最近ナッツアレルギーの子どもが増えているのをご存知でしょうか。重症化すると呼吸困難や血圧低下、意識障害などの症状を引き起こすことがあり、ナッツ類はママやパパのしっかりとした管理が必要になります。
今回は、ナッツアレルギーの症状や治療法、食べさせられる時期などについてご紹介します。
赤ちゃんにナッツ類はいつから?
ナッツ類は離乳食期には与えられない食材です。アレルギー症状がでやすく、なかでもくるみはアレルギー表示が義務付けられている「特定原材料」のひとつです(※)。
ごく少量でも重いアレルギーを引き起こす可能性があります。明確な指標はありませんが、十分に体力がついた1歳半以降が安心かもしれません。
初めて食べさせるときはアレルギー症状が出た場合や心配ごとに備えて、かかりつけの医療機関を受診できる曜日の午前中に与えましょう。1日1口からはじめて、様子を見ながら量を増やすようにしてください。
ただし、ナッツ類は窒息や誤嚥(ごえん)しやすい食べ物なので、そのままの状態や細かく砕いた状態のナッツ類は、5歳以下の子どもには与えられません(※1)。
5歳以下の子どもに与える場合は、なめらかなペースト状や粉状になっているものを選んでくださいね。食べやすいドレッシングなどから試してみるのもいいですよ。
※くるみの表示義務化は2025年4月からになります
ナッツアレルギーって?子どもに増えているの?
ナッツアレルギーは、本来は細菌やウイルスを退治してくれる免疫機能が、体に害を与えないナッツの成分に対して過剰に反応してしまうことで起きます。
「卵」「牛乳」「小麦」が乳児の食物アレルギーの3大アレルゲンとして有名ですが、2020年の調査ではナッツ類が「小麦」を抜いてアレルギーの原因の第3位となっており、国内でのナッツアレルギーの報告数が増えてきています(※2)。
ナッツ類には、くるみ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツなどが含まれます。
ナッツアレルギーの報告で特に多いのがくるみ、次いでカシューナッツ、マカダミアナッツです。混同されやすいのですが、ピーナッツは豆類の仲間なので、ナッツ類には含まれません。
ナッツ類は、どれか1つがアレルギーとなった場合でもひとくくりにして除去する必要はありません(※3)。
ただし、複数のナッツに対してアレルギー反応を起こすことがあるので、症状が出たときはどのナッツがアレルギーの原因となっているかを血液検査などで突き止める必要があります。
ナッツアレルギーの症状や対処法は?
ナッツアレルギーの症状としては、主に次のようなものが挙げられます。ナッツ類を初めて食べさせるときは、以下のような症状が出ないかを慎重に確認する必要があります。
主なアレルギー症状
・皮膚のかゆみや湿疹、じんましん
・充血、目のかゆみ
・腹痛、下痢
・吐き気、嘔吐
・咳、くしゃみ
・口や唇、喉のかゆみ
・呼吸困難
・アナフィラキシーショック
このなかでも特に注意したい症状が、血圧低下や意識障害などが起こるアナフィラキシーショックです。
2020年の報告では、ショック状態を起こした原因食物のうち、約17.4%がナッツ類と報告されています(※2)。症状が見られたら、速やかに病院を受診しましょう。
ナッツアレルギーの対策は?
ナッツアレルギーになると、アレルゲンと推定されるナッツを食べさせないことになります(※4)。具体的にどのナッツを避けるべきかは、血液検査の結果を考慮した上で医師と相談して決めます。
避けるナッツが決まったら、食品の原材料を毎回確認するようにしましょう。ナッツは栄養価も高いことから、お菓子やパン、バター、ドレッシング、ソースなどさまざまな加工食品に使われており、知らず知らずのうちに食べてしまうリスクがあります。
また、ナッツの粉を吸引してアレルギー反応を起こす場合もあるので、他の家族が食べるときも気をつけましょう。
アレルギー反応やアナフィラキシー症状が出てしまったときの対処については、アレルギーの診断を受けたときに医師に確認しておいてくださいね。
ナッツアレルギーは成長につれて治ることはあるの?
「卵」「牛乳」「小麦」「大豆」などのアレルギーは成長とともに症状がでなくなることが多いですが、残念ながらナッツアレルギーは治りにくいとされています(※5)。
ナッツを除去する生活は慣れるまで大変ですが、子どもと一緒にどの食品にナッツが使われているかを学んでいけるといいですね。
子どもにナッツ類を食べさせるリスクを知っておこう
栄養が豊富で美味しいナッツですが、重いアレルギー症状を引き起こす可能性があることを知っておきましょう。
また、窒息や誤嚥の危険があるため、5歳以下の子どもはそのままの状態では食べさせられません。大人が食べるときは、必ず子どもの手の届かないところにおいてくださいね。