生理が来るたびに吐き気に襲われるという人は多いのではないでしょうか？吐き気のあまりに実際に嘔吐してしまうこともあるかもしれません。生理中は生理痛があるだけでも憂うつなのに、吐き気まで重なるとつらいですよね。そこで今回は、生理中の吐き気について、原因や対処法をご説明します。
生理中の吐き気の原因は？
生理中の吐き気の原因は主に、「プロスタグランジン」というホルモンの分泌です。
プロスタグランジンは生理中、経血の排出を促すために子宮を収縮させる働きがありますが、同時に胃や腸にも作用します。そのためプロスタグランジンの分泌が多くなってしまうと、吐き気や気持ち悪さを感じることがあるのです。
プロスタグランジンは、スムーズに経血が流れ出ていれば、分泌量はそれほど多くなりません。
しかし、冷え性で子宮周辺の血行が悪いために経血の排出が滞っていたり、ホルモンバランスが乱れていたりすると、体がもっと子宮を収縮させようとして、プロスタグランジンがたくさん分泌されるようになります。
生理中に吐き気があったり、嘔吐してしまったりする人は、プロスタグランジンが過剰に分泌されていると考えられます。
生理中の吐き気は生理痛と関係がある？
生理痛にともなって吐き気が現れるという人も多いと思いますが、これにはきちんとした理由があります。さきほど吐き気の原因としてご紹介したプロスタグランジンの過剰分泌が起こると、子宮収縮が強くなって腹部に痛みを感じやすくなるからです。
つまり、生理中の吐き気の原因も、生理痛の原因も、同じプロスタグランジンの影響によるものということです。生理中に生理痛と吐き気が同時に現れる人が多いのは、このためです。
生理で気持ち悪いのは妊娠の可能性もある？
生理前の吐き気であれば妊娠初期症状の可能性も考えられますが、生理中の吐き気がつわりの可能性はあるのでしょうか。
結論から言うと、本当に生理が来ているのであれば妊娠に必要な子宮内膜が経血として排出されてしまうので、妊娠している可能性はありません。
ただし生理だと思っていた出血が「排卵出血」や「着床出血」などの不正出血だったとしたら、妊娠の可能性もあります。
生理中にいつもは感じない吐き気を感じたときは、まず基礎体温をチェックしてみてください。出血が本当に生理であれば、上のグラフのように、高温期から低温期へとすでに移り変わっているはずです。
もし出血中も高温期が続いているならば、生理ではなく不正出血である可能性、つまり妊娠している可能性もあります。その場合は生理開始予定日から1週間を過ぎたタイミングで、妊娠検査薬を使って調べてみてください。
生理中に吐き気がひどいときは病気かも？
生理中に吐き気がひどい、または生理のたびに吐き気がするというときは、婦人科系の病気が隠れている可能性もあります。一度婦人科を受診し、検査を受けることをおすすめします。
たとえば、子宮内膜が子宮以外の場所にできてしまう「子宮内膜症」という病気にかかると、吐き気や嘔吐を感じる人が25％程度います（※1）。
子宮内膜症は生理周期に合わせて症状の緩急があるのが特徴で、生理中は特に症状がでやすくなります。起き上がれなくなるほど生理痛がひどくなることも多いです。
また、検査によって子宮内膜症などの疾患がみつからないものの、吐き気がひどくて日常生活に支障をきたすような場合は、「月経困難症」と診断されることもあります（※2）。
月経困難症はプロスタグランジンの過剰分泌が原因と考えられており、これを抑制する薬を使用したり、低用量ピルで排卵を抑えたりすることで治療を行います。
病気があるにしてもないにしても、婦人科を受診すれば症状を緩和する治療を行うことができます。1人で悩みすぎず、医師に相談することも大切ですよ。
生理中の吐き気や生理痛の予防方法は？
生理中の吐き気は、できれば予防したいもの。吐き気の一番の原因であるプロスタグランジンの過剰分泌を抑制するために、生理が始まる前から以下の生活を心がけてください。
プロスタグランジンの過剰分泌が治まると、吐き気と同時に、生理痛も緩和されていきますよ。
体を温める
体の冷えは、経血の排出を妨げてプロスタグランジンの分泌量を増やす原因になります。体を冷やさないように、腹巻やカイロでお腹周りの冷えを防ぎましょう。できるだけ毎日湯船に浸かり、寝る前に足湯をするなど、体を温めることを習慣づけるのも大切です。
適度に運動する
体の血行をよくするために、運動を心がけましょう。激しい運動をする必要はなく、ウォーキングや軽めのジョギング、ストレッチなどでじんわりと汗をかく程度で構いません。週に1～2回ほど、日々の生活に運動を取り入れましょう。
規則正しく栄養バランスのとれた食事を心がける
体を健康に保つために、食事は基本です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、毎日規則正しい時間に適度な量の食事を取りましょう。バランス良く栄養を摂取していれば体も健康的になり、生理中の体調も整ってきますよ。
生理中の吐き気対策は日常生活の見直しから
生理のたびにひどい吐き気に襲われるのはつらいものです。生理中の体を楽にするために、まずは日常生活から見直してみましょう。健康的な生活を送っていれば、ホルモンバランスの乱れも小さくなり、生理中の不快症状もやわらぎますよ。
生理痛が強い、吐き気が強くて気持ち悪いということは、体が悲鳴をあげているサインかもしれません。生活を見直してもなかなか症状が治まらないときは、婦人科を受診して医師に相談するようにしてくださいね。
