不妊治療とは?流れや内容は?いつから始めればいいの?

不妊症に悩むカップル・夫婦の数は年々増加しており、妊娠をサポートする「不妊治療」を受けている人は、平成14年度時点で46万人を超えています(※1)。しかし、日本ではまだまだ不妊治療の認知度は低いのが現状です。そこで今回は不妊治療について、検査方法や治療の流れ、男性と女性の治療法の違い、費用や保険は適用されるのかなどをご説明します。

不妊治療とは?

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子供を望む健康的なカップルが、避妊をせずに性交渉を一定期間続けても妊娠に至らない場合に、「不妊症」と診断されます。「一定期間」については、1年とするのが一般的です(※2)。

不妊治療とは、この不妊症のカップルのために、薬や高度生殖医療技術を通じて妊娠の手助けをすることをいいます。

不妊治療が必要になる理由は?

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不妊症の原因には様々なものがあります。

不妊は女性が原因になるものだと思われがちですが、WHOの発表によると、不妊症の原因が女性のみにある場合が41%、男性のみが24%、男女ともにあるのが24%、原因不明が11%で、約半数は男性に原因があるとしています(※2)。

男性側の原因

男性の不妊症の原因は、主に精子に関わる部分にあります。例えば、精液の中に精子がない「無精子症」や、数が少ない「乏精子症」、運動率が悪い「精子無力症」、精子を運ぶ道に問題がある「精路通過障害」などです。

病名がつかなくても、精子の運動率や状態が少し悪くなっていることもあります。

女性側の原因

女性側の不妊症の原因には、排卵障害や卵管障害、子宮内膜症や子宮筋腫、頚管粘液の異常、着床障害などがあります。

また、検査を受けても原因が見つからず、「原因不明の不妊」と診断されることもあります。

不妊治療はいつから受ける?

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近年は晩婚化の影響を受けて、妊娠を望んでから1年を過ぎた段階で妊娠しないときには、不妊検査を受けることが推奨されています。

しかし、女性は30歳を超えると、そこから年齢を重ねるほどに自然妊娠できる可能性が低下していきます。特に、35歳くらいからは、妊娠率が急激に低下するだけでなく、赤ちゃんを授かったときの流産率も高まります(※3)。

そのため、30代以上の夫婦が毎月排卵日付近に性行為をしても妊娠しないときは、1年を待たずに婦人科を受診してもいいかもしれません。早い時期から、夫婦で不妊治療をするかどうかをきちんと話し合えるといいですね。

不妊治療の検査方法は?

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不妊治療をスタートするときには、まず不妊の原因を調べます。先にも説明したように、不妊症の原因の約半数は男性にあるので、女性だけでなく、男性も検査を受けることが大切です。

検査方法は、男性と女性で異なります。

女性であれば基礎体温や血液中のホルモン値の測定、超音波検査、子宮卵管造影などの検査を行います。また男性では、精液を採取して、精子濃度や運動率、奇形率などをチェックする精液検査を行います。

不妊検査は女性の生理周期に合わせて計画を組み立てる必要があるため、一連の検査に1~2ヶ月かかることもあります。病院によっては予約が取りにくいこともあるので、相談だけでも早めに行うことをおすすめします。

不妊治療の内容や流れは?

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検査で不妊の原因を調べたら、不妊治療が始まります。不妊治療の内容は大きく3種類に分かれ、原因にあわせて選択されます。以下では、それぞれの治療法について詳しくご説明します。

ただし、不妊の原因が子宮内膜症などの病気にある場合は、その病気の治療が優先されることもあります。

1. タイミング法・排卵誘発法

人工授精や体外受精でなくても妊娠の可能性があると判断された際に、最初に選択される治療です。自然に近い形での妊娠を目指します。

不妊の原因が定かではないときにも、最初の治療法として選ばれます。

タイミング法

妊娠しやすいタイミングにあわせて性行為を行うことで、妊娠の確率を上げるのが「タイミング法」です。

基礎体温や尿中の黄体化ホルモンの測定、超音波検査などで排卵日を予測して、排卵日の少し前に性行為を行います。通院して排卵日の予測の精度を高めることで、妊娠率も高まります。

費用は検査の内容などでかわり、数百円のときもあれば、1万円ほどかかるときもあります。

排卵誘発法

排卵が起こりにくい女性に、排卵を誘発する「排卵誘発剤」という薬を使って卵巣を刺激し、排卵を起こさせる方法です。排卵のタイミングにあわせて性行為を行い、妊娠率を高めます。

費用は内服薬であれば数百円ほど、注射などを行う場合は数千円ほどかかります。

2. 人工授精

タイミング法などで妊娠できなかったときには、人工的に子宮内に精子を注入する「人工授精」を行うことが多くあります。

人工授精とは、男性の精子を採取し、直接子宮内に精子を送り届けて妊娠をサポートする方法です。勃起不全や射精障害など、男性側に不妊の原因が認められる場合にも行われます。

精液を採取したら、そのなかから元気な精子だけを取り出し、排卵に近いタイミングで子宮に注入します。痛みもほとんどなく、数分間安静にしたら普段通りの生活が可能です。

1回当たり、約1~3万円の費用がかかります。

3. 体外受精・顕微授精

人工授精で妊娠できない場合や病気が原因で不妊症になっている場合などには、体外で精子と卵子を受精させてから子宮に戻す「体外受精・顕微授精」を検討します。

体外受精は、女性から卵子を、男性から精子を取り出して体外で受精させ、培養した受精卵を子宮に戻すことで妊娠率を高める方法です。ほとんどの不妊原因に対して有効といわれています。

費用は約20~100万円と他の不妊治療と比べても高額で、受精卵をどれくらい培養するのかでも金額は変動します。

また、精子の状態が悪いときは、「顕微授精」を行います。

顕微授精は、体外受精のように精子と卵子の自然受精を見守るのではなく、精子を体外で直接卵子に注入して授精させ、その後、受精卵を培養して子宮へ戻す方法です。射出精液中に精子が見られない無精子症の人なども、精巣から精子を取り出して顕微授精を行うことで、妊娠できる可能性があります。

費用は約30~100万円と、さらに高額です。

不妊治療の期間はいつまで?

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不妊治療の期間は個人差が大きく、一概にどのくらい、とはいえません。

不妊治療を始めてすぐに妊娠できたという人もいれば、顕微授精まで行っても妊娠できず、妊娠するまで3、4年かかったという夫婦、または途中で治療を休むことを選択した夫婦もいます。不妊治療を始める年齢も違えば、原因も違うので、正確に把握することは難しいのです。

ただ、できるだけ早く始めたほうが妊娠率は高く、治療期間も短くてすむ場合が多いこともわかっています。

人工授精の例でいうと、4周期以上行った場合の妊娠率は、40歳未満で約20%、40歳以上で10~15%です(※2)。

そこから体外受精や顕微授精などの生殖補助医療にすすむと、1回あたりの妊娠率は、20代で41.5%、30~34歳で38.3%、35~39歳で32.0%、40~44歳で18.9%、45歳以上で5.4%です(※2)。

不妊治療を受けるかどうかで考え込む前に、まずは一度婦人科を受診してみてはいかがでしょうか。検査をして不妊の原因を知るだけでも、先に進めます。

不妊治療の費用は?

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不妊治療に必要な費用は、治療方法によって増減します。タイミング法であれば産婦人科への診察料などが中心なので、数千円程度で済むこともありますし、体外受精などを選択すると、1回で数十万円程度かかることもあります。

2016年に「こそだてハック」が実施したアンケートによると、不妊治療に100万円以上かかったという人は全体の34.3%で、300万円以上かかったという人も6.1%いました。また、年齢が上がるにつれて、費用が高額になることもわかっています。

不妊治療に取り組む際には、いくらまでなら費用をかけられるかなど、金銭面の問題も夫婦で事前に話し合っておくことをおすすめします。

不妊治療に保険は適用される?

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不妊治療では、タイミング法などであれば健康保険の対象内に入ることが多く、自己負担額が3割で済みます。ただし、人工授精や体外受精は健康保険の対象外のため、費用も高額になりがちです。

各自治体が用意した助成金などもありますが、それ以外でも金銭的サポートが受けられる手段があるといいですよね。

そこで2016年に、不妊症に悩む夫婦にむけて、民間の保険運用が許可されました。日本生命保険の「シュシュ」や、東京海上日動火災保険の「不妊治療費用等補償保険」などがあります。

加入には条件がありますが、今後不妊治療を考えている人は、検討してみてもいいかもしれません。

不妊治療に男性はどう関わればいいの?

注意

不妊治療では、様々な検査や治療法によって妊娠をめざすことになりますが、1回で妊娠・出産まで到達できるとは言い切れません。そのため、何度やっても妊娠ができない、または、やっと妊娠できたと思ったら初期流産を経験してしまうなど、精神的にも苦しい時期を過ごす女性は少なくありません。

不妊治療を続けるうちに、女性は子供を産みたいと思う気持ちが強くなるのに対して、男性は不妊治療のことよりも、女性の身体や心を心配しての発言や行動が増えていくことが多いようです。そのため女性側からすると、「旦那さんが不妊治療に積極的に取り組んでくれない」と感じることも。

先にも説明しましたが、不妊の原因の半数は男性にあります。治療を行うときは、男性も、不妊の原因が自分にもあると思い、検査や治療を積極的に受けられるようになるといいですね。

また、不妊治療をはじめる前に夫婦でよく話し合い、2人でどのように取り組んでいくか、不妊治療のやめどきはいつかなどを決めておけるといいかもしれません。奥さんのことが心配になるかもしれませんが、赤ちゃんが欲しいという気持ちに寄り添い、夫婦で協力しあって治療に取り組みましょう。

不妊治療は早期開始が効果的

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2010年の調査によると、体外受精や顕微鏡受精で生まれた子供は、すでに約36人に1人の割合になったということです。学校のクラスのなかに1人は、生殖補助医療で生まれた子供がいるということになります(※3)。

不妊治療に不安を感じ、治療を先延ばしにしてしまっている人もいるかもしれませんが、日本でも段々と不妊治療に対する認知が広がってきています。年齢が若いうちから治療を行ったほうが妊娠可能性も高くなるので、夫婦で話し合い、できるだけ早めに取り組めるといいですね。

※アンケート概要
実施期間:2016年9月9日~9月26日
調査対象:不妊治療経験のある女性
有効回答数:827件
収集方法:Webアンケート

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