女性の健康のバロメーターともいわれる「おりもの」。生理周期や体の状態に合わせて日々変化していますが、急に乳白色でヨーグルト状のおりものが出てくると、「これって、大丈夫なのかな？」と不安を感じますよね。そこで今回は、おりものが乳白色でヨーグルト状になっているときの原因と病気の可能性、病院に行くべきかどうかについてご説明します。
おりものの正常な状態は？
おりものが異常かどうかを見分けるためには、まず正常なおりものの状態を知っておくことが大切です。
おりものは、細菌の侵入や繁殖を防ぐ役割と、排卵時期に精子が卵子に到達しやすいよう、受精をサポートする役割を持っています。
排卵時期とそれ以外の時期で役割が違うので、おりものは生理周期に合わせて変化する必要があります。透明で量が多く、糸を引くような状態と、やや白っぽくて量が少なく、ベタベタとした状態とを繰り返しています（※1）。
臭いは無臭かやや酸っぱい程度で、強い臭いはしません。分泌量には個人差があり、ほとんど出ていることに気づかない人もいます。
おりものが乳白色でヨーグルト状になる原因は？かゆみがない・無臭のときは？
排卵が終わって生理が近づくと、おりものは透明から白っぽく変化するため、乳白色に見えることもあります。そのため、この時期に乳白色に見える場合は、過度に心配する必要はありません。
ただし、乳白色になるだけでなく、ヨーグルト状やクリーム状になっているときは、腟内が炎症を起こしている可能性が高いといえます。
以下3つの病気の可能性を疑い、婦人科を受診するようにしましょう（※2,3）。
腟カンジダ症
消化管や皮膚の常在菌である「カンジダ」が、腟で異常増殖して起こるのが、「腟カンジダ症」です。
性成熟期で妊娠していない女性の約15％が腟内にカンジダを保有しており、このうち37％ほどの人が腟カンジダ症を発症します。
腟カンジダ症が発症すると、おりものが、白い酒かす状・ヨーグルト状・カッテージチーズ状といわれる、特徴的な状態になります。デリケートゾーンに、強いかゆみや痛みが現れることもあります。
悪臭がしないため症状を放置してしまいがちですが、おりものに異変を感じたら要注意です。
トリコモナス腟炎
トリコモナス腟炎は、「トリコモナス原虫」という微生物が感染して発症する、性感染症の一つです。
感染すると、黄色っぽい、あるいは灰色がかった泡状のおりものが現れ、強烈な臭いを発します。人によっては、乳白色のクリーム状・ヨーグルト状に見えることもあります。
おりものの変化の他に、デリケートゾーンにかゆみを感じることもあります。
多くは性行為によって感染しますが、タオルや下着、浴槽から感染することもあり、20～60代まで、幅広い年代の女性がかかる可能性があります。
細菌性腟炎
細菌性腟炎になると、多量のクリームっぽいおりものが出ます。腟が熱を持ち、ヒリヒリとすることもあります。かゆみや痛み、においは、ほとんどありません。
細菌性腟炎は、性感染症と違い、腟内にもともといる大腸菌やブドウ球菌といった常在菌が原因となります。疲労やストレスなどで免疫力が低下したときに、これらの菌が異常繁殖して、炎症を起こします。
性成熟期の女性に多く見られます。
おりものが乳白色でヨーグルト状になったときの治療法は？
乳白色でヨーグルト状のおりものは、原因によって治療の方法が異なります。具体的には、原因にあわせて下記のような治療が行われます（※2,3）。
複数の菌や病気が原因になることもあるため、経過を観察しながら治療方針が決められます。
腟カンジダ症
膣カンジダ症の治療には、抗菌薬である「エンペシド腟錠」「フロリード腟坐剤」「オキナゾール腟錠」などを使用します。かゆみがあるときは、塗り薬を使用することもあります。
治療はおおむね6回行う必要があり、その間、毎日通院する必要があります。毎日通院するのが難しいときは、1週間に1度の投与で効果がみられる腟剤を使用することもあります。
トリコモナス腟炎
トリコモナス腟炎の治療は、基本的に「メトロニダゾール」などの飲み薬で行われます。
ただし、妊婦さんが服用すると、胎盤をとおして赤ちゃんに影響を与えてしまうこともあるので、妊娠中の治療には腟剤が使用されます。
また、飲み薬の服用中に飲酒を行うと、腹痛、嘔吐などの副作用が起こることがあります。服用中～服用後3日間は、お酒を控えましょう。
細菌性腟炎
細菌性腟炎が発症したら、まずは腟内を洗浄します。その後、抗生物質を含む腟剤を、7～10日間投与します。
ヨーグルト状のおりものを防ぐ方法は？
ヨーグルト状のおりものの原因となる病気は、主に性交や、腟の自浄作用の低下によって引き起こされます。
下記のような方法で、細菌の感染や繁殖を予防することで、おりものがヨーグルト状になることを防ぐことができます。
- 性交の際はコンドームを使用する
- 疲労やストレスをためすぎないようにして、免疫力の低下を防ぐ
- 通気性の良い下着を身につける
- おりものが多い時期は、蒸れやすいパンティストッキングの着用を避ける
- おりものシートやナプキンをこまめに変えて、腟を清潔に保つ
- お風呂で腟を洗い過ぎないようにする
- デリケートゾーンは、デリケートゾーン専用の刺激が弱い石鹸で洗う
おりものが乳白色でヨーグルト状なら病院へ
おりものが乳白色でヨーグルト状になっていることに気づいたら、自己判断せずに婦人科を受診するようにしましょう。原因となる病気は様々ですが、放置しておくと不妊の原因になることもあります。
おりものの異常は人にも相談できず、病院に行くのを恥ずかしいと思うかもしれかもしれませんが、多くの女性が経験しているものです。できるだけ早めに医師に見てもらい、治療を行ってくださいね。
