ゴム手袋を使って洗い物などをして、手にかゆみや赤みが出た、という経験をしたことはありませんか?もしかすると、「ラテックスアレルギー(ゴムアレルギー)」かもしれません。アレルギー症状が悪化すると、まれに命に危険が及ぶこともあるので、注意が必要です。今回は、ラテックスアレルギーの原因や症状、コンドームでかぶれるときの避妊対策などをご説明します。
ラテックスアレルギーとは?
ラテックスアレルギーとは、天然ゴムに含まれる「ラテックスタンパク質」に反応して、様々な皮膚障害を引き起こすアレルギーです。
具体的には、ゴム手袋やゴム風船、コンドーム、カテーテルという医療用チューブなどのゴム製品に接触したときにラテックスアレルギーが現れることがあります。
ラテックスアレルギーになりやすい人とは?
日本ラテックスアレルギー研究会によると、次のような人はラテックスアレルギーを発症しやすいとされています(※1)。
● 天然ゴム製のゴム手袋を着用する頻度が高い
● アトピー性皮膚炎など慢性的な肌荒れがある
● 手術など医療行為を何度か受けたことがある
ラテックスアレルギーの症状は?
ラッテクスアレルギーの症状や程度は人によって異なりますが、主に皮膚のかゆみや赤み、蕁麻疹(じんましん)などが見られます(※1)。
次のような経験がある場合、ラテックスアレルギーの可能性があります。
● 輪ゴムを腕に巻いていて、かゆくなった
● ゴム手袋をつけたあと、手に湿疹が出た
● 天然ゴム製のおもちゃで遊んで、まぶたがかぶれた
● 歯医者で治療を受けたあとに、唇が腫れた
症状が悪化すると、まれに呼吸障害や血圧低下、意識障害などの「アナフィラキシーショック」を起こすこともあります。
アナフィラキシーショックを起こすと、最悪の場合、命に危険が及ぶこともあるので、重症化する前に対策をしたり、軽い症状が現れた時点で治療を受けたりすることが大切です。
ラテックスアレルギーは果物でも発症する?
ラテックスアレルギーを持つ人は、果物を食べて「ラテックス・フルーツ症候群」を発症することもあるため、消費者庁・厚生労働省・経済産業省が連名で注意喚起をしています(※1)。
特に、栗やバナナ、アボカド、キウイフルーツを食べると発症しやすく、重症化する恐れがあるため、注意が必要です(※1)。
果物で発症する理由は、これらの食べ物に含まれるたんぱく質の構造が、ラテックスタンパク質と似ているためだと考えられています。
ラテックスアレルギーの対策は?
現在のところ、残念ながらアレルギーを完治させる方法はありません。天然ゴム製品に接触したあと、皮膚に異常が現れたときは、皮膚科などアレルギー専門の医療機関を受診しましょう。
医師からラテックスアレルギーと診断されたときは、症状が進行したり、再発したりしないよう、日常生活でゴム製品との接触をできるだけ避ける必要があります。
また、病院で診察や手術を受けるときは、天然ゴムを含む医療器具に触れる機会も多いため、事前にラテックスアレルギーであることを医師に忘れずに伝えてくださいね。
ラテックスアレルギーはコンドームでもかぶれる?避妊はどうする?
前述のとおり、ラテックスアレルギーによる症状は個人差がありますが、なかにはゴムで作られたコンドームで皮膚がかぶれてしまう人もいます。
放っておくと症状が悪化してしまうことがあるので、コンドーム以外の方法での避妊も検討しましょう。例えば、女性がピルを飲んだり、男性がポリウレタン製のコンドームに変えたりすることも一つの方法です。
性交後に少しでも体に違和感があるときは、我慢したり放置したりせず、皮膚科や婦人科を受診してくださいね。
ラテックスアレルギーを認識しよう
天然ゴム製品を使ったときに、肌に異常が出たことがある場合、ラテックスアレルギーの可能性を考えてできるだけ早く病院で検査を受けましょう。
ラテックスアレルギーと診断された場合、完全に治すことは難しいですが、アレルギー体質であることを認識しておくことで、再発を防ぐことができます。日常生活で使うものの素材や食べるものに気を使い、自分の体の健康を守るようにしてくださいね。