出産予定日を過ぎたら、どんな対応が必要?運動は効果的なの?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

いつ陣痛がくるのかと、ドキドキしながら待っていた出産予定日。しかし、出産予定日を過ぎても子宮口の開きが遅く、陣痛の兆候も現れずに、拍子抜けしてしまった人も多いのではないでしょうか。出産予定日を超過するのは珍しいことではありません。出産予定日を超過したら、その後は誘発分娩になるのでしょうか?陣痛を促すために運動をしてもいいのでしょうか?今回は出産予定日を過ぎた後の対応について詳しくご説明します。

出産予定日を過ぎることはよくあるの?

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出産予定日は、最後の生理が始まった日を妊娠0週0日として、そこから数えて280日(40週0日目)として定められたものです。280日後という設定は平均的な妊娠期間でしかないので、実際に出産する日が予定日と前後することはよくあります。

また、最後の生理が始まった日を勘違いしていると、出産予定日とずれることもあります。

出産予定日を過ぎたら赤ちゃんはどうなるの?

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出産予定日である妊娠40週0日を経過しても、妊娠37週0日~41週6日までであれば正期産なので、基本的に母体・胎児に大きな影響はありません。

しかし、出産予定日から2週間を過ぎた妊娠42週以降の出産は「過期産」にあたり、母子ともに以下のようなトラブルが現れる恐れがあります。

母体のトラブル

妊娠42週を過ぎると胎盤機能が低下し始める可能性があり、その影響で赤ちゃんに十分な酸素や栄養を送れなくなります。赤ちゃんが機能不全に陥ったり、胎盤が剥がれやすくなったりというトラブルが起こりかねません。

また、羊水が減少して子宮内環境が悪くなることもあります。

赤ちゃんのトラブル

妊娠42週以降は胎盤機能の低下や子宮内環境の悪化で、赤ちゃんが様々なトラブルに見舞われる可能性が出てきます。

特に酸素の供給が減って低酸素状態になると、腸が活発に動き出して羊水内で排便をします。これで羊水混濁が起こり、その便で汚れた羊水を赤ちゃんが吸い込むことで肺炎や呼吸困難を引き起こす「胎便吸引症候群」を発症します。危険な状態になるので適切な対処が必要です。

また、お腹にいる期間が長いと体重が4,000g以上ある巨大児になってしまい難産の原因になることもあります。

出産予定日を超過したら誘発分娩?陣痛促進剤を使うの?

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「出産予定日を過ぎると誘発分娩になってしまう」と心配している人もいるかもしれませんが、出産予定日を過ぎたらすぐに誘発分娩になるわけではないので安心してくださいね。

基本的には、出産予定日を過ぎてからしばらくは自然に陣痛が来るのを待ちます。そして妊娠41週6日目までに陣痛が来ればそのまま自然分娩に入ります。

ただし、早い段階で胎盤の機能が低下していることがわかった場合や、胎児の状態が良くない場合には、誘発分娩に切り替えることも。いつの段階で誘発分娩になるかは、産院の分娩方針や母体・胎児の状態によって異なります。

そもそも誘発分娩は、自然な陣痛がないときに陣痛促進剤などを使い、人工的に陣痛を促して計画的に出産する方法です。陣痛促進剤を使うことに対して不安に思うかもしれませんが、陣痛を促す以外は自然分娩と変わりません。

ママと赤ちゃんの安全のために取られる処置なので、予定日を過ぎたからといって過度に心配しないでくださいね。

出産予定日を過ぎて誘発分娩が適用されるタイミングは?

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妊娠42週に入ると過期産になるので、多くの病院ではその前に誘発分娩を実施します。基本的には、妊娠41週目頃に入院をして、体調管理をしながら陣痛が来るのを待ちつつ、それでもこないときには誘発分娩にするという流れです。

誘発分娩をするかどうか判断するときには、胎盤と胎児の状態をみます。妊娠41週に入っても胎盤の機能が安定していて、胎児の状態も問題なければ入院せずに、しばらく様子を見るケースもあります。

人によっては妊娠42週を過ぎてから自然に陣痛が来て出産することもあるので、しっかりと検査を受けて自分の体と赤ちゃんの状態を管理することが大切になります。

出産予定日を過ぎたら運動してはいけないの?

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出産予定日を過ぎると、周囲から「運動が足りないのではないか?」「階段の上り下りをしたらどうか?」などと言われるかもしれません。昔から運動をすると陣痛が促されるといわれているからです。

陣痛を促すために正期産の時期に入ったら、医師から積極的に体を動かすようにいわれる人もたくさんいます。運動していても出産予定日を過ぎたときは、「このまま運動を続けてもいいの?」と思うかもしれませんが、妊娠経過が良好で赤ちゃんの状態も安定していれば問題はありません。妊娠42週までには出産できるように引き続き体を動かしましょう。

ただ、運動をするときは決して無理はしないでください。妊婦体操や階段昇降、散歩など、軽めの運動が基本ですが、少しでも疲れを感じたらストップして休むことです。陣痛を促さなくてはと考えるあまりに無理をして過労になっては元も子もありません。

「陣痛は来るときには来る」と割り切って、精神的に落ち着いた状態で運動に取り組んでくださいね。また、念のため、妊婦健診時に医師に運動をしてもいいかどうかを確認しておきましょう。

出産予定日を超過しても焦らない

出産予定日を過ぎたら、医師や助産師が万が一のことを想定しながら、赤ちゃんや母体の状態をきちんとチェックしてくれています。何かあれば医師から指示があるので、それに従いましょう。

誘発分娩をすすめられたら、なんらかの理由があるはずなのできちんと医師の話を聞いて検討してくださいね。

ここまでくれば、あとは赤ちゃんが無事に生まれてくれるのを待つばかり。心の準備をしっかりして、落ち着いて出産のときを迎えたいですね。

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