授乳中でも花粉症になることはあります。くしゃみや鼻水、涙などでイライラしたり、集中力が続かなくなったりして辛いですよね。子育て中はゆっくり休む時間も取れないから薬を飲んで治してしまいたいと思う一方で、母乳を通じて赤ちゃんに薬の影響が出てしまうのではと不安になることも多いでしょう。そこで今回は、授乳中の花粉症対策として、薬を使っていいのか、薬以外の対策法はあるのかなどを紹介します。
授乳中の花粉症対策の基本は?
花粉症とは、花粉に対して体が起こすアレルギー反応です。異物である花粉が体の中に入ってくると免疫が働き、体が花粉をくしゃみで吹き飛ばそうとしたり、鼻水や涙で洗い流そうとするのです。
たとえ今は花粉症ではなかったとしても、大量の花粉を鼻から吸い込んだり、目に入ったりすると、体の中で花粉に対する抗体が作られて何かのきっかけで花粉症を発症しやすくなります。そのため、授乳中の花粉症を予防するには、花粉になるべく接しないことが重要です。
また、授乳中に花粉症を発症してしまったら、なるべく早めに治療することも重要です。発症した直後に治療をすれば、粘膜の炎症が進むのを止め、早く正常化させることができるからです(※1)。
授乳中の花粉症に薬は使える?市販薬はあるの?
授乳中の花粉症には抗アレルギー薬が使えることもあります。
抗アレルギー薬はママが使っても母乳に出にくい薬が多く、母乳から赤ちゃんの体内に入ったとしてもその量はわずかなため、花粉症のときに使っても赤ちゃんに影響が出ることはまずないとされています。
ただし、なかには強い眠気を催す薬もあるので、それらは授乳中の花粉症対策として使うのは避けた方がいいでしょう。
以下は、愛知県薬剤師会が授乳中のママでも使えるとしている花粉症用の薬です(※2)。中には、製造元が授乳中の使用を避けるべきだとしている薬もあるため、各薬を使用する前に使ってもいいか医師に確認してくださいね。
ペミラストロカリウム
「アレギサール」という名の薬として処方されることがある抗アレルギー薬です。アレルギー性鼻炎や気管支喘息の治療に使われることが多いものの、ステロイド薬や抗ヒスタミン薬とは違い、すでに起こっている発作や症状をすぐに軽くしてくれる薬ではありません。
ただしアレギサールの製造元は授乳中の使用を避けるべきだとしているため、医師に使用していいか確認してください(※3)。
フェキソフェナジン塩酸塩
アレルギー性鼻炎や蕁麻疹、アトピー性皮膚炎の治療用として使われることが多い抗アレルギー薬です。「アレグラ」という錠剤が代表的な市販薬ですが、製造元は授乳中の使用を避けるべきだとしているため、こちらも使用していいかどうかはかかりつけの医師に相談してください(※4)。
ロラタジン
「クラリチン」という名で市販されている抗アレルギー薬です。アレルギー性鼻炎や蕁麻疹の治療にも使われますが、製造元は授乳中に使用しないことを推奨しています(※5)。
予防的治療のための皮内注射
花粉症の予防的治療の一つとして、スギ花粉のエキスを希釈したものや人免疫グロブリン・ヒスタミン二塩酸塩と呼ばれる薬を注射する方法があります。
どちらも授乳中にママがこれらの治療を受けても、赤ちゃんには影響がないと考えられています(※2,6)。
ステロイド点鼻薬
花粉症用に処方されるステロイド点鼻薬は、鼻の粘膜から吸収されて血中に入る割合は極めて低いとされています。そのため、授乳中に使用しても問題ないでしょう(※2)。
ロイコトリエン拮抗薬
シングレア、オノン、キプレスといった名称で処方されるロイコトリエン拮抗薬も、母乳に含まれづらいため、授乳中の花粉症治療で使われることがあります。ただし、人での研究が不十分なため、使用する前に医師に相談した方がいいでしょう(※7)。
授乳中の花粉症対策は薬以外にないの?
授乳中に行える花粉症対策の中には、次のように薬を使わずにすむものもあります。いずれも、花粉になるべく接しないようにするための対策です(※1)。
● マスクをする
● 外から帰ってきたらうがい、洗顔をする
● 表面がすべすべした綿かポリエステルなどの化学繊維の服を着る
● メガネをかける
● 外出時に帽子をかぶる
● 毛皮のコートを着る場合は静電気防止スプレーをかける
これらの対策以外にも、規則正しい生活を送ることやアルコール、タバコを控えること、風邪をひかないことも花粉症を悪化させないために重要です(※1)。
授乳中の花粉症に効果がない対策もあるの?
授乳中の花粉症対策として行っても、効果があるかわからないものもあります。具体的には以下のとおりです(※1)。
甜茶を飲む
甜茶に含まれる甜茶ポリフェノールは、アレルギーに関係する物質の「ヒスタミン」の作用を和らげる効果があるとされています。しかし、花粉症に効くというデータが十分ではないのが現状です。
ヨーグルトを食べる
ヨーグルトなどを食べて腸内細菌を良い状態にするとアレルギーが出にくくなると考えられていますが、効果は明らかではありません。
鼻の穴にクリームを塗る
鼻の穴に塗るクリームなどが市販されていますが、薬効成分が含まれていないため花粉症自体を治す効果はありません。花粉が鼻の粘膜に付く前にクリームがブロックしてくれることはあるかもしれませんが、効果が十分に明らかになっていないのが現状です。
授乳中の花粉症は予防と早めの治療を!
授乳中であっても、そうでなくても、花粉症対策は予防が大事です。前述の対策を参考に、日頃からなるべく花粉に接しないようにしましょう。
また、もし花粉症になってしまったら、すぐに治療を始めましょう。治療が早ければ早いほど悪化させずにすみます。
「授乳中だからどうせ薬を飲めないし、病院へ行っても意味がない」と思うかもしれませんが、授乳中に使っても問題ないとされている薬もあります。一度、医師に診てもらいましょう。
日頃の対策を心がけ、早く花粉症の症状が軽くなるといいですね。