

ポリフェノールが多く含まれていて健康に良いとされるワイン。妊娠中はアルコールを控えるべきと十分わかっていても、ワイン好きの人はつい飲みたくなってしまうことがあるかもしれません。また、ワインを使った料理やお菓子を妊娠中に食べてもいいのかも気になりますよね。

今回は、妊娠中はなぜワインを飲んではいけないのか、飲むとどんな危険があるのか、料理やお菓子もダメなのかをご説明します。

そもそも妊娠中はなぜ飲酒を控えたほうがいいの?

妊婦 お腹

厚生労働省や日本産科婦人科学会は、妊娠中の飲酒を控えるよう啓発しています(※1,2)。

妊婦さんが飲酒をすると、流産や死産、早産や妊娠高血圧症候群などのリスクが高まります(※1)。

さらに、お腹の赤ちゃんの体にアルコールが入り、「胎児性アルコール症候群」を引き起こす恐れがあります(※3,4)。胎児性アルコール症候群では、以下のような先天異常がみられます。

● 特異的な顔貌(平坦な顔面中央、薄い上口唇など)
● 低身長や低体重などの発育の遅れ
● 脳や脊髄の障害

特異的な顔貌や低体重は少しずつ目立たなくなりますが、成長にともなって、ADHD(注意欠如・多動性障害)やうつ病、依存症といった疾患が現れることもあります(※4)。

妊婦はワインを飲んではいけないの?

ワイン グラス お酒 アルコール

ワインもアルコール飲料であるため、妊娠中は飲むのは控えてください。

アルコールの吸収や代謝能力は個人差が大きいため、「この量までなら安全」という線引きは難しく、たとえ少量であっても赤ちゃんに悪影響を与える恐れがあります。

妊娠中にどのくらいアルコールを摂取すると胎児性アルコール症候群が発生するのかについても、はっきりとはわかっていませんが、厚生労働省は妊婦が1日に純アルコール(エタノール換算)を60ml以上摂取すると、胎児性アルコール症候群の発生率が高まるとしています(※5)。

ワインのアルコール度数は種類によって違いがあるものの、1日にグラスで約4杯(500ml)以上のワインを飲むと胎児性アルコール症候群が発生する確率が高くなると考えられます(※5)。

妊娠中にワインを1滴でも飲んだらすぐに赤ちゃんに悪影響があるというわけではありませんが、「これ以下の飲酒量であれば赤ちゃんに影響がない」という安全量は確立されていないため、他のお酒と同様に妊娠中は飲むのはやめましょう。

妊娠中にワインを使った料理を食べるのもダメ?お菓子も注意が必要?

シチュー 料理 ワイン 肉 スープ

アルコールは火を十分に通せば蒸発するため、ワインを使って煮込んだり蒸したりした料理を食べても、基本的には問題ありません。

ただし、風味付けにワインが使われている場合は注意が必要です。

特にゼリーやチョコレート、ケーキのような生洋菓子は、ワインに火を通さずそのままを使っていることもあるので、購入するときはパッケージの注意書きを確認したり、店員さんに聞いたりしてくださいね。

赤ちゃんのために妊娠中のワインを飲むのはやめよう

妊娠中の飲酒はお腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるので、ワインを飲むのは我慢してくださいね。また、ワインを使った生洋菓子にも注意しましょう。

最近は、ノンアルコールのワインも充実しています。妊娠中にどうしてもワインが飲みたくなったときは試してみるのもいいかもしれません。購入するときは、アルコール0.00%であることを必ず確認してくださいね。

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