月経周期が不安定だといつ生理になるかわからず、旅行などの計画を立てたりするのが難しいですよね。さらに妊活中だと妊娠しやすいタイミングもわからず悩まされることも。生理不順を防ぐには、何が原因でどう治療・対処すればいいのかを把握することが大切です。今回は、生理不順を引き起こす原因は何か、病気やストレスに対する治療法、対策をまとめました。
生理不順とは?
生理不順とは、25~38日という正常な月経周期を外れて、周期が長くなったり短くなったりするものです。具体的には、24日以内、39日以上の間隔で生理を繰り返す場合や毎月長くなったり短くなったりすることをいいます。
生理初日から、次の生理の前日までを一つの「月経周期」と考えます。まず生理(月経)開始からはじまり、卵胞が成長する「卵胞期」、排卵が行われる「排卵期」、受精卵が着床する「黄体期」の順で構成され、妊娠が成立しなかった場合、また次の生理が来る、という仕組みです。
これらが周期的に訪れて、子宮内膜の増殖と、そのあとの剥離によって生理が起こります。
このうち黄体期はほとんどの人が14日前後ですが、卵胞期はホルモン分泌の異常などの影響を受けやすく極端に短くなったり長くなったりします。そのため、ほとんどが卵胞期の変動で生理不順を引き起こします。
生理不順になるとどんな症状が現れる?
生理不順は、月経周期が早まったり遅れたりして月経周期がずれるのが基本的な症状です。一時的に1~2回程度、生理の時期が前後することも時々ありますが、生理のズレが3回以上続くときには生理不順を疑いましょう。
また、生理が始まる数日前になると、頭痛、吐き気、めまい、気分の落ち込みといった不快な症状が起こることがあります。これはPMS(月経前症候群)といって、ほとんどの場合、生理が始まると自然とおさまっていきます。
PMSの原因はまだはっきりしていませんが、症状を和らげる治療方法はあるので、我慢せずに婦人科を受診して相談しましょう。
そもそも生理はどうして起こるの?
生理不順の原因を考えるうえで、そもそもどうして生理が起こるのかをおさらいしておきましょう。生理は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンのバランスによってコントロールされています。
まず、生理が始まると、卵胞ホルモンの作用によって卵胞が発育を始め、その中で成長した卵子が卵巣から放出されます。これが排卵です。一方、子宮では、受精卵を受け止めるために子宮内膜が増殖し、厚くなっていきます。
排卵が起こると、黄体ホルモンによって子宮内膜の厚い状態が維持されますが、妊娠せずに子宮内膜が不要になると、剥がれ落ちて月経血として体外に排出されます。こうして次の月経周期が始まります。
生理不順の原因は?病気やストレスの影響もある?
これまでご説明してきた月経の仕組みからもわかるように、生理不順(月経不順)になるのは卵胞ホルモンと黄体ホルモンのホルモンバランスの乱れが主な原因といわれています。さらに、ホルモンバランスを崩す原因は病気に限らず様々なものがあり、主な原因を以下でご紹介します。
身体的・精神的なストレス
精神的なストレスや、疲労・体調不良での身体的なストレスが過度にかかると、女性ホルモンの分泌指令を出す脳の視床下部や下垂体の機能が低下します。その結果、ホルモンバランスが崩れて卵胞の成長が滞りがちになり、生理不順が起きやすくなります。
やせ過ぎ・太り過ぎ
20~30代女性は頻繁にダイエットに取り組み、「痩せ」の傾向にある方がたくさんいます。ダイエットによる急激な体重減少が原因で、脳の視床下部の働きが鈍ると、ホルモンバランスが崩れて生理周期が乱れてしまいます。
また、太り過ぎると、皮下脂肪に含まれるコレステロールからステロイドホルモンが作られ、過剰に分泌されると卵巣のホルモン分泌に影響を及ぼしてしまうため、生理不順になる恐れがあります。
プロラクチンの分泌過多
女性が授乳するときに分泌される乳汁分泌ホルモンの「プロラクチン」は、排卵を抑制する働きをします。そのため、一部の薬剤やストレスなどによってプロラクチンの分泌量が増えると、排卵が起こりにくくなり、生理不順を引き起こすことがあります。
甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンは適度な量が分泌されるということが重要で、多くても少なくても他の部位に悪影響を与えます。卵巣も甲状腺ホルモンの影響受けやすく、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症など甲状腺ホルモン量の分泌が異常な状態になる病気にかかると、生理不順が起こることがあります。
生活習慣の乱れ
睡眠不足や栄養バランスの崩れた食事、運動不足、体の冷えといったものが、体内のホルモンバランスを乱します。生活習慣の乱れが重なり合って、生理不順の原因になることもあります。
生理不順の治療法・対策は?
生理不順はホルモンバランスの乱れによって起こりますが、それらを引き起こすのは日頃の生活習慣によるところが大きいといわれます。生理不順が疑われる場合には、まず日頃の生活を見直してみましょう。
自分なりのストレス解消法を実践する、過激なダイエットはしない、睡眠をしっかりとって体を休める、栄養バランスのとれた食事を意識する、体を冷やさないといったことが、基本的な対策です。ほかにも次のような治療法があります。
漢方薬
漢方薬は、体質改善に効果があります。生理不順の原因となるホルモンバランスの乱れを「血・気・水」の面から改善し、正常な状態に戻していきます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)など様々な漢方薬があり、体質によっても効果が異なります。初めて利用するときには婦人科医や専門の漢方医などに相談しましょう。
ツボ(経穴)
生理不順を引き起こす原因のうち、自律神経やホルモンバランスの乱れが原因で起こるものは、ツボを刺激することで改善されることがあります。
たとえば、ひざを伸ばしたときにへこむ部分から、指3本分上がったところにある「血海」は、血のめぐりを良くしてくれるツボで、生理不順や生理痛に効果があるといわれています。
その他のツボについては、下の関連記事を参考にしてください。
生理不順から病気に気づく方法は?
ただし、生活習慣の改善やツボ押し・漢方薬などでの対処をしても、生理不順が続くときや不正出血などが現れるときには、婦人科系の病気が原因になっている可能性もあります。婦人科できちんと診断してもらい、ホルモン治療など、適切な治療を受けましょう。
例えば、3ヶ月生理がこなかったときには無月経と診断され、排卵が起こっていないと考えられます。多嚢胞性卵巣症候群や早発性卵巣不全(早期閉経)などの可能性もあるので、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
生理不順の原因をチェックしよう
生理不順は、複数の原因が重なって起こっているケースもあります。原因不明の場合もありますが、今回ご説明した主な原因のうち、自分に当てはまるものがないかチェックしてください。対処しないまま「いつか元に戻るだろう」と楽観視していると、かえって生理不順を悪化させてしまうこともあります。
生理不順を放っておくと不妊につながる場合もありますので、生理周期が不安定な状態が続いたら早めに婦人科を受診するようにしてくださいね。