母乳が足りないときのサインは?母乳不足の見分け方はあるの?

監修専門家 看護師・助産師 岡 美雪
岡 美雪 看護師・助産師を免許を取得後、未熟児病棟、脳神経外科病棟、産科病棟で医療業務に従事。その後、医療現場での経験を活かして、青年海外協力隊の看護職としてアフリカに2年間駐在し、現地の医療技術向上に貢献。日... 監修記事一覧へ

はじめて母乳を与えるときは、実際にどれくらい母乳が出ているのか、本当に足りているのか、なかなか感覚がつかめず、心配になるママは多くいます。しかし、足りないときは、ママが気づかないところで何かしら赤ちゃんからサインが出ていることがほとんど。そこで今回は、赤ちゃんに母乳が足りないときのサインや、母乳不足になっているときの見分け方についてまとめました。

そもそも、母乳が足りない原因は?

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母乳が足りない原因は様々あり、まだママの乳腺が開通しきれていない状態や、ストレスや疲れなどで母乳の分泌量が少ない状態であること、赤ちゃんがまだ上手に母乳を吸うことができない、乳首に傷ができた痛みで授乳の回数や時間が少なくなっていることが考えられます。

母乳不足の悩みの多くが、先天的な問題ではなく、後天的な原因です。母乳は赤ちゃんに吸ってもらうことで分泌量が増加しますが、赤ちゃんが吸わないと分泌量が減り、さらに吸ってくれなくなるという悪循環に。できるだけ早めの対策を心がけましょう。

母乳不足の主な原因

・ 授乳回数の減少
・ 食生活の乱れ
・ 水分不足
・ 寝不足など不規則な生活
・ ミルクとのバランスの悪さ
・ ストレスや疲れ
・ 冷え
・ 乳腺の詰まり

母乳が足りないときのサインは?

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母乳が足りないときは必ずサインがあります。初めは感覚がつかめず、うまく母乳が飲めているのかどうかわかりませんよね。おっぱいがなかなか張る感覚がないときは、うまく母乳を分泌していない可能性がありますよ。

ただ、赤ちゃんの哺乳量には個人差があるので、母乳が足りていないのではと心配するよりは、母乳が足りているサインを知っておくと安心です。

母乳が足りているサイン

・24時間以内に、少なくとも8回は母乳を飲んでいる
・授乳中、嚥下の音やごくごく飲みこむ音が聞こえる
・赤ちゃんがいきいきして機嫌がよく、皮膚の状態も健康である
・授乳と授乳の間は満足している様子である
・24時間以内に、色のうすい尿で6~8枚はおむつを濡らす
・24時間以内に、3~8回の便をする(月齢が進むと少し減少する)
・1日平均18~30gの割合で体重が着実に増えている

母乳が不足しているサインには色々ありますが、授乳後に赤ちゃんが不機嫌で泣くときは、必ずしも母乳不足だけが原因ではありません。

赤ちゃんは空腹以外でも、おむつが汚れている、体調が悪いなど様々なことで泣いてしまいます。母乳だけに集中しすぎず、そのほかの部分もチェックして変化に気づいてあげましょう。

赤ちゃんに母乳が足りていないときの目安は?

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赤ちゃんに母乳が足りていないときは、まずは体重をチェックしましょう。月齢が低いうちは、1日に増える体重の目安をクリアしていて、順調に増えていれば足りていると判断して問題ありません。

赤ちゃんの体重が生後3ヶ月には出生時の約2倍、生後1年で出生時の約3倍になるのが平均的な体重増加のスピードです。もし体重が増えない、体重が減少したという場合には母乳が足りていないかもしれません。以下の、1日あたりの平均を参考にしてみてください。

1日あたりの体重増加の目安

● 生後1~3ヶ月:25~30g
● 生後4~6ヶ月:20~25g
● 生後7~9ヶ月:10~20g
● 生後10~12ヶ月:7~10g

母乳が足りないときの対処法は?

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母乳が足りないときは、現在の授乳状況を見直してみましょう。足りていない原因が、姿勢による飲みにくさからきているものなのか、赤ちゃんが乳房をきちんとくわえられていないことなのか、ママの母乳の分泌量が少ないことなのか、それにあわせて対処することが近道です。

以下を参考に、対処法を実践してみましょう。

飲む姿勢を整えてみる・くわえ方をチェックする

まずは基本の横抱きからはじめ、慣れてきたら赤ちゃんのくわえやすい抱き方を見つけてあげましょう。

たとえば縦抱き授乳なら、しっかりと赤ちゃんの下顎が乳房に触れるようにし、乳首だけでなく、乳輪が隠れるくらいまでくわえさせてください。赤ちゃんの唇が内側に入らないよう、アヒル口のような形にするのがポイントです。

乳首だけをくわえている状態は母乳が上手に分泌されないだけでなく、乳頭が傷つき、授乳の回数や授乳時間が少なくなってしまう原因にもなります。

授乳の回数を増やす・ミルクを減らす

授乳の回数を増やしてみるのも一つの方法です。1日に少なくとも8回と考えながら、足りないときは増やしてあげましょう。

授乳間隔や1回の授乳時間を気にせず、飲めそうなときにどんどん飲ませてあげるようにしてくださいね。ミルクと混合の場合は、ミルクを少しずつ減らして、母乳を吸うように誘導しましょう。ただし、あきらかに足りない状態が続いているときは、ミルクも活用しながら様子をみましょう。

ママが睡眠をしっかりとる・体を温める

ママが健康的な食生活と適度なストレス解消をしておくことも、母乳の分泌をよくするのには大切ですよ。赤ちゃんのお世話でなかなか難しいですが、なるべく赤ちゃんと一緒にお昼寝をして睡眠時間を確保したり、パパに赤ちゃんをお願いして、お風呂にゆっくり浸かったりする日を作りましょう。

お風呂は体が温まり、血行を促進する効果もあります。母乳の分泌を促すことにもつながるので、できる範囲で入るようにしましょう。

食べ物を見直す・水分をたくさんとる

食べものを見直すことや、水分をとることは、母乳の分泌に大きく影響します。母乳を上げているときは、乳腺が詰まりやすい脂肪分・塩分・糖分が高い食材やお菓子は避け、和食中心の食事を意識するのがおすすめです。

根菜は体を温める効果も期待できます。水分を摂るのと同時に根菜スープを飲むのも良いですね。体を温めるショウガ入りのドリンクや、母乳の分泌を助けるハーブティーもあるので、上手に取り入れてみましょう。

おっぱいマッサージをする

乳腺が開通していない状態で、赤ちゃんがなかなかうまく吸えない場合は、おっぱいマッサージをしてみましょう。コツをつかめば自分で簡単にできます。難しいときは、母乳外来やおっぱいマッサージを専門で行っている「母乳育児相談」などもあるので、近所で探してみると良いですね。

自分でマッサージをする場合は、手を清潔な状態にして、乳首から約2センチ外側あたりを親指と人差し指で軽くつまみます。そのまま肋骨に向かって内側にゆっくりと押してから、押した先で親指と人差し指をくっつけるようにつまみます。この動きを色々な角度で行いましょう。

母乳が足りないときは、焦らずできるところから対処しよう

母乳が足りない状態が続くと、ママはつい自分を責めてしまいがちですが、はじめからうまく授乳ができるとは限りません。人それぞれ体質があったり、コツをつかむまでに時間がかかったりすることもあります。まずは焦らず、何が原因なのかを冷静に判断してみましょう。

自分でなんとかしようと躍起になってしまうと、ストレスも溜まってしまいます。病院の母乳外来や助産院へ相談してみたり、長期間続くようであればミルクを併用したりしながら、悩み過ぎないようにしましょうね。

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