脳性麻痺の赤ちゃんの症状や特徴は?脳性小児麻痺は新生児もわかる?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

赤ちゃんが無事に産まれても、今度は元気に育ってくれるかが心配になるもの。そんなときに強い体の反り返りや、足がつっぱっている、運動面の発育が遅いなど「脳性麻痺」が疑われる症状が見られると、不安な気持ちなるママやパパは少なくありません。今回は赤ちゃんの脳性麻痺について、原因や症状、治療法、大きくなったら普通の学校に行けるのかなどをご紹介します。

脳性麻痺とは?新生児でもわかるの?

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脳性麻痺とは、赤ちゃんがお腹にいる「胎児期」から生後28日目までの「新生児期」の間に、何らかの影響で脳に障害が出て、麻痺が出たり、筋肉の緊張が強くなったりと発達が遅れる状態を指します。

乳児1,000人のうち約2人に発生するといわれ、出生体重が低いほど発症率が高い傾向があります(※1)。

脳性麻痺は、出生後すぐの診断は困難です。成長するにつれて脳性麻痺の症状が目立っていき、定期の乳幼児健診や小児科を受診したときに発見されることが多い疾患です。

赤ちゃんの脳性麻痺の原因は?

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赤ちゃんの脳性麻痺は、出生前後に脳が損傷を受けて発生します。何か一つの原因で起こるというよりは、様々な原因が重なり合って脳性麻痺に至ると考えられています。

たとえば、妊娠中の妊娠高血圧症候群、サイトメガロウイルスやトキソプラズマなどの先天性感染症、脳の奇形、新生児仮死が脳性麻痺の引き金になりえます。

ただ、脳の損傷の原因がはっきりと分からない場合もあります。

赤ちゃんの脳性麻痺の症状や特徴は?

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脳は、身体の発達には欠かせない部位です。そのため、脳が損傷を受けて脳性麻痺を起こしていると、運動機能の発達の遅れや、麻痺などの運動障害が現れます。

脳の損傷は生後4週間以内に起こっているものの、実際に症状が現れるのは満2歳までと定義づけられています(※1)。そのため「脳性小児麻痺」といわれることもあります。

具体的には、赤ちゃんの月齢によって、以下のような症状が見られます。

生後6ヶ月までに見られる脳性麻痺の主な症状や特徴

● 異常に反り返る
● 首がなかなかすわらない、寝返りをしない
● ミルクや母乳を飲むのが下手

生後6ヶ月以降に見られる脳性麻痺の主な症状や特徴

● 赤ちゃんのような原始反射が残っている
● ハイハイやつかまり立ちなどができず、足がつっぱっている
● 手足が動きにくい

赤ちゃんの脳性麻痺の分類は?

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脳性麻痺は様々な疾患をまとめている言葉であり、軽症で一般的な生活に支障がない場合もあります。脳性麻痺は、麻痺の部位などにより以下のように分類されます(※1)。

麻痺の場所
● 片麻痺:右もしくは左半身のみに麻痺がある状態。上半身の方が麻痺が強い
● 四肢麻痺:両手足に強い麻痺がある状態
● 両麻痺:下半身に強く、上半身にやや弱い麻痺がある状態
● 対麻痺:下半身にのみ麻痺がある状態
● 単麻痺:片手、もしくは片足のみに麻痺がある状態。非常に稀
● 重複片麻痺:片麻痺が左右に起こった状態。四肢麻痺・両麻痺と同様に四肢に麻痺があるものの、上半身の方が麻痺が強い

筋緊張の異常

● 痙直型:動作がぎこちなく、筋肉の異常な緊張がある。脳性麻痺の約80~90%を占める
● アテトーゼ型:筋肉の緊張が一定しないため、姿勢が安定しない。安静時にも不随意運動(本人の意思と無関係の動き)がある。脳性麻痺の約10%を占める
● 低緊張型:緊張が低く、全身がグニャグニャしている
● 失調型:体幹のバランスが取れずグラグラしている。手が揺れることが多い
● 混合型:上記の症状が組み合わさった状態

赤ちゃんの脳性麻痺の合併症は?

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赤ちゃんが脳性麻痺になった場合、以下のような合併症を伴うことがあります(※1)。

てんかん

脳性麻痺の赤ちゃんや子供のうち、15~60%がてんかんを合併しているとされています。てんかんが合併している場合、多くが2歳までに発症します。

知的障害

四肢麻痺の場合、IQ50以下の精神遅滞がある確率は64%です。

視覚障害・言語障害

早産児が脳性麻痺になった場合、視覚障害の確率が高くなります。またアテトーゼ型の場合は、知能は高いものの言葉が出なかったり、不明瞭になったりすることがあります。

摂食・嚥下障害、呼吸障害

麻痺や筋緊張の異常により、食べにくかったり、食べている最中に呼吸がしづらかったり、誤嚥してしまったりするリスクがあります。

赤ちゃんの脳性麻痺の検査方法は?

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脳性麻痺の診断は、足や手の筋肉の緊張が強い、可動域が狭い、反射が強いなどの神経の所見や、発達状況により行います(※1)。

その他にも、脳のMRI・CT検査、聴覚・視覚・血液検査を合わせて行うこともあります(※2)。

赤ちゃんの脳性麻痺の治療法は?

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現状では、赤ちゃんの脳性麻痺を完全に治す方法はありません。しかし適切な治療とケアにより、赤ちゃんの成長を促すことはできます。

例えば、脳性麻痺で歩行に問題が出ていても、理学療法や作業療法によって上手に歩ける可能性はあります。また言語障害が出ている場合は、言語療法によってはっきりと話せるようになることもあります。

この他にも、体の動きを制限する筋肉の腱を切断する手術を受けたり、筋肉の硬直を緩和する筋弛緩剤を服用したりするといった治療もあります(※1)。医師としっかり相談しながら、子供に最適な治療法を見つけていきましょう。

脳性麻痺が起きた場合、学校に行けるの?

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脳性麻痺が起きても、重度の知能障害や身体障害がないなど、症状によっては健常児と同じように学校に通うこともできます。

重い障害が見られる場合は、広範囲の理学療法を行う必要があるため、特殊教育を受けることになります(※1)。

どちらにしても、周りの大人のケアと協力が必要になります。学校によっては、脳性麻痺の子供を受け入れる準備に時間がかかることもあるので、早めに教育機関に相談しておきましょう。

赤ちゃんの脳性麻痺はみんなでサポートを

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脳性麻痺と診断されても、現代の医療技術では完全に治すことはできません。ただ、障害の度合いにもよりますが、治療とリハビリを通じて、できることを増やしていくことはできます。

脳性麻痺の子供の成長をサポートできるのは、ママやパパだけではありません。脳性麻痺の子供たちを支援する地域のサポート団体や機関の力も借りながら、みんなで子供の成長を支えていきましょう。

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