顕微授精(ICSI)とは?流れや費用、成功率は?受精の確率は?

不妊治療には人工授精と体外受精のほかに、顕微授精(ICSI:intracytoplasmic sperm injection)があります。体外受精と比べても受精率が高いといわれますが、どのような治療法なのでしょうか?今回は、顕微授精の治療の流れや費用、妊娠の成功率、リスクなど気になる点をまとめました。

顕微授精(ICSI)とは?

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顕微授精は約20年前に開発された不妊治療の方法で、精子と卵子を体外で受精させた後に子宮へ戻す点では体外受精とほとんど同じ流れです。体外受精との違いは、体外で精子と卵子を受精させる方法です。

体外受精では卵子に精子を振りかけて自然に受精するのを待ちますが、顕微授精は顕微鏡で見ながらピペットを使って卵子の中に直接精子を注入します。

精子の数が少ない・運動率が低い(活動量が少ない)ときや女性側の卵子の受精力が弱くて自然受精ができないときでも、顕微授精であれば受精をサポートすることができます。一般的に、人工授精や体外受精で妊娠できないカップルが、顕微授精へステップアップします。

顕微授精(ICSI)の治療の流れは?

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顕微授精の治療の流れは体外受精と同じで、大きく5つのステップに分かれます。生理の数日後から始め、「排卵→採卵→精子採取→顕微鏡下で受精→胚移植」という流れで進みます。

1. 排卵させる

ホルモン剤や排卵誘発剤、hCG注射(黄体ホルモン投与)などを使って排卵させます。

2. 採卵する

排卵された卵子を採卵します。麻酔をして、直接膣内に器具を入れて取り出します。

3. 精子採取

病院内か自宅で射精して採取した精子を遠心分離機にかけて、質の高いものだけを選定します。

4. 顕微鏡下で受精させる

顕微鏡で見ながらマイクロマニピュレーターという装置で精子を1つだけ捕まえ、細いガラス管で卵子に直接注入します。

5. 胚移植する

受精卵を培養した上で女性の子宮内に戻します。

顕微授精(ICSI)の費用は?なぜ高いの?

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不妊治療では保険が適用されないため、顕微授精はすべて自己負担となり、費用が高くなります。顕微授精の費用は病院や処置内容によって異なりますが、1回当たりおよそ30~50万円はかかります。体外受精に比べて費用が高いのは、卵子に精子を注入する「顕微授精」の工程自体に約6~8万円の費用が発生するからです。

妊娠率の高い受精卵を生み出すために、何回か顕微授精を行われることが多いのですが、顕微受精では一つの卵子に対して一つの精子を注入しなければなりません。そのため、繰り返し顕微鏡を用いた治療が発生して、金額が高くなってしまうのです。

病院によっては、何個受精卵を生み出す治療を行っても金額が変わらないところもありますが、高くなるとおよそ100万円になるので、治療を受ける前に婦人科で具体的な金額を確認してください。

ただ、顕微授精には保険は適用されませんが、国や自治体から助成金が支給されます。夫婦の合算年収や女性の年齢、在住年数などの条件を満たした場合に助成金を受け取ることができるので、顕微授精を始める前に確認してくださいね。

顕微授精(ICSI)の妊娠確率は?受精の成功率はどれくらい?

確率

顕微授精による受精率は約50〜70%といわれています(※1)。顕微授精を5回すれば2〜3回以上は受精卵ができる計算になります。

ただ、この受精率は病院によって異なり、70%以上とするところや、80〜90%程度とする病院もあります。もし治療を受けている病院で顕微授精の受精率が低いときには、病院の変更を検討してもいいかもしれませんね。

ただし、無事に受精できても、妊娠に成功しない場合はあります。受精卵が子宮内膜に着床して初めて妊娠が成立しますが、顕微授精を受けた人のうち、新鮮胚を用いて妊娠が成功する確率は約5.6%。さらに、妊娠が成立した女性のうち、出産まで至る確率は約70%になります(※2)。

妊娠に成功する確率は年齢にも大きく左右されます。体外受精と顕微授精を合わせて、33歳くらいまでの出産した確率は約20%に対し、40歳では8.8%、45歳では0.8%にまで下がります。顕微授精を行うにせよ、できるだけ若い年齢のうちに治療を受ける必要があります。

顕微授精(ICSI)のリスクはないの?

疑問 クエスチョン

卵子と精子を人工的に受精させたときに、何らかのリスクはないのかと心配になりますが、顕微授精のリスクは自然妊娠によるリスクと大差はないとされています。オーストラリアのある研究グループからは、顕微授精が「先天性異常をもって生まれてくる可能性が高くなることに関連している」という報告例もありますが、科学的に明確な根拠はまだ確定していません(※3)。

そのため不妊に悩んでいる人であれば、現在のところはリスクを不安視して顕微授精を先延ばしするよりも、少しでも年齢が若く妊娠率の高いうちに受けることをおすすめします。

顕微授精のメリット・デメリットも考えながら、早い段階で治療に取り組もう

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顕微授精は、体外受精や人工授精で妊娠できなかった人にとっての希望です。顕微授精は不妊治療の中でも最も高度な医療技術を必要とするため、費用面での負担は大きいものの、数多くの人が妊娠できたことも事実です。

様々な原因で妊娠できないカップルでも顕微授精には可能性があります。不妊に悩んでいるのであれば、治療法の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?

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