妊婦の花粉症対策!妊娠中でも薬は飲める?点鼻薬や目薬は使えるの?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

妊娠してから以前より花粉症が悪化したという人は多いのではないでしょうか。妊娠による体の変化だけでもつらいのに、花粉症が重なったら大変ですよね。また、妊娠中に花粉症対策の薬を服用できるのかどうかも気になるところです。そこで今回は、妊婦さんのための花粉症対策と、妊娠中に経口薬や点鼻薬、目薬などを使ってもいいのかについてご説明します。

そもそも、花粉症はどうして起こるの?

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花粉症は、植物の花粉が「アレルゲン(アレルギーの原因物質)」として鼻や目などの粘膜を刺激し、かゆみやくしゃみ、鼻水などを引き起こすアレルギー性鼻炎の一種です。どの植物の花粉が原因になるかは人によって違い、スギやヒノキといった約60種類以上の植物の花粉がアレルゲンになります。

花粉症が起こるのは、免疫システムが誤作動を起こした結果です。アレルギーがある人の体内では、花粉を退治するために「IgE抗体」が作られますが、この抗体が過剰になると様々な症状を引き起こします(※1)。

IgE抗体は体内に蓄積されるので、毎年花粉に触れているうちに抗体は増え、一定量を超えると花粉症を発症します。

妊娠すると花粉症が悪化するの?

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「妊娠することで体質が変わる」とよくいわれますが、アレルギーが発症したり、逆にアレルギーが治ったりといった様々な例があります。詳しいメカニズムはわかっていませんが、妊娠してホルモンバランスが変わった結果、体質が変化し、花粉症が悪化してしまうケースが多いようです。

今まで花粉症ではなかった人が妊娠を機に花粉症を発症するのも珍しいことではありません。

また、鼻水・くしゃみ・涙目などの症状が出て「花粉症になった?」と思っても、「血管運動性鼻炎」を発症しただけのこともあります(※2)。血管運動性鼻炎は花粉症と似た症状ですが、ストレスが原因で自律神経が乱れたときに、鼻粘膜がむくんで引き起こされる鼻炎です。

妊娠中の鼻水やくしゃみといった症状だけでは、花粉症か血管運動性鼻炎かわかりにくいこともあります。妊娠中の免疫力低下によって風邪を引きやすくなるため、風邪による鼻炎の場合もあります。

症状がひどいときには、まずは病院を受診してどちらなのかを診断してもらいましょう。

妊娠中の花粉症は胎児へ影響があるの?

妊婦 エコー写真

妊娠中にママが花粉症になったからといって、胎児に直接影響を及ぼすことはありません。ただ、花粉症で頻繁にくしゃみをしていると腹圧がかかって、お腹の痛みや張りを感じることもあります。

痛みを強く感じるようなら、くしゃみをするときに手近にあるものをつかむようにするとお腹への衝撃が緩和されますよ。

また、花粉症で鼻の粘膜が腫れているので、ちょっとした刺激で鼻血が出てしまうことがあります。鼻の粘膜を刺激しすぎないように気をつけてください。

妊婦は花粉症の薬を飲める?点鼻薬と目薬は大丈夫?

妊婦 医師 診察

妊娠前から花粉症がひどかった人は、症状を和らげるために薬を飲んでいたかもしれません。しかし妊娠したら薬の服用に気をつけなくてはいけません。

特に妊娠16週頃までは、赤ちゃんの重要な臓器が作られる大切な時期なので、薬の服用はできるだけ控えましょう。それ以降であれば、産婦人科医に相談すれば、ポララミン錠やアレグラなどのアレルギーを抑えてくれる薬を処方してもらえることもあります。

目薬や点鼻薬は、お腹の赤ちゃんに影響を与えることはほとんどないと考えられていますが、耳鼻科や眼科で妊娠中であることと妊娠週数を伝えて、適したものを処方してもらいましょう。

目薬に使われることがある「プラノプロフェン」という成分は、動物実験で出産を遅らせる結果が出たこともあるので、特に妊娠後期の使用には注意が必要です(※3)。

妊娠中に花粉症の薬を使うときは使用時期や避けたい成分もあるため、自己判断で服用するのは止め、きちんと病院で処方してもらってください。

妊娠中でもできる花粉症対策は?

妊婦 タブレット

妊娠前も妊娠中も花粉対策の基本は同じです。花粉に負けない体作りと、花粉に触れる頻度を少なくする生活習慣を心がけましょう。

自律神経のバランスを整える

自律神経のバランスが乱れると、体の免疫力が低下して花粉症が悪化します。不規則な生活リズムや過労、ストレスは自律神経を乱すので、できるだけ健康的な生活を心がけてください。

乳酸菌を積極的に摂る

花粉症の症状をやわらげてくれる栄養素として近年期待されているのが乳酸菌です。乳酸菌がどのように花粉症に作用するかはっきりしたことはまだわかっていませんが、一般医療機関で行われた調査では乳酸菌剤の投与により、約30%以下で効果があったという結果が出ています(※4)。

乳酸菌を多く含むヨーグルトなどを食べるようにすると症状が和らぐかもしれませんよ。

外出時は花粉を防ぐ服装を

花粉の時期は外出しないに越したことはありませんが、なかなかそうはいかないですよね。一番の対策は、体に触れる花粉の量を少なくすること。

マスクと帽子、メガネ、ジャケットなどを着用するようにしましょう。花粉が洋服にくっつくと室内にも持ち込んでしまうので、できるだけツルツルした素材の服を選ぶのもおすすめです。

室内に花粉を持ち込まない

外出時に体についた花粉は、家に入る前に払い落としましょう。帽子や上着などは家の外で脱ぎ、花粉を室内に入れないようにブラシなどで払うと効果的ですよ。うがいと手洗いも忘れずに行いましょう。

部屋に入った花粉は空気清浄機を活用して吸い取ったり、加湿器で花粉を湿らせて床に落としてしまうのもいいですね。

洗濯物は室内干しに

窓やドアは閉めて部屋の換気は控え、洗濯物も室内に干しましょう。どうしても外に干したいときは、洗濯物を取り込むときに花粉をはたいてから、室内に入れるようにしましょう。

妊娠中の花粉症を乗り切ろう

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妊娠初期は薬の服用が制限されるので、花粉症の時期と重なるとつらい日々を過ごさなければいけませんよね。マスクやメガネを使ったり、室内にできるだけ花粉を入れないようにしたり、できるだけ花粉に触れないような対策をしていきましょう。

また、日々の食事や生活リズムに気をつけて、健康的でストレスのない生活を送ることも大切です。

症状がひどいときには、妊娠16週を過ぎたあたりで薬の使用も検討しましょう。産婦人科の医師や助産師とも相談しながら妊娠中の花粉症を乗り越えられるといいですね。

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