ようやく出産が終わったと思ったら、生理痛のような腹痛を感じることがあります。出産の疲れも取れていない時期に、痛みが続くのは辛いものですが、産後に現れる腹痛は子宮収縮が起きている証拠で、妊娠前の体に戻るために必要な痛みです。では、子宮収縮による痛みはいつまで続くのでしょうか?また、子宮収縮以外の原因でお腹が痛くなることもあるのでしょうか?今回は産後の腹痛の原因と対処法についてまとめました。
産後の体はどんな状態?

産後の腹痛の原因を理解するには、産後のママの体はどんな状態になっているのかを知っておく必要があります。
まず、妊娠中にママの体は大きく変化しています。赤ちゃんを育むために子宮が大きくなるだけではなく、赤ちゃんに酸素や栄養を送るために血液量も増えます。
しかし、出産を終えれば、大きな子宮は役目を終え、赤ちゃんに酸素や栄養を送り届けることもなくなります。そのため産後には、妊娠する前の体に戻ろうとする動きが現れるのです。
産後の腹痛の原因は子宮収縮?

産後に現れる変化の中でも、特に激しいのが子宮の動きです。そもそも子宮は妊娠前に比べて5倍近く大きくなり、周辺の臓器を圧迫するほどになっていたので、元の大きさに戻る必要があります。
また、子宮内は胎盤が剥がれたことで出血なども起こっているので止血もしなければなりません。
大きくなった子宮を妊娠前のサイズへ戻すために必要なのが子宮収縮です。血管を収縮させることで子宮へ流れる血液量を元に戻して止血しながら、子宮全体が徐々に妊娠前の元の大きさまで戻っていきます。
出産のときに起こる陣痛と仕組みは同じなので、産後に起こるこの子宮収縮は「後陣痛」とも呼ばれます。産後すぐの腹痛のほとんどの痛みは後陣痛によるものだと考えてください。
産後の子宮収縮による痛みはいつまで続くの?

産後の腹痛の原因である後陣痛は、分娩後2~3日で治まるのが一般的で、人によっては1週間以上続くこともあります。その後も「子宮復古」と呼ばれる子宮収縮が続くので痛みを感じることはありますが、遅くとも産後1ヶ月頃には痛みを感じなくなりますよ。
ただ、母乳の分泌に関わるオキシトシンというホルモンは子宮収縮を促す働きがあるので、母乳育児の人は後陣痛の痛みが増すこともあるので注意してください。
後陣痛の痛みはつらいかもしれませんが、子宮収縮が起きたほうが回復は早まるので、自分の体を回復させていると考えてくださいね。
産後1ヶ月以上続く下腹部痛は異常?

産後1ヶ月以上過ぎても後陣痛のような下腹部痛が続いていたら、子宮収縮がスムーズに進んでいない「子宮復古不全」の可能性があります。
子宮復古不全は、子宮に胎盤や卵膜の一部が残っていたり、悪露がたまっていたりすることで起こるトラブルです。
子宮内感染や子宮筋腫の炎症、子宮奇形などによっても引き起こされます。子宮復古不全では腹痛以外に、悪露が続くのが特徴です。産後1ヶ月を過ぎても腹痛や出血が見られる場合には1ヶ月検診のときに医師に相談しましょう。
また、産後のタイミングで虫垂炎(盲腸)にかかったり、産後のストレスでホルモンバランスが乱れて腹痛が起きたりしているケースもあります。産後の腹痛は原因がはっきりわからないこともあるのであまり自己判断はせず、専門の医師にみてもらうことが大切です。
産後の腹痛は病院に行くべき?

後陣痛に伴う痛みは子宮が順調に回復しているサインなので、病院に行く必要はありません。
しかし、子宮復古不全の可能性も考えられるので、痛みが激しい、悪露がどっと増えるなどの症状があれば我慢せずに病院を受診しましょう。
痛みが過度のストレスになると母乳の出に悪影響をもたらすこともあります。病院では必要に応じて弱い鎮痛剤なども処方してもらえますよ。
また、前述の通り、腹痛だけでなく不正出血も伴う場合は早めに医師に相談してください。
産後の腹痛は子宮収縮による回復

後陣痛は人によってはかなり痛みますし、そもそも出産後の疲れは癒えておらず、ママの体は満身創痍な状態。産後6〜8週目までは体が元に戻るために重要な産褥期です。この時期はできるだけ無理をせず、回復を優先しましょう。
赤ちゃんのお世話で大変なこともありますが、旦那さんや家族の協力を得て負担を減らしていってくださいね。