更年期の生理周期はどれくらい?長引くもの?短いこともある?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

女性は、50歳前後で生理がなくなる「閉経」を迎えるのが一般的です。この閉経を挟んだ前後5年間を「更年期」と呼びますが、この時期は女性の体に様々な変化が起こります。毎月来ていた生理も不規則になるため、不安を感じるかもしれません。そこで今回は、更年期の生理周期がどう変化するのか、原因も含めてご説明します。

正常な生理周期は?

時計

生理周期とは、生理が始まった日から次の生理が始まるまでの期間を指します。更年期の生理周期と比較するためにも、まずは正常な生理周期を理解しておきましょう。

正常な生理周期・期間

● 周期日数:25~38日間(24日以内は頻発月経、39日以上は稀発月経)
● 生理持続期間:3~7日間(2日間以内は過短月経、8日間以上は過長月経)

なお、正常な生理周期から外れることが続く場合は、生理不順と考えられます。生理不順は、初潮を迎えてから閉経するまで、どの女性にも起こりうるものです。

更年期の生理周期は?長引く?短くなる?

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更年期の生理周期の変化は人それぞれですが、一般的には、生理周期が短くなり、経血量が少なくなっていったあと、生理周期が3ヶ月に1回など間隔が長くなっていきます。

生理周期が短くなる(生理が早く来る)

女性ホルモンには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの種類があります。

エストロゲンにより、子宮内膜が厚くなり、プロゲステロンによってその厚い状態が維持されます。妊娠が成立しなかった場合、不要になった子宮内膜が剥がれ落ち、血液と一緒に体外に排出されるのが「月経(生理)」の仕組みです。

更年期に入ると、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が少なくなり、子宮内膜が十分厚くならずにすぐ剥がれ落ちてしまうので、生理が早く来るようになります。

生理周期が長くなる(生理がなかなか来なくなる)

しばらくすると、経血量が減っていき、生理が早く終わるようになります。

閉経が近づくにつれて、女性ホルモンの量はさらに減り、正常に働く卵胞の数も少なくなるため、排卵が起こらなくなります。それに伴い、数ヶ月に1度しか生理がこなくなり、最終的には閉経を迎えるのです。

一般的に、「1年以上生理が来ない」、または「黄体ホルモン剤を投与しても消退出血が起こらない」場合に、閉経と診断されます(※1)。

更年期の生理周期が乱れる原因は?

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更年期に生理周期が乱れ始めるのは、卵巣機能の低下に伴い、ホルモンバランスが変わることが原因です。

1人の女性が一生のうちに排卵する卵子の数は、生まれた時点で決まっています。更年期になると、正常に機能する卵胞が少なくなり、卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」という女性ホルモンも減少します。

エストロゲンの分泌が減ると、脳の視床下部から分泌されている「ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)」のコントロールが効かなくなります。その結果、脳下垂体から「卵胞形成ホルモン(FSH)」と「黄体刺激ホルモン(LH)」という刺激ホルモンが過剰に分泌されてしまうため、これまでの規則正しい生理周期を維持できなくなるのです(※1)。

やがて、排卵がなくなり、閉経を迎えると、卵胞はすべてなくなります。

なお、女性ホルモンの分泌量が減ると、子宮内膜が成長しなくなるので、生理時の経血量が少なくなり、生理の持続期間も短くなっていきます。

更年期の生理周期の乱れは、治療が必要?

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更年期に起こる生理周期の乱れは、加齢による生理的な現象なので、基本的に治療の必要はありません。

ただし、ホルモンバランスの変化によって現れる「更年期障害」の症状がつらいときは、治療が必要になる場合もあるため、ホルモン補充療法などについて婦人科で相談してみましょう(※2)。

更年期障害の主な症状

● のぼせ、ほてり、発汗(ホットフラッシュ)
● 手足の冷え
● 動悸
● イライラ、憂うつ感
● 不眠、めまい、頭痛
● 腰痛、関節痛、肩こり
● 疲れやすさ
● 吐き気、食欲不振
● 肌の乾燥、かゆみ
● 頻尿、性交痛

更年期の不正出血には要注意

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更年期に限らず、30~50代の女性に不正出血が見られた場合は注意が必要です。まれに、その出血が生理ではなく、子宮体がんや子宮筋腫などの病気が原因で起きていることがあるからです(※1)。

閉経が近づくと、生理のときの経血量は少なくなっていくものですが、長い期間ダラダラと出血が続くような場合は不正出血を疑いましょう。

更年期は生理周期が乱れていることが多いので、不正出血かどうかの判断が難しいですが、少しでも違和感があれば早めに婦人科を受診してください。

更年期は生理周期の乱れ以外の変化にも気をつけて

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更年期に入ると、生理周期の乱れ以外に、様々な体の変化が現れます。自律神経失調や精神的・身体的な不快症状など、いわゆる更年期障害が見られることが多くなります。

これらの症状には個人差がありますが、なかには日常生活に支障をきたしてしまう人もいます。加齢に伴う自然な現象とはいえ、どうしてもつらいときは婦人科を受診しましょう。

女性なら誰でも更年期を迎えるものなので、あまり心配しすぎず、大らかに受け止められるといいですね。更年期に現れる症状やその原因について、事前に心の準備をしておくと、落ち着いて向き合うことができるかもしれません。

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