妊婦はみかんを食べると体にいい?1日何個で食べ過ぎになる?

監修専門家 管理栄養士 安蒜 ゆい
安蒜 ゆい 病院・保育園にて管理栄養士として献立作成・衛生管理や食育活動に携わり、現在は独立しフリーランス管理栄養士・彩り時短食プランナーとして活動しています。「季節や行事を通して食事・家族の時間の大切さを伝えて... 監修記事一覧へ

日本の冬の風物詩である、こたつでみかん。みかんは、ビタミンCをたくさん含んでいて栄養豊富なので、妊婦さんにおすすめの果物です。今回は、妊娠中のみかんの効果、妊婦はみかんを1日に何個食べてもいいのか、食べるときの注意点などについてご紹介します。

みかんの栄養成分は?

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みかんは果物のなかでも栄養価が高く、ビタミンCをはじめ、ビタミンA(βカロテン)、クエン酸、カリウム、食物繊維、ビタミンP、βクリプトキサンチンといった栄養成分が含まれています。

ビタミンC

ビタミンCには、抗酸化作用、メラニン色素の生成抑制、抗ストレス作用といった効果があります(※1)。免疫力を高める効果もあるため、風邪の予防や治療にも欠かせません。

ビタミンA(βカロテン)

βカロテンは、体内でビタミンAに変換され、風邪予防や目の健康維持に効果を発揮します(※1)。

クエン酸

クエン酸は、柑橘類に含まれる酸味の栄養成分で、疲労回復効果が期待できます。

カリウム

カリウムには、むくみを予防する効果があります(※1)。

食物繊維

食物繊維には腸内環境を整える効果があり、特に便秘の予防や改善に効果があります(※1)。

ビタミンP

みかんの薄皮の白い部分に含まれるビタミンPは、動脈硬化予防に有効だといわれています。できれば、薄皮も残さずに食べましょう。

βクリプトキサンチン

βクリプトキサンチンは、みかんの色の素になる成分で、肝機能障害や骨粗鬆症、生活習慣病などの予防や進行抑制につながると期待されています。


みかんは食べ合わせによっても、様々な効果を発揮します。例えば、みかんとアスパラガスの組み合わせは、胃腸を丈夫にする効果、みかんとブロッコリーの組み合わせは肥満予防の効果があるといわれています。

妊婦はみかんを食べると体にいいの?

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みかんは体にいい栄養成分が含まれていることはわかりましたが、妊娠中に食べるとどのような効果が期待できるのでしょうか。下記で、みかんに含まれる代表的な栄養成分が持つ妊婦の体への効果をご紹介します。

ビタミンC

ビタミンCには、鉄分や葉酸といった妊娠中に必要な栄養素の吸収を高めたり、活性化させたりする効果もあるので、妊婦さんは積極的に摂りたいですね。

ビタミンA(βカロテン)

ビタミンAは胎児の成長に欠かせないため、妊娠中も積極的に摂りたい栄養素です。ただし、動物性のビタミンA(レチノール)を摂取することは控えるようにいわれているので、みかんなど、植物性のビタミンA(βカロテン)を含む食品から摂るようにしましょう。

クエン酸

妊娠中は、ホルモンバランスの影響や体の変化によって、なにかと疲れやすいので、みかんを食べてクエン酸を摂取し、疲労回復につなげたいですね。

カリウム

妊娠中はむくみやすいので、カリウムを効果的に摂取して、むくみを予防しましょう。

食物繊維

妊娠中は便秘に悩まされる女性も多いので、みかんを食べて食物繊維を積極的に摂りたいですね。

妊婦はみかんを1日何個まで食べていいの?

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国立栄養・健康研究所によると、1日あたりの果物の推奨摂取量は200g程度です(※2)。妊娠中だからといって、200gから増やしたり減らしたりする必要はありません。

ただし果物には糖分が多く含まれていて、種類によってはカロリーも高いため、体重増加や妊娠糖尿病の可能性を指摘されている妊婦さんは、食べ過ぎないように気をつけましょう。

平均的なみかんは、1個あたり約100gなので、1日の上限は2〜3個が目安です。ほかの果物を食べたときは、みかんを1個または1/2個にするといったようにバランスを取りながら食べるようにしてくださいね。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によれば、妊婦の1日あたりのビタミンC推奨量は110mgです(※3)。みかん1個あたりには、30~40mgのビタミンCが含まれているので、みかんを1日に2~3個食べていれば、1日に必要なビタミンCを摂取することができますね(※4)。

妊娠中にみかんを食べるときの注意点は?

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妊娠中にみかんを食べるときは、食べ過ぎないように注意をしましょう。食べ過ぎると、下記のような症状が起こる可能性が高まります。

妊娠糖尿病

みかんを一度にたくさん食べ過ぎると、糖質の過剰摂取によって体重増加や妊娠糖尿病を引き起こすリスクが高まります。

妊娠糖尿病とは、妊娠中に分泌されるホルモンの影響で起こる糖代謝異常の一種です。妊娠中は、血液中のブドウ糖を分解する力が低下するため、糖質をたくさん摂取すると血糖値が上がってしまいます。

妊娠糖尿病が悪化すると、妊娠高血圧症候群や早産を引き起こす恐れがあります。また、胎児発育不全や胎児機能不全が起きるリスクも高まるため、妊娠中は糖質の過剰摂取に気をつけましょう(※5)。

柑皮症

みかんを食べ過ぎて手が黄色くなったという話をよく聞きますよね。みかんをはじめとした柑橘類を食べて肌の一部が黄色くなることを、柑皮症(かんぴしょう)といいます。

柑皮症は、柑橘類に含まれるビタミンA(βカロテン)の過剰摂取で、皮膚にカロテンの色素が沈着してしまうために起こります(※6)。柑皮症で胎児への影響を心配する必要はないとされていますが、手が黄色くなっていたら、みかんの食べ過ぎのサインだということを意識しましょう。

妊娠中はみかんを食べて健康的に過ごそう

みかんには、妊娠中の体に効果的な成分がたくさん含まれているので、ぜひ妊娠中の食生活に取り入れたい果物です。

ただし、食べ過ぎると糖質の過剰摂取になり、体重増加や妊娠糖尿病を引き起こす可能性もゼロではありません。適切な個数を食べて、健康的なマタニティライフを送れるといいですね。

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