離乳食が始まると、まず気になるのが食物アレルギーではないでしょうか。アレルギーの有無は、実際に食べてから分かることも多く、どんな症状が表れるのか心配になりますよね。そこで今回は、離乳食のアレルギー症状について、よく見られる反応や、病院に行く目安などをご紹介します。
離乳食でアレルギー症状が出やすい食材は?

離乳食は一般的に生後5~6ヶ月頃から始めますが、この時期の赤ちゃんはまだ消化機能や腸管のバリア機能が成熟していません。そのため、アレルゲンとなりやすいタンパク質を分解する力が弱く、食物アレルギーを起こしやすい状態です(※1)。
アレルギー反応が出やすい食物として、厚生労働省では、過去に明らかな症例がみられた25品目を「特定原材料等」に定めています。
そのうち、食品中に特定原材料等を含む旨の情報提供として「省令で表示が義務付けられているもの」、「通知で表示を奨励しているもの」を以下にご紹介します(※2)。
特定原材料等(25品目)
省令で表示義務がある特定原材料
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生
通知で表示を奨励する特定原材料
あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
離乳食でみられるアレルギー症状とは?

食物アレルギーを起こす・起こさないは、個人差があるだけでなく、食べたときの体調も影響します。症状や程度も様々ですが、どんな状態になるのか知っておくことは大切です。
ここでは、食物アレルギーの目安となる、主な症状をご紹介します(※3)。
臓器 | 主な症状 |
消化器 | 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、血便 |
呼吸器 | 喉の違和感・かゆみ、声のかすれ、食べ物を飲み込みづらい、咳、喘鳴、胸の圧迫感、呼吸困難、チアノーゼ |
粘膜 | 眼症状:結膜の充血や腫れ、かゆみ、流涙、まぶたの腫れ 鼻症状:鼻水、鼻づまり、くしゃみ 口腔症状:口の中・唇・舌の違和感や腫れ |
皮膚 | 赤い腫れ、蕁麻疹、かゆみ |
神経 | 頭痛、ぐったり、意識障害(アナフィラキシーの症状がひどいケース) |
循環器 | 血圧低下、脈拍の異常(遅い・速い)、手足が冷たい、顔が青白くなる |
全身性 | アナフィラキシー:皮膚・粘膜の症状、呼吸器の症状、循環器症状 アナフィラキシーショック:ぐったり、脈が速い、意識障害、血圧低下(アナフィラキシーの症状がひどいケース) |
離乳食によるアレルギー症状は、いつ反応が出るの?

離乳食でアレルギー症状が出るときの特徴には、「即時型症状」と「非即時型症状」があります。
ここでは、それぞれの症状の特徴と、その原因となる確率が高い食物として代表的なものをご紹介します(※3)。
即時型症状
摂取から反応が出る時間が30分以内と短く、全身症状をはじめ、鼻水・喘鳴・呼吸困難といった呼吸器症状、結膜充血・流涙などの眼症状、紅斑・かゆみ・発疹などの皮膚症状が現れやすいのが特徴です。
いずれの食材でもアナフィラキシー症状は出現しますが、特に3大アレルゲンである牛乳や小麦、卵はアナフィラキシー症状が出やすいものです。また、アトピー性湿疹があったり、体調不良であったりする場合にも発症しやすくなります。
非即時型症状
摂取後から時間をおいて症状が出ることが多く、皮膚疾患として一過性の湿疹や、消化器疾患が見られることがあります。
主に、牛乳・小麦・大豆で食物過敏性腸炎症候群を起こしやすく、下痢や嘔吐、腹痛、体重増加不良を引き起こすことも。
しかし、摂取後24~48時間で症状が表れるものも含むため、食物との因果関係を明確にするのが難しいこともあります。
離乳食の食べさせ方や注意点、病院に行く目安は?

離乳食で初めての食材を与えるときは、万が一アレルギー症状がでたときに状態を悪化させないよう、少量ずつ様子を見ながら食べさせましょう。
初めは1食あたり1種までとし、食後にお出かけなどの予定がない余裕がある日が良いですね。また、万が一の場合を考えて、病院の空いている時間に間に合うように、初めてのものは平日の午前中に与えるようにしましょう。
口の周りが少し赤くなったとしても、必ずしもアレルギー反応が出たとは限りません。この程度の反応の場合は、初めて食べたことによる刺激で、次回以降は発症しない可能性があります。ただし、首から下の部分に生じた場合は、アレルギーの可能性があります。
もし、機嫌の悪さが続いたり、下痢などの普段と違う様子が見られるようであれば病院を受診しましょう。
離乳食でアレルギー症状が出たら医師や専門家に相談しよう

食物アレルギーの治療法は医師の判断によって異なり、完全に対象の食品を除去する方法や、少量ずつ与えて慣らす方法など、様々です。自己判断で進めると逆効果になることもあるので、必ず医師や専門家に相談しましょう。
初めから自己判断で極端に食材を避けるのは、栄養の面から考えて良いことではありません。「どうしても気になる」「心配で離乳食が進まない」といった場合は、乳児健診のときに相談したり、保健センターなどで行っている離乳食講習に参加してみるのもおすすめですよ。
最近は、アレルギーが出やすい食品の代替品の種類も豊富です。大豆不使用で、きび、あわ、米などを原材料にした醬油やみそ、小麦不使用のカレーやシチューのルーもあるので、上手く活用しながら離乳食を進めていってくださいね。