ラマーズ法とは?呼吸のやり方や効果は?練習方法を教えて!

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

出産当日の痛みをやわらげる方法はいくつかありますが、なかでもすぐに実践できるのが「呼吸法」です。「ヒッヒッフー」という独特の呼吸をする「ラマーズ法」は、誰でも一度は耳にしたことがあると思いますが、正しいやり方はわからないという人も多いのではないでしょうか。今回はラマーズ法について、呼吸の仕方や効果、練習方法についてご説明します。

ラマーズ法とは?

本

ラマーズ法とは、フランスの産科医F・ラマーズが編み出した出産方法です。

「ヒッヒッフー」という出産当日の呼吸法が注目されがちですが、妊娠中から呼吸法や筋肉をゆるめる方法を練習して、出産に主体的に取り組む気持ちを高めることを目指しています。

実は、パートナーも一緒に呼吸法を練習するのが本来の方法で、お産のときにパートナーが付き添うことで、妊婦さんの不安や緊張を取り除くという目的もあります。

現在では、ラマーズ法をベースとしたさまざまな呼吸法が広まり、日本国内でもラマーズ法を採用している病院や助産院が多くあります。

ラマーズ法の呼吸法って?どう練習するの?

出産

ラマーズ法のポイントのひとつは、「呼吸法」です。

いざ陣痛やお産の痛みが来たときにリラックスできるように、妊娠6~7ヶ月頃から下記の方法で繰り返し練習することが推奨されています。

呼吸法の基本は、「吸う」ことよりも「吐く」ことに意識を集中させることです。

楽な姿勢をとり、目は少し開いて1点を見つめるようにし、上半身の力を抜いて、少しお腹をふくらませるように、静かに長く息を吐いていきます。

息を吐ききったあとは、あまり意識せず自然にまかせて短く息を吸います。

ラマーズ法では筋肉をゆるめる弛緩法も大切

出産

お産のときは、無意識に緊張したり、痛みを我慢したりするために、全身に力が入ってしまうものです。そこで、「弛緩(しかん)法」という、緊張している状態から意識的に力を抜き、リラックスする方法も、妊娠中から練習するよう推奨されます。

練習するときは、背筋を伸ばしてあぐらをかき、手のひらを上に向けて太ももに軽く置きます。ゆったりと呼吸しながら、頭のてっぺん、おでこ、まゆげ…と、足の先まで順番に意識しながら力を抜いていきます。

ポイントは緊張とゆるみ(弛緩)の違いを感じながら、ゆったりとした呼吸で力を抜くことです。だんだんと体に覚えさせていくことで、出産当日は心身のバランスが最も良い状態で出産することができるといわれています。

ラマーズ法はお産の進み具合で変わる?

ラマーズ法の呼吸法は「ヒッヒッフー」というイメージが強いと思いますが、最初から最後までこれを行うのではなく、陣痛の間隔や子宮口の開き具合などにあわせて、以下のように呼吸のリズムを変えていきます。

本陣痛が10分間隔になってから子宮口が全開になるまでの「準備期」「進行期」「極期」と、赤ちゃんが産み出される「娩出期」に分けてご説明します。

準備期(子宮口0~3cm)

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このときは、陣痛の痛みがまだそれほど強くありません。3秒くらいかけて鼻からゆっくり吸って、また3秒くらいかけて口からゆっくり吐くのが基本の呼吸法です。しっかりと息を吐き出せているかを意識してください。

痛みに耐えられる間はこの呼吸リズムを続けながら、緊張をほぐして体の力を抜いていきます。

進行期(子宮口4~7cm)

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痛みが少し強くなって基本の呼吸リズムがつらくなってきたら、「ヒッ、フー」の呼吸リズムでに変えていきます。

鼻から息を吸ったあと、口から短めに「ヒッ」、長めに「フー」と吐き出します。息を吐くことを意識して「フー」としっかり吐ききれば、息を吸おうとしなくても自然に吸いこめるようになります。

極期(子宮口8~9cm)

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陣痛がきつくなってきたら「ヒッヒッフー」の呼吸リズムにします。

陣痛の波に合わせて、「ヒッ、ヒッ」と短く2回吐いたあと、「フー」と深く長めに意識して吐きます。多少のいきみはこの呼吸で逃せるので、体の力は抜いて、全身をリラックスさせることを意識します。

もし、思いきり息を吐いてもいきみを逃すことができず、子宮口が全開になるまで時間がかかりそうなときは、「フー」と吐いたあとに、喉から上の方に向けて「ウン」と小さく声を出します。

娩出期(子宮口10cm、全開大)

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子宮口が全開になったら、赤ちゃんが生まれるまであと少し。陣痛の波に合わせて2回深呼吸して、3回目で息を止め、肛門からグッと押し出す感じで1~2秒いきみます。

いきみを止めるように言われたら、口をあけて「ハッ、ハッ、ハッ」と短く呼吸して次のタイミングを待ちます。陣痛が遠のいているときは意識して体の力を抜き、リラックスします。

赤ちゃんの頭が出てきたら、いきまず全身の力を抜くようにします。「フー、フー」と深くゆっくり息を吐くと、赤ちゃんがスッと出てきます。

ラマーズ法をするときの注意点は?

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ラマーズ法を知っていたとしても、「いざお産となったら、陣痛の痛みと精神的なパニックで、呼吸法や弛緩法どころではなかった」という先輩ママも多いようです。

そのため、ラマーズ法をお産に取り入れたいときは、妊娠中から繰り返し練習しておいて、お産当日には自然とリラックスした状態を作れるようにしておきたいですね。

陣痛の痛みで力が入ってママが息を止めてしまうと、赤ちゃんに酸素が行きわたらず、苦しくなってしまいます。ぐっと力を入れて痛みを我慢しようとするのではなく、自然な子宮収縮の力を利用して赤ちゃんを産み出すイメージを持ちましょう。

ラマーズ法をマスターすることで、赤ちゃんが苦しくなるのを防ぐことができ、結果的に安産につながるといわれています。練習を行うときは、前向きに取り組んでくださいね。

ラマーズ法でスムーズなお産を!

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はじめての出産を迎えるママも、すでに経験していてその痛みを知っているママも、お産当日が近づくにつれて不安や緊張がつのるもの。そんなときこそ、ラマーズ法を練習したり、出産の流れをイメージしたりして、気持ちを落ち着けましょう。

自治体や産院などで開かれている母親学級に出てみると、出産当日の流れやラマーズ法などについて教えてもらえることもあります。また、パパも参加できる両親学級(父親学級)なら、パートナーの意識も高まって、一緒に出産を乗り越えようという絆が強まりますよ。

最近では、ラマーズ法のほかにも「ソフロロジー法」や腹式呼吸をゆっくり行うだけの指導など、呼吸に意識を向けることで陣痛を緩和し、全身の力を抜いてお産を進める方法はいくつかあります。医師やパートナーと相談しながら、自分に合った分娩法を実践できるといいですね。

ほかにも、母子ともに元気にお産を乗り切れるよう、会陰マッサージやスクワットなどできる限りの準備をしておきましょう。

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