出産予定日を超過するのは珍しいことではありません。ただ、陣痛の兆候がなかなか現れないと「何かしたほうがいいのかな?」と気になってしまいますよね。
今回は出産予定日を過ぎた後の対応について詳しくご説明します。
出産予定日を過ぎることはよくあるの?
出産予定日は、最後の生理が始まった日を妊娠0週0日として、そこから数えて280日(40週0日目)として定められたものです。
280日後という設定は平均的な妊娠期間でしかないので、実際に出産する日が予定日と前後することはよくあります。
2021年のデータでは、満40週以上での出産は総出産数のうち約31%です(※1)。出産予定日ぴったりとなる人は少ないため、このうちの多くは出産予定日より後に出産していることになります。
出産予定日を過ぎたら赤ちゃんはどうなるの?
出産予定日である妊娠40週0日を経過しても、妊娠37週0日~41週6日までであれば正期産となり、基本的に母体・胎児に大きな影響はありません。
しかし、出産予定日から2週間を過ぎた妊娠42週以降の出産は「過期産」にあたり、母子ともに以下のようなトラブルが現れるおそれがあります(※2)。
母体のトラブル
妊娠42週を過ぎると胎盤機能が低下し始める可能性があり、その影響で赤ちゃんに十分な酸素や栄養を送れなくなります。
赤ちゃんが機能不全に陥ったり、胎盤が剥がれやすくなったりというトラブルが起こりかねません。羊水が減少して子宮内環境が悪くなることもあります。
また赤ちゃんが大きくなっていることから、分娩時の傷が大きくなったり、難産になったりするおそれもあります。
赤ちゃんのトラブル
妊娠42週以降は胎盤機能の低下や子宮内環境の悪化で、赤ちゃんにさまざまなトラブルが起こる可能性が出てきます。
赤ちゃんが濁った羊水や溜まった胎便を吸い込んでしまい、生まれてから「胎便吸引症候群」と呼ばれる呼吸障害が起こることがあります。
産道を通り抜けるときに鎖骨を骨折したり、首や肩の神経に障害が起こったりすることもあります。
出産予定日を超過したら誘発分娩?陣痛促進剤を使うの?
出産予定日を過ぎたらすぐに誘発分娩をするわけではありません。
基本的には、出産予定日を過ぎてからしばらくは自然に陣痛が来るのを待ちます。そして妊娠41週6日目までに陣痛が来ればそのまま自然分娩に入ります。
ただし、早い段階で胎盤の機能が低下していることがわかった場合や、胎児の状態が良くない場合には、誘発分娩に切り替えることもあります。
いつの段階で誘発分娩になるかは、産院の分娩方針や母体・胎児の状態によって異なります。
そもそも誘発分娩は、自然な陣痛がないときに陣痛促進剤などを使い、人工的に陣痛を促して計画的に出産する方法で、陣痛を促す以外は自然分娩と変わりません。
ママと赤ちゃんの安全のために取られる処置なので、予定日を過ぎたからといって過度に心配しないでくださいね。
出産予定日を過ぎて誘発分娩が適用されるタイミングは?
妊娠42週に入ると過期産になるので、多くの病院ではその前に誘発分娩を実施します。
基本的には、妊娠41週目頃に入院をして、体調管理をしながら陣痛が来るのを待ちつつ、それでもこないときには誘発分娩にするという流れです。
誘発分娩をするかどうか判断するときには、胎盤と胎児の状態をみます。妊娠41週に入っても胎盤の機能が安定していて、胎児の状態も問題なければ入院せずに、しばらく様子を見るケースもあります。
人によっては妊娠42週を過ぎてから自然に陣痛が来て出産することもあるので、しっかりと検査を受けて自分の体と赤ちゃんの状態を管理することが大切です。
出産予定日を過ぎたら運動してはいけないの?
陣痛を促すために正期産の時期に入ったら、医師から積極的に体を動かすようにいわれる人もたくさんいます。
運動していても出産予定日を過ぎたときは、「このまま運動を続けてもいいの?」と思うかもしれませんが、妊娠経過が良好で赤ちゃんの状態も安定していれば問題はありません。
妊娠42週までには出産できるように、引き続き無理のない範囲で体を動かしましょう。
妊婦体操や散歩などの軽めの運動を基本として、少しでも疲れを感じたら休んでくださいね。
出産予定日を超過しても焦らないで
出産予定日を過ぎたら、医師や助産師が万が一のことを想定しながら、赤ちゃんや母体の状態をきちんとチェックしてくれています。心の準備をしっかりして、落ち着いて出産のときを迎えてくださいね。