月経困難症や不妊症の治療、緊急避妊などに効果があるとされる「プラノバール」。副作用で吐き気などを引き起こすこともあるため、服用時には体調の変化に注意が必要です。今回はプラノバールの副作用について、どんな症状があるのか、吐き気はいつまで続くのか、太ることもあるのかなどをご説明します。
プラノバールにはどんな働きがあるの？
プラノバールには「黄体ホルモン（プロゲステロン）」と「卵胞ホルモン（エストロゲン）」という2つの女性ホルモンが配合されており、服用することで人工的にホルモンバランスを変化させることができます（※1）。
女性を悩ます生理不順や月経困難症（重い生理痛）などの症状は、黄体ホルモンと卵胞ホルモンのバランスが崩れて引き起こされることが多くあります。また、こうした婦人科系疾患が不妊の原因となることもあります。
一定期間プラノバールを服用すると、体内の女性ホルモンが補われ、月経周期が正常に近づいたり、卵巣機能が改善されたりします。
そのため、ホルモンバランスの乱れによって起きる婦人科系疾患や不妊症の改善に効果があるとされています（※1）。
プラノバールの副作用は？吐き気がある？
プラノバールには女性ホルモンが配合されており、服用することで人工的にホルモンが補充されて急激にホルモンバランスが変化するため、副作用が起きることがあります。
プラノバールの製造販売元によると、主な副作用として吐き気や嘔吐、食欲不振といった消化器系の症状が見られることがあります（※1）。
また人によっては、胸の張りや頭痛、肩こり、倦怠感などの副作用が現れることもあります（※1）。
さらに、発症頻度はまれですが、血液が固まり、血管を詰まらせてしまう「血栓症」を引き起こす恐れもあります（※1）。頭痛や手足のしびれ、急に目が見えにくくなるといった症状は、血栓症の兆候である可能性があるので、注意が必要です。
プラノバールを飲んでいるときは、こうした副作用があることを覚えておき、体調不良を感じたらプラノバールを処方された病院をすぐに受診するようにしましょう。
プラノバールの副作用はいつまで続く？吐き気はすぐにおさまる？
プラノバールは、処方の目的にあわせて、1日1錠を数日間～数週間飲み続ける薬です（※1）。
プラノバールの副作用は、体内のホルモンバランスが急激に変わることによる一時的なものであり、飲み始めたばかりの時期に現れることが多いようです。しばらく飲み続けているうちに体が慣れて、吐き気などは起こらなくなるのが一般的です。
ただし、プラノバールによる副作用の程度は個人差があります。吐き気や頭痛などがつらくて日常生活に支障が出るような場合には、かかりつけの婦人科を受診しましょう。
副作用がつらいからといって、自己判断でプラノバールを飲むのをやめたり、服用量を減らしたりしてしまうと、かえって体調が悪くなってしまう可能性もあります。必ず医師に相談して、ほかの薬に切り替えるなどの対策をとってもらってくださいね。
プラノバールの副作用対策に、吐き気止め薬は飲んでもいい？
プラノバールを飲んでいて吐き気が現れた場合、あまりにつらくて吐き気止めの薬を飲みたくなる人もいるかもしれません。
病院や医師の方針にもよりますが、吐き気や嘔吐などの症状について相談すれば、併用して飲める吐き気止めの薬を処方してもらえることも多いようです。
副作用で吐き気があるけれど、プラノバールの服用を途中でやめたくない、といった場合には、かかりつけの医師に吐き気止めの薬の処方を相談してみてくださいね。
プラノバールとの飲み合わせで体調が悪化してしまうと良くないので、市販の胃薬や吐き気止めの薬を自己判断で飲むことは控えましょう。
プラノバールの副作用で吐いてしまったら？
副作用の吐き気がひどいと、プラノバールを飲んだあとに嘔吐してしまうこともあるかもしれません。緊急避妊を目的としてプラバノールを服用したときなどは特に、薬の効果がなくなってしまうのではないかと不安になりますよね。
日本産科婦人科学会によると、緊急避妊のためにプラノバールを飲んだ場合、服用後2時間以内に嘔吐したのであれば、同じ量のプラノバールを追加で処方することがあります（※2）。
ただし、「プラノバールを飲んで何時間経っていれば、体に吸収されているから大丈夫」といった基準は特に示されていません。
どんな目的で飲んだにせよ、プラノバール服用後に嘔吐してしまった場合は、かかりつけの婦人科医に具体的な時間を伝え、今後の飲み方などについて相談しましょう。
プラノバールの副作用で太ることもあるの？
プラノバールはホルモン剤の一種ということもあり、「飲み続けると副作用で太るのでは」と心配する女性もいるかもしれませんが、プラノバールを飲むことで脂肪が増える、ということは特に報告されていません。
ただし、プラノバールに配合されている黄体ホルモンが「電解質代謝」に影響を与えることで、「むくみ」や「体重増加」が生じることはあります（※1）。
電解質とは、ナトリウムやカリウムなど、体液に含まれる電気を通す物質です。黄体ホルモンの作用によって電解質代謝が正常に働かないと、体が水を溜めこみやすくなり、むくんだり体重が増えたりすることがあるのです。
プラノバールの製造販売元によると、副作用としてむくみや体重増加が見られる頻度は0.1～5％未満とあまり高くはありませんが（※1）、場合によっては途中で服用を中止した方がいいこともあるため、体の変化が気になるときはかかりつけの医師に相談しましょう。
プラノバールの副作用は医師へ相談を
プラノバールの服用後に起こる吐き気などの副作用は、体が薬に慣れていないことで起こる一時的な症状です。飲み始めの頃に現れやすく、最初はつらく感じますが、徐々に治まってくることがほとんどです。
日本産科婦人科学会によると、プラノバールを食事と一緒に飲んだり、寝る前に牛乳と一緒に飲んだりすることで、吐き気が抑えられるという報告もあります（※2）。
プラノバールを処方してもらうときに、気をつけるべき副作用のほか、体にできるだけ負担がかからない飲み方なども医師に聞いてみてくださいね。
