排卵誘発剤とは?注射で不妊治療をするの?費用や種類、妊娠率は?

不妊治療は、妊娠しやすいように排卵日を調べながら取り組むタイミング法から始まり、次のステップとして排卵誘発剤の使用を提案される方が多いと思います。ただ、「排卵誘発剤は費用が高い」というイメージを抱いて、使用を躊躇してしまう人もいます。今回は排卵誘発剤とは何か、その種類や費用、妊娠率についてご紹介します。

排卵誘発剤とは?

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排卵誘発剤は、その名の通り、排卵を促すための薬です。不妊症の原因はさまざまですが、排卵がない「無排卵月経」、生理がない「無月経」、月経周期が異常に長い「希発月経」など排卵障害のある場合に使われます。

利用を決める時期としては、すでに1~2年間タイミング法をとっているなど、なかなか妊娠へ進めないときに、卵の数を増やして妊娠のチャンスを高めるために使われます。また、体外受精や顕微授精の際、採卵する卵子の数を増やすためにも用いられます。

35歳以上の高齢出産で、半年ほどタイミング法で治療しても妊娠しない場合には、排卵誘発剤に使用を勧められることもあります。不妊症の状態と病院の方針などによって異なるので、気になる方は一度婦人科の医師と相談してみてください。

排卵誘発剤の種類は?不妊治療への効果は?

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一口に排卵誘発剤といってもその種類は様々です。大きくは内服薬と注射に分けられますが、以下で代表的な排卵誘発剤をご紹介します。

セキソビット(シクロフェニル)

排卵誘発剤の中には副作用が強いものもありますが、セキソビットは効果自体が比較的穏やかで、副作用が少ない内服薬です。卵巣の中で卵子を包んでいる卵胞の発育を助ける作用があり、排卵はできているが妊娠しにくい人に対して最初の段階で処方される薬です。一般的に月経5日目から5日間内服して、経過を観察します。

クロミッド(クロミフェン)

クロミッドは脳下垂体に作用してFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体刺激ホルモン)の分泌を促す作用をもつ内服薬です。この二つのホルモンが分泌されることで卵胞が成熟し、排卵が促されます。排卵していない場合に処方される最もスタンダードな排卵誘発剤で、月経5日目から5日間内服します。クロミッドを服用しても卵胞が成熟せず排卵が見られない場合には、もう一度クロミッドを服用する2段投与や注射タイプの排卵誘発剤をプラスして処方されることがあります。

テルグリド

妊娠を抑制するプロラクチンの数値が高すぎて排卵・妊娠しにくくなっている場合、プロラクチンの分泌を抑えるためにテルグリドという内服薬が使用されます。毎日続けて内服するのが基本です。

hCG注射

排卵を促す作用のある注射です。クロミッドやhMGで卵胞を成長させたのちに、黄体ホルモンに似た働きをもつhCGを注射することで排卵させます。

hMG注射

FSHとLHが配合されたホルモン注射で、卵胞を成長させる作用があります。月経開始から数回注射されます。hMG注射単体で使用されることもありますが、クロミッドの効果をより高める目的で、補助的に使われることもあります。

不妊治療に臨む方の症状に合わせながら、これらの内服薬や注射が処方されます。内服薬でいえば、上記以外にもメドキロンやルトラールなど、排卵後に妊娠しやすい環境を作る「黄体機能」をサポートするためのものもあります。

排卵誘発剤の妊娠率は?

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クロミッドに適した不妊症の方に対して投与したときの妊娠率は約25~30%です(※1)。これは自然妊娠と同じくらいの妊娠率といえます。排卵の成功率は第1度無月経の方で約7割、無排卵周期症の方では約9割とかなりの高確率です。

ゴナドトロピン療法の場合、排卵率は70~80%,妊娠率は30%前後ですが、基本的にクロミッドで効果が出なかった無排卵周期症の方などを対象にするため、妊娠率は高くなっているといえます。妊娠率はあくまで参考ですが、医師と相談しながら症状に合った治療法を選びましょう。

排卵誘発剤の副作用は?

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排卵誘発剤は、薬の力で排卵を促すためそれぞれ副作用もあります。副作用としては、双子や三つ子で生まれてくる多胎妊娠と、卵巣が腫れてしまう卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などが知られています。

自然妊娠の場合、多児の発生率は1%未満であるのに対して、hMG注射の場合は多胎の発生率が20%、クロミッドでも約5%だといわれています。排卵誘発剤を使用する際はこうした副作用があることも理解しておきましょう。

排卵誘発剤の費用は?

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排卵誘発剤を使用すると高額な費用がかかってしまうと考えている方もいるかもしれませんが、一般的には内服薬も注射も保険が適用されるので、一気に高額な費用になるということはありません。

内服薬は安価に使用でき、たとえばクロミッドであれば1ヶ月あたり保険適用で自己負担額500円程度ですみます。不妊治療はまずクロミッドの投与で経過観察するのが一般的なので、最初から高額な費用がかかる心配はありません。

注射になると少し価格は上がり、1回約400円~1,500円ほどです。それを5~10日間処方され、ここに注射手技料などがプラスされた金額になります。

ただし当然ながら、薬の使用回数が増えればお金もかさみます。薬の投与量が増えると保険適用外になる場合もあり、不妊治療が長引くほどお金がかかってしまうので注意が必要です。なお、内服薬・注射ともに初診料や再診料など別途診察費用はかかります。

排卵誘発剤で不妊治療を乗り越えよう

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排卵誘発剤を使うことで妊娠の可能性を高めることができます。しかし不妊治療は、金銭的・時間的負担に加えて、肉体的・精神的にも負担が大きいものです。仕事や勉強と違って頑張れば結果が出るものでもないので、治療に対して夫婦間に温度差があると、妊娠以前に肝心の夫婦仲が悪化してしまうこともあります。不妊治療に臨むにあたって、治療にかけられる時間や予算を夫婦できちんと話し合うことが大切ですね。

※1参考文献: 日本産科婦人科学会 不妊症治療における排卵誘発法 慶應義塾大学医学部 産婦人科教授 吉村典 1998年

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