毎月の生理が2日、3日、4日と遅れてくると「もしかして妊娠したかも?」と思うかもしれません。しかし、妊娠検査薬を使っても陰性しか出ないことがあります。妊娠以外にも、生理が来ない原因はたくさんあるのです。今回は、生理が遅れる原因について、妊娠以外の理由やストレスの影響、対処法などをまとめました。
そもそも、生理とは?
生理とは「生理的出血」を意味し、定期的に現れる正常な出血です。医学的には「月経」といいます。
女性の体内では毎月、妊娠に向けて排卵が起こり、受精卵を迎えるために子宮内膜が厚くなります。ここで受精卵が着床すれば子宮内膜は厚いままで保たれますが、着床しなければ、厚くなった子宮内膜は必要なくなるので、子宮の外に排出されます。
この、子宮内膜が剥がれて起こる出血が、生理です。
「生理が遅れる」ってどういうこと?
基本的に生理は一定の周期で起こります。
卵巣や子宮の機能に問題がない、閉経前の健康な女性であれば、生理周期は25~38日が正常です(※1)。一般的には、28~30日である人が多いようです(※2)。
しかし、生理は毎月同じ周期で来る人ばかりではありません。体調などで左右されやすいものなので、体に何も問題がなくても、数日早まったり、遅れたりすることもあります。
そのため、生理予定日から2~3日遅れたくらいであれば、正常の範囲内であると考えて良いでしょう。
生理開始予定日を1週間以上過ぎても生理が来ない場合には、「生理が遅れている」と考えましょう。
生理が来ない・遅れる原因は?妊娠以外の理由はストレスのせい?
生理が遅れる原因には、下記のようなものがあります。
1. 妊娠
生理が遅れると、一番最初に思い浮かぶのが「妊娠」ですね。先にもご説明したとおり、妊娠すると子宮内膜が維持されるので、生理は来なくなります。
前回の生理から次の生理予定日までの間で、一度でも性交渉をしていれば、避妊をしていたとしても妊娠している可能性はゼロではありません。
2. ホルモンバランスの乱れ
生理周期は、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンが交互にバランス良く分泌されることで保たれています。これらのホルモン分泌のバランスが崩れると、生理周期が乱れ、生理が遅れることがあります。
女性ホルモンの分泌はストレスの影響を受けやすく、身体的・精神的に過度なストレスがかかると、一時的に生理不順になることはよくあります。生活環境が変化したときや体調が優れないときなどに、知らないうちに影響を受けていることもあります。
3. 薬の副作用
吐き気止めや胃薬、抗うつ薬、ピルなどを服用していると、薬の副作用で女性ホルモンの分泌量が変化することがあり、その結果、生理が遅れることもあります。
生理が遅れていて、服用中の薬があれば、ホルモンバランスに影響を与えることはないか、かかりつけの医師や薬剤師に相談してみてください。
4. 婦人科系疾患
子宮や卵巣の病気など、婦人科系の疾患になると、生理周期が乱れる場合があります。卵巣や子宮は、病気になっても自覚症状が現れにくいのが特徴です。生理が来ない、または遅れているときは、病気の可能性もあることは覚えておいてください。
生理が来なかったり、遅れたりする代表的な疾患には、無月経、多嚢胞性卵巣症候群、早発卵巣不全(早発閉経)があります。
5. 閉経・早期閉経
閉経とは、排卵が起こらなくなって生理が止まることをいいます。
日本の平均閉経年齢は、52.1歳です(※3)。50歳前後になると、段々と生理周期が不規則になり、やがて全く来なくなります。
50歳前後で閉経を迎えるのは自然なことですが、最近は、20~30代という早い段階で閉経に似た症状を起こす場合があります。これは「早期閉経」と呼ばれ、治療が必要です。
早期閉経になると、生理が来なくなる他、ほてりやのぼせ、うつっぽい気分、不眠など、更年期障害のような症状があらわれるのが特徴です。
生理が来ない・遅れるときは妊娠かも
「生理が遅れている」と感じたとき、前回の生理から1度でも性交渉をしているのであれば、まず妊娠の可能性を疑ってください。生理予定日から1週間以上過ぎていれば、市販されている妊娠検査薬で妊娠判定ができます。
陽性反応が出たら、できるだけ早めに産婦人科を受診して、医師に妊娠しているかどうかを確認してもらいましょう。
生理が来ない・遅れるときの妊娠判定はフライングに注意
「妊娠しているかもしれない」と考えて妊娠検査薬を使っても、タイミングが早すぎると正確な結果が出ません。
妊娠検査薬は、受精卵が着床すると徐々に分泌量が増える「hCGホルモン」という物質を感知して反応します。検査薬によって多少の違いはありますが、一般的に、hCG濃度が50mIU/mL以上に達していれば「陽性」、それ未満であれば「陰性」の反応がでます。
つまり、妊娠していても、hCG濃度が50mIU/mLに達していなければ、陰性の反応が出てしまいます。
そのため、生理予定日から数日しか遅れていないときに妊娠検査薬を使うと、まだhCGの濃度が十分ではなく、正しい反応が出ない可能性があります。先にもご説明したように、妊娠検査薬を使うのは、生理予定日から1週間以上経ったあとにしましょう。
1週間が過ぎるのを待てないという人は、生理開始予定日の3日前頃から妊娠判定ができる早期妊娠検査薬があるので、そちらを使ってもいいかもしれません。
ただし、早期妊娠検査薬は一般の妊娠検査薬と比べて若干精度が落ちることがあります。早期妊娠検査薬で陰性が出ても、念のため数日後に一般の妊娠検査薬で調べてみることをおすすめします。
生理が来ないまま、検査薬でも陰性だったら病気の可能性を疑って
前回の生理が終わってから次の生理までの間に性交渉をしていない、あるいは生理予定日の1週間後でも妊娠検査薬で陰性が出た場合は、妊娠が原因とは考えられません。この場合は、ホルモンバランスの乱れや婦人科系の疾患が隠れている可能性があります。
妊娠以外の原因を自分で判断することは難しいので、早めに婦人科を受診してください。
原因となる病気が見つかればその治療を行えますし、病気がなければ安心して生活習慣の見直しができますよ。
生理が遅れる理由は様々
妊娠を望むにしても、望まないにしても、生理が遅れていると「妊娠したかも?」と、気持ちがはやるものです。しかし、生理は健康のバロメーターでもあります。生理が遅れるのは妊娠したときだけではないので、きちんと原因を突き止めることが大切です。
数日間生理が遅れただけなら様子を見てもかまいませんが、生理のたびに遅れたり、通常の生理周期の範囲を超えてもなかなか生理が来なかったりと、少しでも「いつもの生理と違うな」と感じたら、一度婦人科を受診しておくことをおすすめします。