出産を経て改めて自分の体を見つめ直してみると「お腹がたるんでいてショックだった…」と落ち込んでしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、お腹のたるみをケアしたいと思っても、産後すぐに腹筋しても良いのか不安に思うかもしれませんね。そこで今回は、産後はいつから腹筋をしてもいいのか、やり方や注意点などをご紹介します。
産後はどんな体の変化があるの?
産後のママのお腹は、出産により腹筋や骨盤底の筋肉、皮膚が伸びきっている状態です。放っておくと完全には戻らず、体型の崩れや、体の不調につながることもあります(※1)。
妊娠中は、赤ちゃんが産道を通るために、リラキシンというホルモンを分泌して骨産道となる骨盤の靭帯を緩めていきます。リラキシンによって関節がゆるむと、筋肉だけでゆるんだ骨盤を支える必要があり、その影響で筋肉が正常な位置からずれたり引っ張られたりすることで体の負担になることも(※2)。
また、お腹が大きくなるにつれて、後ろに反る姿勢が続き、背筋が委縮すると同時に腹筋が伸ばされてしまいます。腹筋を使う機会が減ることで基礎代謝も低下し、妊娠中に溜めた皮下脂肪を燃焼することができず、体型が崩れてしまうのです。
産後に腹筋をする効果は?
子宮や皮膚を元に戻すのは、ある程度自然に任せてもいいのですが、妊娠によって蓄積された脂肪は、できるだけケアしたいもの。そのために、腹筋を鍛えることが効果的です。
妊娠で運動を制限されていただけに、腹筋そのものがかなり弱くなっています。腹筋を一から鍛え直すことによって下腹部が引き締まると同時に、体を支える力がつくので姿勢も良くなりますよ。
産後の腹筋はいつからできる?
産後すぐに腹筋をしたいと思うかもしれませんが、産後1ヶ月は安静に過ごしてくださいね。1ヶ月健診の際に子宮の戻りなどを医師に確認し、運動を始める時期を相談しましょう。
特に、産後6~8週間は「産褥期」といって、体が妊娠前の状態に戻ろうとする期間です。出産したことで女性ホルモンが急激に減少したり、子宮が元の大きさに戻るために収縮して痛みを感じたり、悪露が続くこともあるので無理は禁物ですよ。
産褥期に運動をしたいときは、軽めの体操やストレッチがおすすめです。最初から激しい腹筋運動をするのではなく、軽めの体操ことからはじめ、徐々に体を慣らしていくようにしましょう。
産後の腹筋のやり方は?
産後は、体の回復に加え、育児や家事に時間を取られてなかなか自身の運動の時間を取ることができないのが現実です。
そんな忙しいママたちには、家事や育児の合間にできる、以下のような腹筋運動がおすすめです(※1,3)。
クッションを使って上体を起こす
1. 両膝を曲げたまま仰向けに寝て、肩幅に足を開く
2. 膝の間にクッションなどを挟み、内股になるように両膝の内側に力を入れる
3. 腰から背中部分に薄いクッションを挟み、後頭部で両手を組む
4. お腹に力を込めて、大きく息を吐きながらゆっくり上体を起こす
5. あごを引き過ぎないように注意する。これを4回ほど繰り返す
両ひざを抱えて転がる
1. 両ひざを抱えて、息を吐きながらゆっくりと後ろへ転がる
2. 勢いで転がるのではなく、お腹に力を入れながら少しずつ倒していく
3. 戻るときも勢いをつけず、お腹の力を使って、息を吸いながらゆっくりと起き上がる
四つん這いで腹横筋を使う
1. 四つん這いのポーズになって、背筋を伸ばし、両手両足を肩幅まで開く
2. 息を鼻から吐きながら、おへそを見るようにゆっくりと背中を丸める
3. 息を吸いながら少しずつ初めの姿勢に戻す。これを10回ほど繰り返す
仰向けで胸の上部を起こす
1. 両ひざを曲げた状態で仰向けに寝て、後頭部で両手を組む。足は開かず揃えておく
2. 鼻から息を吸って、おへそを覗き込むように胸の状態を起こす
3. 腕で頭を起こすのではなく、お腹の力で起きる
4. 息を吐きながらゆっくり元の姿勢に戻していく
仰向けでツイストしながら起こす
1. 両ひざを曲げた状態で仰向けに寝て、足を肩幅の広さに開く
2. 片手を後頭部に添え、もう片方の手の平を床につけて体を少し起こす
3. 鼻から息を吐きながら、後頭部に手を当てている方の体をひねるように起こす
4. 息を吐きながら元の姿勢に戻り、反対側も同じように行う
産後に腹筋をするときの注意点は?
産後に腹筋をするときは、運動後に悪露が増えた、一度収まっていた悪露がまた出始めたなど、悪露の状態に影響が出ないか注意しましょう。子宮が回復できていない状態なので、しばらくは安静にする必要があります。
なかには、出産によって腹直筋が割れる「腹直筋離開」になり、症状によっては腹筋をするのが困難なケースもあります。
体に不調を残さないためにも、腹筋運動中に違和感があるときは、無理に続けず、産院や婦人科で相談しましょう。
産後の腹筋は日常生活の姿勢も意識しよう
産後に赤ちゃんを抱っこするときも、反り腰になりがちです。体の負担が蓄積され、腰痛を引き起こしてしまう恐れもあるので、腹筋を鍛えつつ、日常生活の姿勢も意識して整えていきましょう。
1ヶ月健診で経過が順調であれば、産後ヨガなど、軽めの運動もできるようになってきます。体調と相談しながら、少しずつ妊娠前の状態に戻していけるといいですね。