排卵された卵子が精子と受精し、その受精卵が着床した時点で妊娠が成立します。妊活に取り組んでいる人にとって、排卵後から着床するまでの間は、妊娠できるかどうかを左右する大事な期間。排卵がわかったら、ソワソワしてしまうのは仕方のないことです。「着床時期に飲酒や運動をしたことで、妊娠に影響を与えてしまったらどうしよう」という不安もあるかもしれませんね。今回は、排卵後や着床の可能性がある時期に飲酒や運動をしてもいいのか、排卵後の生活で注意したいことをご紹介します。
排卵から着床までの流れは?
受精するためには、性交により女性の腟内に射精された精子が、子宮内を進んで卵管の中にたどり着き、排卵された卵子と結びつく必要があります。
卵子と精子が受精した段階ではまだ「妊娠」とは言えません。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、数日かけて子宮へたどり着きます。受精卵が「胚盤胞」の状態まで成長すると着床を開始し、5〜6日間ほどかけて子宮内膜の中に潜り込んでいきます。着床が完了してはじめて妊娠が成立します。
通常、排卵から着床までに約2週間くらいかかると考えておくと良いでしょう。ただし、病院の超音波検査で妊娠が確認できるのは、受精の約4週間後です(※1)。
着床時期に飲酒をしても大丈夫?
妊活中の人は、「着床時期の行動が原因で、着床に失敗したらどうしよう」と心配になることもあるかもしれません。しかし、日常生活の範囲で着床に影響を与える行動はほとんどないと考えられています。
着床した可能性のある時期に飲酒をしてしまったとしても、過度なものでなければ心配しすぎる必要はありません。
ただし、妊娠中の女性が飲酒すると、生まれてくる胎児に低体重や奇形などの「胎児性アルコール症候群」を引き起こすリスクがあります(※2)。妊娠した後のことを考えて、妊活中から飲酒を控えておくと安心ですね。
着床時期に運動をしても大丈夫?
着床時期に安静が必要であるという医学的根拠はないため、運動をしても問題はないと考えられます。ただし、登山やフルマラソンといった普段しないようなレベルの激しい運動や、長時間の自動車の運転などは避けましょう。
「運動してはいけない」と気にしすぎるあまりストレスを溜めてしまうと、かえって体に悪いこと、また太りすぎていると妊娠しにくいという報告もあることから、着床時期に運動することにはプラスの要素もあるといえます。
適度な運動であれば、着床時期に行っても心配する必要はないため、ジョギングやヨガなどを行って、ストレス解消をするのはおすすめですよ。
排卵後~着床時期の生活で注意したいことは?
排卵前後で性交渉をもつと、着床が起こる可能性があります。妊活中の人にとっては、排卵後からの生活も気になるところだと思います。
いつも通りの生活を送ることが基本ですが、飲酒や運動以外に、喫煙には注意してください。
なぜなら、タバコを吸うことで血行が悪くなると、十分な栄養が子宮へ届かなくなってしまう恐れがあるからです。喫煙の習慣がある人は、妊娠を考えはじめた時点で禁煙を始めるようにしてくださいね。
着床時期はどう過ごせばいいの?
「これをすれば着床しやすくなる」という医学的根拠のある行動はありません。
しかし、着床の可能性がある時期だけに限らず、妊娠しやすい体づくりを意識しておくと良いですね。妊娠するためには、「卵巣や子宮の機能と、ホルモンバランスが正常であること」が大切ですよ。
日頃から意識しておきたい生活習慣は以下のとおりです。妊活に取り組み始めたら、規則正しい生活を心がけましょう。
- ● ストレスを溜めず、上手に発散する
- ● 質の良い睡眠をとる
- ● 禁煙する・タバコの煙を避ける
- ● 過度な飲酒を控える
- ● 冷えを解消する
- ● 適度に運動する
- ● 栄養バランスのとれた食事をする
排卵後や着床時期は普段通りの生活を心がけて
排卵後や着床時期だからといって、普段の生活と違う特別なことをする必要はありません。飲酒や喫煙を控え、睡眠・食事・適度な運動を心がけて規則正しい生活を意識するようにしましょう。
「妊娠率を上げるためにできるだけのことはしたい!」と思うものですが、あまり気負わずに、大切な人たちとの何気ない時間を大切にしてください。
なるべくストレスのない生活を送りつつ、赤ちゃんがお腹に宿ってくれる日を落ち着いた気持ちで待てるといいですね。