生理の血が茶色で少量の原因は?長引くのはなぜ?

監修医師 産婦人科医 永瀬 絵里
永瀬 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 監修記事一覧へ

「そろそろ生理がくる頃かな?」と思ったら、茶色いものが下着についていたという経験はありませんか?生理なのに茶色い血が出ることはあるのか、もしかしたら何かの病気ではないかと心配になると思います。そこで今回は、生理で茶色の血が出るのか、少量の出血が長引くときの原因は何か、病気の可能性はあるのかなどをご説明します。

生理の血が茶色になることはある?

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女性の子宮では、月経(生理)周期に合わせて、受精卵が着床しやすくなるための「子宮内膜」という組織が成長しています。しかし、排卵後に受精が起こらなければ子宮内膜は不要になるため、剥がれ落ちて体外に排出されます。このときの出血が生理です。

子宮内膜が剝がれ落ちるときには、多くの人が「血」と聞いて連想するような、赤色や暗めの赤色をした経血が排出されるのが一般的です。

しかし、生理周期や経血の量に個人差があるように、経血の色にも個人差があります。次から説明する原因などによって、茶色っぽい血がでることもあります。

生理の血が茶色になる原因は?

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経血は、酸化することで茶色っぽく変色することがあります。

経血が茶色いと、排出がうまくいっておらず、前回の生理のときに排出されるはずだった経血が子宮内に残って酸化した、あるいは、流れ出る勢いが弱くて体内にとどまっている時間が長かった、などが考えられます。

茶色っぽい血がでること自体はそれほど問題ではないことがほとんどですが、経血の排出がうまくいってないということは、ホルモンバランスが乱れている可能性はあります。

生理ではない?茶色の血が少量でたら妊娠かも?

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生理予定日付近に茶色の血が少量出た場合、受精卵が着床する際に子宮内膜を傷つけて出血する「着床出血」の可能性もあります。

着床出血の場合、1~3日ほどで終わることがほとんどです。茶色の出血が少しだけあり、生理予定日を過ぎてからも生理がなかなか来ない場合は、生理予定日の1週間後以降に、妊娠検査薬で調べてみてもいいかもしれません。

また、茶色の出血が生理かどうか判断できないときは、基礎体温をチェックしてみましょう。生理が始まると基礎体温が下がりますが、出血後も高温期が続いている場合は妊娠している可能性があります。

茶色の出血の原因は、生理ではなく病気かも?

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茶色の出血が大量に出たり、少量なのに長引いたりするようなときは注意が必要です。

以下のような病気にかかると、子宮内などに血液がたまり、それが酸化して茶色い血が出てくることもあります。不妊の原因にもなり得るものなので、一度婦人科に相談し、検査を受けてみてください。

子宮内膜症

本来子宮にあるはずの子宮内膜が、子宮以外の場所にできてしまうことを「子宮内膜症」といいます。生殖可能年齢の女性の10%に起こる病気です(※1)。

子宮内膜症になると、不正出血や月経時の大量出血などが見られるほか、生理のときの排泄物に血が混ざる、生理痛がひどくなる、腰痛や腹痛を感じるなどの症状が出てきます。

子宮腟部びらん

子宮腟部びらんとは、子宮の入口付近が赤くただれたようになった状態のことをいいます。

ただれたようにみえるだけの「仮性びらん」と、本当にただれている「真性びらん」の2種類がありますが、ほとんどが「仮性びらん」で、これは月経がある女性の多くに見られる生理的な症状です。

仮性びらんで症状が強くなければ、治療の必要はありませんが、真性びらんで不正出血が続く場合は、薬の服用などで治療を行うこともあります。

子宮筋腫

子宮にできる良性の腫瘍の一つに、子宮筋腫があります。正確な頻度はわかっていませんが、性成熟期の女性の20~40%に存在するともいわれています(※1)。

子宮筋腫になると、不正出血が続くほか、生理中の経血量が多くなったり、生理の期間が長引いたりすることがあります。ほかに、ひどい生理痛や排尿痛、便秘、貧血などを感じることもあります。

子宮頸がん

子宮頸がんは、乳がんに次いで、婦人科系のがんで発生率が2番目に多い疾患です。日本では、10万人に9.8人ほどが毎年子宮頸がんを発症しており、最近は40歳未満の若年層の患者が増えてきました(※1)。

子宮頸がんになると、おりものに血が混じり、茶色っぽいおりものが増えることがあります。少量の茶色っぽい出血が続く、生理の出血が増える・長引くなどの症状がある際は、すぐに婦人科を受診してください。

生理の茶色い出血を改善するには?

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病院で検査をして病気などが見つからなければ、茶色の出血はホルモンバランスの乱れが主な原因と考えられます。まずはゆっくりと休息をとり、ストレスや疲労を回復しましょう。

質のよい睡眠をたっぷりとる、バランスのとれた食事を心がける、適度に運動をするなど、日々の生活習慣を見直してみてください。ストレスをためないようにしながら、心身ともに健康な生活を送りましょう。

生理で茶色の血が少量でも出たときは、自分の体と向き合おう

生理の血が茶色であることは、体になんらかの異変が起きているサインです。

「ほんのちょっとだけだし、大丈夫だろう」と見過ごしてしまいがちですが、婦人科系の病気を発症している可能性もあります。病院を受診し、早めに原因を突き止めることが大切です。

もし病気がみつかれば、その治療を行えますし、病気がないことがわかれば、安心して生活の改善に取り組めます。自分の体と向き合う機会だと考えて、早め早めの行動を心がけてくださいね。

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