新生児の授乳の仕方!フットボール抱きって?母乳量や姿勢のコツは?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

産後ママの悩みで最も多いのは、「授乳」に関することです。授乳がうまくいくかどうかは、ママ自身の母乳の出がよいかどうか、赤ちゃんが母乳をたくさん飲んでくれるかどうかなど、実際に産まれてみないとわからないことだらけ。今回はそんな不安の多い新生児の授乳の仕方について、母乳量や抱き方、姿勢のコツなどをご紹介します。

新生児の授乳の仕方は?回数や母乳量は?

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生まれたばかりの赤ちゃんは、たくさんの母乳やミルクを必要とします。初めての育児ではどれくらい母乳やミルクをあげたらいいかわからず、特に母乳はどれくらい飲んでくれているのか、量を正確に把握できないので悩んでしまう方もいます。

生後1ヶ月の新生児は母乳を吸う力が弱いので、少しずつしか飲むことができません。赤ちゃんは一般的に、1日8回以上の授乳をしますが、新生児は1日に10〜12回になることも。回数はあくまでも目安と考えてくださいね。

また、1回あたりの授乳時間は左右それぞれ5〜10分程度にして、回数を多くあげましょう。20分以上の授乳は赤ちゃんにも負担になるので、長くなりそうなら一度切り上げて様子を見てください。

新生児に必要な母乳量は日々の体重でチェック?

新生児 赤ちゃん 体重計 計る

1日に8回以上飲んでいて、1日6回以上おしっこが出ているなら十分に母乳を飲んでいるサインだといわれます。しかし、母乳量が適切かどうかは気になりますよね。

そこで新生児のときから、赤ちゃんの体重を調べておくのがおすすめです。赤ちゃん用の体重計に乗せるか、抱っこしたまま一般の体重計に乗るなどして赤ちゃんの体重を測り、毎日の体重の変化を見ていきましょう。生後1〜3ヶ月頃は1日あたり25~30gほど体重が増えるのが平均的なスピードです。

ただし、1日の体重増加量が少なくても、体重が成長曲線の範囲内に収まっていれば問題ありません。赤ちゃんの体重が増えていれば、平均値や授乳量は神経質になりすぎないでくださいね。成長曲線を下回ってしまうようなら母乳が足りていない可能性もあるので、ミルクを足すなどの対処を検討しましょう。

授乳時の姿勢・抱き方の種類は?フットボール抱きって何?

授乳時の抱き方には色々な種類があります。ママが授乳しやすい姿勢と、赤ちゃんが飲みやすい姿勢があります。ただ、授乳のときに同じ抱き方ばかりをしていると、吸い残しの部分が出てきて乳腺炎を引き起こしやすくなります。色々な抱き方にして、意識的に姿勢を変えて授乳するようにしましょう。

横抱き

母乳 授乳

授乳で最も一般的な姿勢です。授乳する側の腕で赤ちゃんの頭を支え、ママの胸の高さに抱き寄せて授乳する抱き方です。体が小さい新生児では、授乳用クッションなどを使って顔の位置を高くしてあげると授乳しやすくなりますよ。

縦抱き

授乳

座ったママの太ももに赤ちゃんを向かい合わせで座らせて授乳する姿勢です。横抱きに比べて赤ちゃんの顔の位置が高くなるので、口と乳首の位置をあわせやすくなります。体が小さい新生児から、1歳をすぎた赤ちゃんまで行えますよ。

斜め抱き(交差横抱き)

授乳

授乳する側とは反対の腕で赤ちゃんの後頭部を支えながら体全体をママに引き寄せて授乳する姿勢です。まだ体重が軽い時期に、横抱きだけでは飲み残しがある部分を吸ってもらえます。

フットボール抱き

授乳 フットボール抱き

赤ちゃんをラグビーボールのように小脇に抱え、頭だけ脇からおっぱいの方に出すようにして飲ませる姿勢です。赤ちゃんの体を腕で挟むようにして、足はママの体の後ろ側に。授乳クッションや布団で高さを調節すると、腕も疲れず、授乳しやすくなります。乳首が短い、陥没している、扁平などのママにおすすめです。

新生児の授乳時の姿勢のコツは?

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授乳時の抱き方には色々ありますが、授乳をうまくするための体勢には共通のコツがあります。

1. 赤ちゃんの顔をまっすぐ乳頭に向ける

赤ちゃんの顔が乳頭に対して斜めになっていると、乳首を浅く吸ってしまいます。これでは母乳を十分に飲めなかったり、乳頭を傷つけたりする原因になります。乳頭に対して赤ちゃんの顔がまっすぐになるようにクッションなどで高さを調節しましょう。

2. 赤ちゃんの体をよじらせない

体は仰向けなのに、顔だけ横向き、というように赤ちゃんの体がよじれた状態にしないでください。顔がおっぱいから離れやすくなり、乳首を浅くしか吸うことができなくなります。赤ちゃんの耳・肩・腰のラインがまっすぐになるように抱っこしてあげましょう。

3. 前・左右に傾かないようにする

前かがみになったり、左右に傾いたりすると、ママの肩や背中に負担がかかります。また、安定した姿勢をとれず、赤ちゃんがうまく飲めない場合も。ママ自身も、座り心地が良い、リラックスした姿勢を取れるようにしましょう。そして、前や左右に体が傾かないように体を真っ直ぐ支えるための背もたれ・肘掛を用意するのがおすすめです。

いつも同じ姿勢で授乳していると、乳頭に負担がかかって亀裂ができてしまったり、飲まれていな母乳が詰まって乳腺炎を引き起こしたりする恐れがあります。色々な姿勢を試してみて、ママにも赤ちゃんにも負担がない姿勢をいくつか見つけられるといいですね。

新生児に授乳するときの注意点は?

授乳

ママも赤ちゃんもストレスなく授乳するためには、赤ちゃんが飲みやすい角度を見つけてあげることが大切です。乳輪部までしっかりくわえていないと、母乳は出ません。一方で、乳房を押しつけすぎると、赤ちゃんは息がしづらくなってしまいます。

「乳房で赤ちゃんの息がしづらい状態になっていないか」「ちゃんと乳首をくわえられているか」に注意しながら、「赤ちゃんがスムーズに飲み進められているか」を授乳中に確認してみてください。赤ちゃんが飲みやすい角度はどのあたりなのか、授乳を繰り返す中で覚えていきましょう。

新生児の授乳はうまくいかないもの

新生児の赤ちゃんに授乳をすると、慣れないことも多く、これでいいのかと不安や戸惑いを覚えるものです。産後の入院中に、お医者さんや助産師さんから授乳に関する指導を受けますが、疑問に思ったことは質問しましょう。何か心配があれば、退院後も母乳外来を訪れ、助産師さんからアドバイスを受けることも大切です。プロの手を借りて、授乳という母と子の触れ合いの時間を楽しめるよう、工夫していけるといいですね。

また相談するときには、授乳頻度・時間などの記録があると便利です。普段から育児日記帳などにメモしておきましょう。

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