【妊娠12週の壁】とは?流産の確率と関係があるの?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

「妊娠12週の壁」という言葉をSNSやインターネットなどで見かけ、言葉の印象から不安を感じている妊婦さんもいるかもしれません。

今回は、「妊娠12週の壁」とはどんなことを意味しているのかや、妊娠12週頃の流産の確率と原因などをご紹介します。

妊娠12週の赤ちゃんとママの状態は?

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「妊娠12週の壁」について知る前に、まず妊娠12週の赤ちゃんとママの状態を把握しておきましょう。

妊娠12週の赤ちゃんの状態

この時期の赤ちゃんは、ママのお腹の中の羊水を飲み込み、おしっこをするようになります(※1)。

エコー検査では、赤ちゃんが伸びをしたり口をあけてあくびをしたりしているような様子が確認できるかもしれません。

妊婦健診のたびに様々な動きが見られ、赤ちゃんの成長がますます実感できるはずですよ。

妊娠12週のママの状態

妊娠12週には子宮が手の拳より大きくなり、お腹のふくらみが少し目立ってきます。これまで着ていた服がきついと感じ始める妊婦さんも多いです。

つわりがある人は、個人差は大きいものの、症状のピークが過ぎて治まりはじめることが多い時期です。

「妊娠12週の壁」とは?流産と関係がある?

妊娠12週

「妊娠12週の壁」は医学的な用語ではありません。妊婦さんの間で広がった呼び方で、この時期の流産の確率と関係しています。

「流産」とは、妊娠22週0日より前に妊娠が継続できなくなってしまうことで、全妊娠の平均10%ほどの頻度で起こります(※2,3)。

妊娠12週未満の流産を「早期流産」、12週以降22週未満を「後期流産」といい、確率が高いのは「早期流産」です。

妊娠12週を越えると流産の確率がぐっと低くなることから、「妊娠12週の壁」という言葉が生まれたと考えられています。

妊娠12週頃の流産の確率は?

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それでは、妊娠12週頃の流産の確率は実際どれくらいなのでしょうか。

全流産の妊娠週数別の割合は、妊娠5~7週が22~44%、8~12週が34~48%、13~16週が6~9%といわれています(※3)。

妊娠12週だけに限定した割合のデータはないものの、やはり妊娠12週までは流産の確率が高く、妊娠13週以降になるとかなり低くなることがわかります。

妊娠12週頃の流産の原因は?

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妊娠12週未満の早期流産の主な原因は、胎児の染色体異常によるものがほとんどです(※2)。妊婦さんが「体を動かしすぎた」「仕事で無理をした」といったことが原因で流産することは、ほぼないとされています。

また、高齢妊娠・出産も流産の原因になる可能性があるといわれています。特に35歳以降では、流産の確率が高くなることがわかっています(※3)。

妊娠12週以降の流産の原因は?リスクを上げない方法はある?

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妊娠12週以降の後期流産は、次にあげるような病気が原因で起こることが多いとされています(※1,3)。

早期流産は胎児の染色体異常が主な原因であるため予防方法はありませんが、後期流産の場合は、原因である病気を治療することで流産のリスクを上げないようにできるケースもあります。

子宮筋腫

子宮にできる良性の腫瘍で、妊娠している人の約10%に子宮筋腫があるといわれています(※1)。

妊娠中は手術することが難しいため、経過観察をしながら必要に応じて薬を服用し、腫瘍が大きくならないようにすることで流産のリスクを上げないようにします。

絨毛膜羊膜炎

細菌に感染して、炎症が腟や子宮頸管に広がることで起こります(※1)。子宮内に感染がない段階で発見できれば、 子宮収縮を抑える薬を使って妊娠の維持を目指します。

子宮頸管無力症

陣痛などの症状がないのに、子宮頸管が開いてしまう状態のことです(※1)。必要に応じて子宮頸管を糸で縛る手術をして、流産を予防します。

「妊娠12週の壁」を気にし過ぎなくても大丈夫

「妊娠●週の壁」という言葉は、妊娠12週に限らず他の週数で使われることもあります。その週数が近づいたり、いざ迎えたりすると不安になるかもしれませんが、無事に乗り越えて元気な赤ちゃんを出産している人はたくさんいます。

少しでも心配なことがあったら、医師や助産師に相談しましょう。健康管理に気をつけながら、できるだけ穏やかな気持ちでマタニティライフを送っていけるといいですね。

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