臨月に入り、もうすぐ赤ちゃんに会えると思うとワクワクしますよね。そして、正期産の時期(妊娠37週0日~41週6日)であれば、いつ破水が起こっても不思議ではありません。突然破水するとびっくりしてしまうかもしれないので、適切な対処方法や必要な準備を事前に知っておきましょう。今回は破水したらどうしたらよいか、救急車を呼んでもいいのかなどをご説明します。
そもそも破水って?
破水とは、胎児や羊水を包んでいる卵膜が破れて、羊水がママの体外に流れ出る状態をいいます。
一般的には、陣痛の感覚が短くなってきたら産婦人科へ向かい、徐々に子宮口が開いて、分娩中に破水が起きることが多いですが、陣痛の前や子宮口が開く前に破水することもあります(※1)。
そのため、自宅で出産を待っている間に破水を経験する、という妊婦さんも少なくありません。
破水したら、すべきことは?
破水したら、まずは落ち着いてかかりつけの産婦人科へ電話し、医師の指示に従って行動してください。
電話はできるだけ妊婦さん本人から掛けましょう。別の人が間に入ると正確な状況や指示が伝わりにくくなりますし、医師は妊婦さんの声の感じからも状況を読み取れることもあります。
破水かどうか分からない場合も、自己判断で放置したりせず、産婦人科に連絡して指示を仰ぐようにしてくださいね。
また、病院に着くまでは、夜用など大きめのナプキンや清潔なタオルなどをあてて対処しましょう。車に乗るときは、できるだけ車内を汚さないよう大きめのバスタオルをシートに敷いてから乗るといいですね。
破水が起こるタイミングには個人差があり、特に体を動かしていないときでも破水する可能性があります。どんなときでも、まずは落ち着いて行動しましょう。
外出先で破水したらどうする?
外出先で破水した場合も、いきなり病院に向かわず、まずは産婦人科に電話で連絡してください。
臨月に入ったら、いつ破水が起きても大丈夫なように、お産パッドやナプキンを持ち歩くと安心です。
また、出産間近の妊婦さんは、医師の指示を受けてすぐかかりつけの産科に向かえるよう、あまり遠くに外出するのは控えるようにしましょう。
破水後に救急車を呼んでもいい?陣痛が来たらいいの?
陣痛の前に破水が起こっても、すぐに分娩になることはほとんどないので、破水しただけで救急車を呼ぶ必要はありません。
ただし、動けなくなるほどの痛みがある、大量の出血がある、赤ちゃんの頭が出てきている、といった異変があれば、すぐにかかりつけの産婦人科へ連絡して判断を仰ぎましょう。医師が必要と判断すれば、救急車を手配してもらえることもあります。
陣痛がきた場合も、出産が始まるまでに長時間かかることが多いので、タクシーや車などで病院に向かうよう、産婦人科医から指示されることがほとんどです。
しかし、特に経産婦さんの場合は、破水をしたあと急に陣痛間隔が短くなるケースもあります。救急車を呼ぶ必要はありませんが、すみやかに病院に行けるよう、車を手配したり、上の子の預け先に連絡をしたりと、早めに準備を進めるようにしてください。
破水後にシャワーは浴びてもいい?やってはいけないことは?
羊水は、胎児がスムーズに産道を通るための潤滑油のような役割を果たすだけでなく、外部にいる菌からの感染を防ぐ働きもします。
そのため、赤ちゃんを包む卵膜が破れて破水し、時間が経過すると、細菌が腟内から入り込み、子宮内感染を起こすリスクがあります。
また、胎児の頭が骨盤内に下がってきていれば、破水をしても、通常、子宮口は胎児の頭でふさがり、出てくる羊水の量もそれほど多くなく済みます。
ただし、逆子だったり、まだ頭が十分下がってさがってきていなかったりする場合、子宮口の隙間から臍帯(へその緒)が腟内にはみ出してしまうことがあります。すると、臍帯が胎児と子宮壁との間に挟まれて、胎児が低酸素状態に陥る恐れもあります(※1,2)。
赤ちゃんの命を守るため、次のことに気をつけましょう。
入浴やシャワー、ウォシュレットは厳禁
破水後は、浴槽やトイレのなかの菌が腟から侵入し、胎児が感染する恐れがあるので、入浴やシャワー、ウォシュレットは使わないでください。
もし破水に気づかず、入浴などをしたという場合は、産婦人科医に連絡してその旨を伝えましょう。
車の運転はNG
痛みがないから、家に誰もいないからといって妊婦さん本人が車を運転しないようにしましょう。また、徒歩や公共交通機関で産婦人科に向かうのも避けたいところです。
動き回ると羊水がどんどん出てしまいますし、病院に着くまでに何が起こるか分かりません。タクシーを呼ぶか、家族の運転する車で病院へ向かいましょう。
正期産の前に破水したらどうする?
正期産の時期に入る前に破水してしまった場合も、すぐかかりつけの産婦人科に連絡して指示を仰ぎましょう。病院で破水であるかどうかの検査をし、破水でなければ帰宅して様子を見ていきます。
破水と診断された場合、すぐに入院となることがほとんどです。感染を防止するため、母体に抗生物質などを投与して、できるだけ妊娠を継続させる処置をとります。
破水に備えてしておきたいことは?
臨月に入ると、いつ出産兆候が見られてもおかしくないので、破水に限らず出産に向けた準備として、次のことを済ませておきましょう。
あまり遠出しない
正期産の時期に入ったら特に、遠出や人混みへの外出は控えましょう。また、近場でも妊婦さん1人での外出は無理をしないでくださいね。
出産予定日が近づくとそわそわして落ち着かないかもしれませんが、家のなかでスクワットをしたり、階段の昇り降りをしたりしながら、陣痛がくるのを待ちましょう。
外出時に母子手帳や健康保険証を持ち歩く
どうしても外出が必要なときは、外出先で破水や陣痛が始まっても落ち着いて対処できるように、母子手帳、診察券、健康保険証、携帯電話、連絡先を書いたメモ、大きめのタオル、お産パッドなどを持ち歩きましょう。
陣痛タクシーやマタニティタクシーを予約しておく
タクシー会社の連絡先を書いたメモを持ち歩いたり、家の冷蔵庫など家族にもわかりやすいところに貼っておいたりするといいですね。
お住まいの地域によっては「マタニティタクシー」や「陣痛タクシー」など妊婦さんをサポートするサービスもあるので、事前に登録しておくことをおすすめします。
産婦人科まで運転する予定の家族は禁酒を
夜間に陣痛が始まる可能性もあるため、病院まで運転する予定の家族には飲酒を控えるなど、いつでも動けるように協力をお願いしましょう。
入院の準備もバッチリに
入院に必要な荷物はあらかじめバッグに詰めておき、玄関に近い部屋などに準備しておきましょう。
万が一、外出先で破水し、身ひとつで病院へ行かなければならなくなったときでも、あとからすぐ家族に持ってきてもらえるように、荷物をまとめておいてくださいね。
破水がいつどこで起きても落ち着いて対応を
破水は、赤ちゃんの頭が下がってくる圧力によって卵膜が破れて起こるものなので、いつどこで起きるのかは誰にも予想できません。
予期せぬタイミングで破水すると慌ててしまうかもしれませんが、まずは深呼吸をして、落ち着いて産婦人科に連絡しましょう。いつどこで破水してもすぐ対処できるよう、事前に持ち物などを準備しておいてくださいね。