後産とは?胎盤が出ないと手術が必要?いつまで続くの?

監修専門家 助産師 鶴町 はるな
鶴町 はるな 茨城県立中央看護専門学校助産学科卒業後、総合周産期センターの産婦人科・NICU勤務を経て、クリニックでのフリースタイル分娩や無痛分娩にも携わってきました。現在は産後ケアや母乳外来を中心に活動しています... 監修記事一覧へ

赤ちゃんが生まれても、お産は終わらないことをご存じですか?これは「後産」と呼ばれる、分娩に必要なしくみです。「生まれた後もまだお産の痛みが続くの!?」と不安を感じるかもしれませんね。今回は後産とはどういうものか、痛みはあるのか、どれくらい続くのかなど、気になる点をご説明します。

後産とは?胎盤を排出する?

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後産とは「あとざん」と読み、赤ちゃんを出産した後に子宮内にある胎盤や臍帯を排出することです。後産が起こる期間のことを、「後産期(こうさんき)」といいます。

無事に赤ちゃんを産んだら、その瞬間に出産が終わるというわけではありません。赤ちゃんを産んだ後も、それまで赤ちゃんとつながっていた胎盤や臍帯などの組織がママの子宮や腟の中に残っているからです。

妊娠前の体に戻るためには、子宮や膣内に残った胎盤や臍帯をきれいに排出する必要があります。そのため、後産が終わるまではお産が終了したとはいえないのです。

後産は痛い?いつまで続くの?

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赤ちゃんが生まれると、陣痛の強さや周期などが不規則になり、一時的に陣痛が軽くなります。しかししばらくすると、再び陣痛が起こり、後産が始まります。

陣痛によって子宮の収縮が促されることで、子宮に貼り付いていた胎盤が剥がれ落ち、臍帯と一緒に排出されます。胎盤や臍帯がすべて排出されたら、最後に会陰切開や裂傷などの縫合を行なって、後産および分娩に関わる処置はすべて終了となります。

後産の間には、いきみたくなるような痛みを感じる人もいますが、「大きなものが出てくる違和感」程度にとどまり、あまり痛みを感じない人もいます。個人差はありますが、どちらにしろ、赤ちゃんを生むまでの陣痛のほうが強いので、乗り切れないほどの痛みであることはありません。

また、後産にかかる時間は、長くても胎児出産後、30分程度です(※1)。30分をこえると、自然に排出できないと判断され、医師の処置が入ることもあります。

後産と後陣痛は違うのもの?

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後産とは別に、出産後に陣痛が現れることがあります。これは「後陣痛」といって、分娩終了後しばらくしてから陣痛のような痛みが起こる現象です。

初産婦よりも経産婦のほうが痛みを感じ始めるのが早く、なかには分娩直後から後陣痛が始まる人もいます。

後陣痛は、妊娠期間中に大きくなった子宮を、妊娠前のサイズに戻そうとするために子宮が収縮することで起こります。子宮から何かを排出するためではなく、あくまでも子宮の収縮をさせることが目的だと考えてください。

子宮の収縮がうまくいかないと、お産による出血もなかなか止まりません。後陣痛は、決して悪い痛みではなく、体を守るための大切な痛みです。

後産のときの陣痛は、胎盤が排出されれば治まることがほとんどですが、後陣痛は2~3日間ほど痛みが続きます(※1)。多胎妊娠や羊水過多症だった人、経産婦さんが特に痛みを感じやすいようです。

詳しくは、下記の関連記事を参考にしてください。

後産は医師や助産師の介助が必要なこともある?

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後産では、胎盤などが自然に剥がれ落ち、排出されるのが一般的です。

胎盤は収縮できないので、子宮が収縮すると胎盤と子宮壁の間に隙間ができて、少しずつ剥がれます。そして剥がれた胎盤は、胎盤自体の重みで子宮口に向けて下がっていき、最終的に臍帯などと一緒にママの腹圧で自然に押し出されることになります。

しかし、人によっては後産が自然にできないこともあります。陣痛がなければ子宮収縮促進剤を投与したり、胎盤の排出がうまくいかなければ医師や助産師が臍帯を引っ張って排出を促したりすることもあります。

また、30分経っても胎盤が自然に出てこないときは、片手を子宮内に挿入し胎盤を取り出す「胎盤用手剥離」を行うこともあります(※1)。状況によって様々ですが、麻酔無しでこの処置を行う場合、痛みを伴うことがあります。

まれではありますが、それでも胎盤が排出されず、胎盤と子宮が癒着しているときは、子宮の摘出を行うこともあります。

後産は心配しすぎないで

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後産は、子宮を妊娠前の状態に戻すために必要なものです。子宮の収縮には痛みを伴いますが、一時的なものなので、あまり怖がる必要はありません。一般的に、赤ちゃんが生まれてきた喜びを感じているうちに、いつの間にか終わってしまうので、体の流れに任せてできるだけ子宮収縮を促してあげましょう。

子宮がきちんと収縮すれば、産後の体調も戻りやすくなります。後産が終わってからも後陣痛が続きますが、体にとっていい反応だと思って前向きに乗り越えられるといいですね。

後産は、お腹を温めることで痛みが軽減することがあります。また産院によりますが、痛みがひどいときは、痛み止めを処方してもらえることもあります。痛いときは無理をしすぎず、医師や助産師に相談してみてくださいね。

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