子宮卵管造影検査とは?費用や時期は?痛みはあるの?

監修医師 産婦人科医 山本 範子
山本 範子 日本産科婦人科学会専門医。平成5年、日本大学医学部卒。日本大学附属病院および関連病院で産婦人科医として経験を積み、その間に日本大学総合健診センターで婦人科検診にも力を注いできました。現在は港区の日野原... 監修記事一覧へ

不妊の原因を探る方法として、「子宮卵管造影検査」があります。子宮卵管造影検査を行うと「妊娠しやすくなる」という話を聞いたことがある人もいるようですが、本当かどうか気になるところですよね。そこで今回は、不妊検査でも一般的な子宮卵管造影検査について、検査方法やかかる時間、費用、検査時期、痛いのか、妊娠しやすくなるのかなど、気になるポイントをご説明します。

子宮卵管造影検査とは?子宮も検査できる?

子宮 卵管

妊娠は、女性の卵巣から排卵された卵子と男性の精子が出会い、受精卵となって、それが子宮に着床することで起こります。このとき、卵子と精子が出会う場所であり、受精卵が通る道が「卵管」です。

もし卵管に詰まりや癒着、ポリープなどがあると、受精卵が子宮に到着できず、着床もできなくなってしまいます。

「子宮卵管造影検査」とは、その卵管に異常がないかを調べるための検査です。卵管だけでなく、子宮も同時に調べることができます。

子宮卵管造影検査を受けると、下記のようなことがわかります(※1)。

・卵管の通り具合
・卵管の太さ
・卵管の出口周囲の癒着
・子宮の形
・子宮内腔の癒着
・骨盤腔内の癒着

このように、ひとつの検査で様々なことがわかるので、不妊の原因を調べるうえでよく行われます。

子宮卵管造影検査の方法は?

子宮卵管造影検査は、造影剤とレントゲンを使って行います。

造影剤は、普通は見分けがつきにくい部分にコントラストを出すなど、画像を見やすくする作用がある薬です。この造影剤のおかげで、子宮や卵管のなかをレントゲンでくまなく確認することができます。

病院によって若干の違いはありますが、子宮卵管造影検査の一般的な流れは下記のとおりです。

子宮卵管造影検査の方法

1. 腟から子宮内に細いチューブを入れて固定する
2. 子宮口から造影剤を注入する
3. 造影剤が、子宮・卵巣・お腹(骨盤)のなかに拡がる様子をレントゲン写真で確認する

卵管がきちんと通っていれば、注入した造影剤がお腹までスムーズに流れていく様子がレントゲンで確認できます。逆に卵管に何かしらの問題があると、造影剤が通過せず、途中で止まってしまいます。

造影剤が止まった部分がすぐにわかるので、問題がある部分もピンポイントでわかります。

子宮卵管造影検査で見つかる病気は?

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不妊検査の一つとして行われる子宮卵管造影検査ですが、具体的には以下のような異常が見つかることがあります。原因を明らかにして、それぞれの原因に沿った治療を行っていきます。

卵管閉塞・卵管狭窄

精子や受精卵の通り道になる卵管が、なんらかの原因で詰まる、もしくは通り道が狭くなる状態を、卵管閉塞・卵管狭窄と呼びます。

子宮卵管造影検査自体も治療の一つになりますが、症状が進んでいるときは、腹腔鏡、あるいは「卵管形成手術」といった方法で治療を行う場合もあります。

それでも改善が見られないときは、体外受精などの不妊治療を検討します。

ただし、卵管形成手術を行ったほうがいい場合でも、体外受精を優先して行うケースもあります。治療方法については、医師と相談するようにしましょう。

卵管炎

卵管は細菌への抵抗力が弱いため、細菌感染などが原因で炎症を起こすことがあります。避妊具やタンポンを膣内に放置し、衛生状態が悪くなることや、クラジミア・淋菌などの性感染症が原因です。

卵管は炎症によって閉塞しやすいので、卵管閉塞や卵管狭窄に進展し、卵子と精子が受精するときの障害となります。

卵管炎の治療では、原因となっている細菌に効く抗生物質を投与します。重症化してしまうと、手術で癒着部分を切除することもあります。

子宮奇形

子宮奇形とは、子宮が通常とは異なる形になっていることを指し、女性の3.8~6.7%に認められます(※2)。

子宮奇形には種類が多く、症状にも個人差があるので、状態を十分検査する必要があります。

診断されても妊娠が全くできないわけではなく、状態を見ながら、形成手術といった治療法を医師と相談していくことになります。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮の筋肉の一部が増殖してしまい発生する良性の腫瘍です。30~40代の女性に多くみられます(※2)。

良性とはいえ、放置すると大きく成長してしまい、妊娠への影響が見られることがあります。大きさや位置によって、薬の服用や手術で治療を行います。

子宮卵管造影検査にかかる時間は?

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一般的な病院は、子宮卵管造影検査に油性の造影剤を使用しているため、造影剤を注入した直後と翌日の2回、レントゲン撮影を行います。

1日目の検査時間は、10分程度です。翌日のレントゲン撮影も最終的な状態を見るだけなので、それほど時間はかかりません。

水溶性の造影剤を使用している病院では、同じ日に時間をおいて、2回レントゲン撮影を行うこともあります。

所要時間や検査日数は、その病院が取り扱っている造影剤の種類によって異なります。詳しくは検査を受ける病院に問い合わせるようにしてください。

子宮卵管造影検査は痛いの?出血はある?

子宮卵管造影検査では、造影剤を入れるときに痛みを伴うことがあります。痛みの感じ方は個人差があるため一概にはいえませんが、生理痛のような鈍痛だったという人もいれば、かなりの激痛だったという人もいます。

病院によっては、痛み止めを使って痛みを軽減する方法をとっているところもあるので、検査時の痛みが不安なときには、一度相談してみましょう。

子宮の入口や卵管が狭かったり、詰まっていたりする場合や、子宮のなかに癒着がある場合は、痛みを強く感じることがあります。緊張していると、一時的に卵管が狭くなってしまうこともあるので、リラックスして検査に臨みたいですね。

また、子宮卵管造影検査後に出血が起こることもありますが、これは器具を入れた際に子宮内膜を少し傷つけてしまったことが原因と考えられます。ほとんどの場合、出血は数日で止まるので、そこまで心配する必要はありません。

出血がなかなか止まらないときは、検査を受けた病院に相談してください。

子宮卵管造影検査を受ける時期はいつごろ?タイミングは?

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子宮卵管造影検査は通常、生理が終了してから排卵までの間に行います。基礎体温が低い、「卵胞期」という時期です(※1)。

これ以外の時期に絶対行ってはいけないというわけではありませんが、生理中に行うと、生理の血を逆流させてしまう恐れがあります。

また排卵後、受精していることに気づかずにレントゲン写真を撮ってしまうと、受精卵が被ばくしてしまう可能性があります。

どうしても、排卵日周辺や、排卵から次の生理までの間に検査を行いたいということであれば、妊活中でも避妊をしておいた方がいいでしょう。

子宮卵管造影検査をすると妊娠しやすくなる?

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子宮卵管造影検査は治療ではありませんが、造影剤が卵管を通ることによって、卵管の軽度の詰まりが解消され、卵管の通りがよくなることもあります(※1)。

その結果、この検査を受けたあとに自然妊娠することも少なくありません(※3)。

ただしあくまでも検査なので、子宮卵管造影検査を行ったからといって、100%妊娠しやすくなるわけではありません。きちんと不妊の原因を解明し、それにあわせた治療を行うことが大切です。

子宮卵管造影検査の費用はいくら?

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子宮卵管造影検査の費用は、1回あたり5,000~15,000円ほどと考えておきましょう。

基本的に保険が適用されますが、病院によっては保険が適用されない自由診療となっているところもあり、病院によって検査費用に違いがあります。事前に確認しておくと安心です。

また、子宮卵管造影検査を含む不妊検査に対して、助成金を出している自治体も多くあります。検査を受ける前に、お住まいの自治体のホームページや窓口で確認してみることをおすすめします。

不妊検査の一つとして、子宮卵管造影検査を検討しよう

診察

様々なことがわかる子宮卵管造影検査は、不妊治療の方針を立てる上でも大切な検査です。痛みが気になってなかなか踏み出せないという人もいるかもしれませんが、できるだけ早めに受診することをおすすめします。

不安がある人は、納得がいくまで主治医と相談しましょう。リラックスした気持ちで検査に臨んでくださいね。

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