授乳中に風邪薬は飲める?市販薬や葛根湯は?薬を飲まずに治すには?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

授乳中に風邪をひいても、赤ちゃんへの影響が心配でなかなか薬を飲めませんよね。しかし、授乳中であっても、育児疲れがたまっていると抵抗力が落ちて風邪をひきやすくなりますし、またいくら気をつけていても風邪をひいてしまうこともあります。そこで今回は、授乳中に風邪薬を飲めるのか、葛根湯や市販薬の服用や、風邪をひいてしまったときの薬に頼らない治し方についてまとめました。

授乳中に風邪薬は飲める?パブロンやルルなどの市販薬は?

風邪薬

授乳中は市販の風邪薬を「絶対に飲んではいけない」というわけではありません。実際に母乳を通して赤ちゃんに影響を与える薬というものは、とても限られています(※1)。

市販薬に書いてある授乳中に関する注意書きは、予防的な観点から記載されているものがほとんどです。

例えば、パブロンゴールドA(大正製薬)や新ルル-A錠s(第一三共ヘルスケア)には「授乳中の人は本剤を服用しない、もしくは本剤を服用する場合は授乳を避ける」という注意書きがあり、授乳中のママは飲むことができないとされていますが、用法・用量をきちんと守っていれば、授乳中のママが飲んでも、大きな問題が起こるとは考えにくいでしょう。

そうとはいえ、体調や体質、置かれている状況には個人差があるもの。授乳中に風邪をひいたら、自己判断で市販薬を服用することは避け、まず病院を受診し、薬を処方してもらうのが一番です。

それでも、どうしても市販薬でなんとかしないといけない状況であるならば、薬剤師さんに相談のうえ、「使用上の注意」欄に「授乳中の使用」についての注意書きがない薬を選ぶようにしてください。

薬の成分や添付文書の内容は変更になる可能性があるので、最新の情報を常にチェックし、使用上の注意をみる癖をつけましょう。

授乳中に飲める市販の風邪薬は?カフェインにも注意

注意点

授乳中の風邪薬はカフェインの含有量にも注意が必要です。カフェインを含む風邪薬を飲んだことによって、母乳を通じて赤ちゃんがカフェインを摂取する可能性があります。

赤ちゃんはカフェインへの感受性が高く、摂取量によっては興奮して落ち着きがなくなったり、眠れなくなったりするので、授乳中のママには注意が必要です。ちなみに、授乳中のカフェイン摂取に関しては、1日2~3杯のコーヒーくらいの量であれば問題はないとされています。

カフェインが含まれている風邪薬

例えば、新エスタックW(エスエス製薬)やパイロンS(塩野義製薬)は授乳中の使用についての記載はありませんが、カフェインが含まれています。

カフェインが含まれていない風邪薬

パブロン50(大正製薬)や鼻風邪に効くストナリニS(サトウ製薬)、咳や痰に効能があるコンタックせき止めST(グラクソ・スミスクライン)は、授乳中に関する記載はなく、カフェインも含まれていません。

手軽に購入できる市販薬は、育児中のママの強い味方ですよね。ただ前述のとおり、注意書きは改定されることもあるので、ドラッグストアや薬局で薬剤師さんに相談しつつ、注意書きを良くチェックしてから購入するようにしてくださいね。

それでも授乳中の服用が心配であったり、風邪の症状が重いとき、時間と気持ちに余裕があるときは、きちんとお医者さんに診てもらったうえで、母乳に影響のない薬を病院で処方してもらうのが一番安心ですよ。

授乳中に漢方薬は飲める?葛根湯は?

漢方 グッズ

漢方薬は、西洋薬に比べて安全だというイメージがありますが、薬によっては食欲不振などの体調不良を引き起こすこともあります。漢方薬は、個人の体調や症状に合わせて漢方の専門医に処方してもらうことで最も効果が出る薬なので、できればお医者さんや専門医に診てもらったうえで処方してもらいましょう。

また、葛根湯は授乳中でも飲めるとされている薬で、乳腺炎にも効果を発揮するといわれています。漢方のなかでも比較的効き目がおだやかなので服用しやすいと有名な薬ですが、風邪の引きはじめでないと効果が出ないといった注意点もあります。葛根湯でも、できれば市販されているものではなく、処方してもらうと安心ですね。

授乳中の風邪の薬に頼らない治し方は?

野菜 スープ

母乳に影響がない薬があるとはいえ、どうしても風邪薬に抵抗がある人や産後体質が変わって薬が合わなくなる人もいます。そのようなママには、民間療法で風邪を治すことをおすすめします。

症状がひどくなると治るのに時間がかかるので、「風邪かな?」と感じた時点ですぐに対処することが大切です。

いちに休息

風邪を引いたと思ったら、症状が回復するまではできるだけパパやおじいちゃん・おばあちゃんに赤ちゃんのお世話をお願いしましょう。少しでも睡眠をとって、とにかく体を休めることです。悪化すると、より周りの人の協力が必要になってしまいますよ。症状が軽い初期の段階でも無理せず、「早く治す」ことが一番です。

体を温める

寒気を感じたり、だるさを感じた風邪の引きはじめ時点で、体を温めましょう。温かい飲み物で体の内側を温め、首・足首・手首を温かくして布団に入ります。発熱して汗をかいたら、こまめに着替えて体を冷やさないよう心がけ、汗で失った水分をたくさんとってくださいね。

暑さを感じたら、首元・脇の下・太ももの内側を氷枕や冷却ジェルシートなどで冷やします。暑いのを我慢してさらに温めると、かえって体力を消耗してしまいますよ。

滋養のある食事を摂る

風邪のときの食事には、滋養効果の高いにんにくや体を温める根菜類のスープなどがおすすめです。消化の悪いものや刺激の強いものは胃腸に負担をかけるので避けましょう。どうしても食欲がないときはあまり無理をせず、少しずつ食べてくださいね。

咳には、はちみつ・大根・パイナップル!

はちみつには抗菌作用のある酵素や咳止めに効くポリフェノールが含まれています。そのまま舐めるのも良いですが、はちみつ大根を食べるのがより効果的です。大根には喉の炎症を抑える効能がありますよ。

パイナップルにも喉の炎症を抑える酵素が含まれ、ビタミンも豊富なので風邪に良い食べ物とされています。はちみつ入りのフレッシュパイナップルジュースなら、食欲がないときでも飲みやすそうですね。

以上、薬に頼らない治し方をご紹介しましたが、風邪の症状が重いときや長引くときは、一時的に母乳をストップして薬を飲む決断も必要です。薬を飲むのを我慢して症状を長引かせてもママ自身が大変ですし、赤ちゃんや家族に風邪をうつすリスクも上がってしまいますよ。

風邪をひきやすい授乳中のママは、予防が大切

授乳中は、赤ちゃんに栄養を与えないといけない上に、子育てが大変な時期です。まとまった睡眠をとりにくく、育児の疲れから抵抗力が弱まった状態で、いつもより風邪をひきやすくなっています。風邪が流行る時期などは特に予防が大切ですよ。

出かけるときはマスクをし、外から帰ったらしっかり手洗い・うがいをしましょう。部屋が乾燥しないように室内の湿度を50~60%程度に保ち、こまめに室内の空気を入れ替えることも大切です。また、毎日栄養バランスのとれた食事と十分な水分をとり、規則正しい生活習慣を心がけてくださいね。

布団の中で横になるだけでも体を休められるので、育児疲れを感じているときは、家事はそこそこに、赤ちゃんと一緒に昼寝するなど、できるだけリラックスした時間をつくってくださいね。

ママの健康は家族みんなにとっても大切

赤ちゃん 抱っこ

産後のママは心身ともにストレスが溜まっているうえに、自分自身の不調やケアはつい見落としてしまいがちです。

しかし、ママが健康でいることは、ママ自身のためだけでなく家族全員にとっても大切なことです。少しでも体調の変化を感じたらすみやかに対処し、ママ自身や赤ちゃんだけでなく、家族全員が健康で過ごせる毎日を心がけてくださいね。

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