ノンストレステスト(NST)とは?見方や目的は?検査はいつから?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行って... 監修記事一覧へ

出産が近くなると、ノンストレステスト(NST)が行われることがあります。赤ちゃんの健康状態を確認するこの検査ですが、実際にどのようなことが行われ、何がわかるのでしょうか。そこで今回は、ノンストレステストとは何か、また、見方や目的、いつから受けられるのかなどをご紹介します。

ノンストレステストとは?

検査 グラフ ノンストレステスト

ノンストレステスト(NST)とは、ママにも赤ちゃんにも負担がかからない方法で、分娩のときと同じ胎児心拍モニターをつけて、お腹の赤ちゃんの心拍数の様子から、胎児の状態を判断する検査です(※1)。

検査の簡単さや高い安全性から、多くの産婦人科で行われています。

ノンストレステストの目的は?

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ノンストレステストは、お腹にいる赤ちゃんが子宮のなかで健康な状態であるか、ママの子宮収縮があるときに苦しそうな反応をしていないかなど、状態が良好であることを確認する目的で行われます。

ノンストレステストのように胎児の心拍のパターンを調べる検査は、お腹の赤ちゃんが低酸素状態にないことを確認するのに有力な検査方法だと考えられています(※1)。

ノンストレステストはいつから受けられる?

カレンダー 日付 期間

ノンストレステストは、妊娠22週以降で必要があれば、いつでも行われます。ただし、妊娠20週台前半では赤ちゃんが小さく、すぐに動いてしまうため、心拍数を連続して観察することは難しいのが現状です。

ノンストレステストは妊婦さん全員が受けるものではなく、赤ちゃんの発育が鈍いとき、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群があり、胎盤の機能が低下している可能性があるときなど、赤ちゃんやママの状態が悪くなっている疑いがあるときに推奨されます。

ノンストレステストは一度の場合もありますが、検査を受けるきっかけになった問題が続く場合には、定期的に何度か行われる場合もあります。

受けられる期間や対象は病院によって異なる場合があるので、不安があれば通っている産婦人科医に相談しましょう。

ノンストレステストの見方は?

病院 妊婦 妊娠後期 検診 診察

ノンストレステストでは、赤ちゃんの心拍数が一時的に上がるかどうかを見ます。この反応の多くは、胎動にともなって見られることが多いものです。

正確には、一過性頻脈が20分以内に2回以上確認されれば、胎児の状態は良好であると判断されます。

一過性頻脈とは、ある一定期間のうちに、赤ちゃんの心拍数が早くなる動きのことです。

心拍数が上がり始めてからピークまで30秒未満、ピークのときの心拍数は、普段よりも1分間あたり15回以上多くなるペースで、元に戻るまでの時間が15秒以上2分未満のものをいいます(※2)。

ここで気をつけたいのが、ノンストレステストによって一過性頻脈が20分以内に2回以上確認できなかったとしても、すなわち赤ちゃんに異常があるということではないということです。

一過性頻脈が確認できないことは、たまたま胎動が少ないタイミングで検査が行われた場合や、ママが薬を飲んでいる場合など、さまざまな要因で起こる可能性があり、実際にお腹の赤ちゃんの体に異常が起きている確率は50%未満と考えられています。

念のためさらに詳しい検査を行うことはありますが、ノンストレステストで良い結果がでなくても、すぐに悲観的になる必要はありません。

ノンストレステストで異常が見つかったら?

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ノンストレステストによって一過性頻脈が20分以内に2回以上確認できなかった場合、お腹の赤ちゃんの状態をもう一度確認するために、以下のようなさまざまな追加検査が行われます。

コントラクションストレステスト(CST)

コントラクションストレステストとは、お腹の赤ちゃんの状態を調べるテストとして、ノンストレステストが現れる前まで主流だった検査の方法です。

陣痛促進剤を使うことで人工的に子宮収縮を起こし、出産時の陣痛を再現してお腹の赤ちゃんの心拍数を計測するもので、赤ちゃんに多少なりとも負荷を与える点が、ノンストレステストとは大きく違う部分です。

ノンストレステストよりも感度が高いため、わずかな赤ちゃんの体調悪化も見つけることができます。

ただし、切迫早産や多胎妊娠、前置胎盤などが起きている場合は、ママや赤ちゃんの体に危険が及ぶ可能性があるため、コントラクションストレステストが行われることは多くありません(※3)。

BPS

BPSとは、超音波を使って、

● 胎児の呼吸のような運動
● 胎動
● 胎児の手や体の曲げ伸ばし
● 羊水量

の4種類の検査を行い、これにノンストレステストを加えた5種類の検査で判断するものです。

それぞれに評価基準があり、それを満たしているかどうかの点数制でお腹の赤ちゃんの異常を察知します。

点数が低い場合は再検査が行われたり、一刻も早く出産したほうがいという判断になれば、場合によってはそのまま出産を迎えたりすることもあります。

ノンストレステストは気にしすぎないで

ノンストレステストは、お腹の赤ちゃんに異常がないかどうかを調べるために行われる検査です。

ノンストレステストが行われる場合、その多くはお腹の赤ちゃんに何らかの変化が起きているのではないかと疑われている状況のため、ママ・パパは不安な気持ちになるかもしれません。

しかし、もしノンストレステストで、判断基準となる一過性頻脈が確認できないと医師に言われても、すぐには心配しなくてもよいでしょう。

この検査ではっきりした結果が出なかったからといって、必ずしも赤ちゃんが悪い状態になっているとはいえないからです。

たまたま赤ちゃんが大人しくしていただけの可能性もあり、次の検査で異常がないことがはっきりすることもしばしばあります。またコントラクションストレステストやBPSなどの精密検査を追加することで、赤ちゃんが元気であることが確認されることも多くあります。

ママやパパにとっては、赤ちゃんの異常が疑われたら当然心配になるでしょう。しかし、ノンストレステストはいわば「大まかな検査」なので、その結果を心配しすぎることはおすすめしません。

ノンストレステストの結果やその説明に不安を感じたときは、主治医によく相談して不安を解消し、赤ちゃんとともに出産まで健やかな日々を過ごしましょう。

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