なかなか咳が治まらないことが多い「マイコプラズマ肺炎」。しばらく学校や保育園を出席停止になってしまう可能性もあり、学童期の子供を持つママ・パパにとっては特に気になる病気ですよね。今回はマイコプラズマ肺炎にかかっているかどうかを判定する、検査方法や診断方法をご紹介します。
マイコプラズマ肺炎とは?
マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌が、飛沫感染や接触感染によって感染することで起こる病気です。子供から大人まで年齢を問わずかかりますが、6歳以上の学童期が発症のピークで、子供がかかりやすい病気といえます(※1)。
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマに感染してから2~3週間の潜伏期を経て、最初は発熱や頭痛、全身のだるさなどの症状があらわれます(※2)。
咳は、発症後3~5日経ってはじまることが多く、最初は乾いた咳で、徐々に強くなり、後半は痰が絡んだような咳に変わります(※2)。咳は熱が下がったあとも続き、3~4週間治まらないこともあります。
それ以外の症状としては、
● 鼻水やくしゃみ(特に幼児に多い)
● 嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状(約25%に見られる)
● 耳の痛み(約25%に見られる)
● 発疹(約6~17%に見られる)
などがあります(※2)。
また、頻度は低いものの、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群など、さまざまな病気を併発することもあります(※3)。
マイコプラズマ肺炎の検査方法は?時間はどれくらいかかるの?
肺炎マイコプラズマに感染しているかどうかを判定するためには、いくつかの検査方法があります。そのなかでも、特に下記の方法が病院での検査によく使われています。しかしどの検査法にも欠点があります。
LAMP法(マイコプラズマ核酸同定検査)
咽頭ぬぐい液(扁桃腺の粘液を採取用の綿棒で採取する方法)や痰を用いて、60分程度で判定が可能な検査方法です(※4)。感度が高いのが特徴ですが、発症後間もないときに検査をすると、正確に判定できないことがあります。
また、キットとは異なり専用の機械が必要であり、外来診療であれば、1~2日かかります。
迅速診断キット
インフルエンザと同様にのぬぐい液で検査することができます。ただし、菌の量がマイコプラズマでは少ないために、陽性と判断されることが少ないという欠点があります。
他にもいくつかの検査法が
これらの他にも、体内から採取した細菌を培養することで診断する「分離・同定法」、「血清学的診断法」、「直接的蛍光抗体法」などがあります(※5)。
しかし判定までの時間がかかるため、実際に病院で使われることはほとんどありません。また血清の抗体を短時間で調べる方法もあるものの、誤反応が多く推奨されていません。
マイコプラズマ肺炎だと検査で診断されたら、どうやって治すの?
マイコプラズマ肺炎の治療には、細菌に対して効果がある抗生物質の投与が行われます。
マクロライド系の抗生物質を投与することが多いものの、マクロライド系に対して耐性のあるマイコプラズマが存在していることが明らかになっています。
そのためもし、マクロライドを使用後2~3日経過しても解熱しない場合は、トスフロキサシン・テトラサイクリンといった抗生物質の使用が検討されることになります(※6)。
ただしテトラサイクリンは、一過性ながら骨の発育が遅れる、歯が変色するなどの副作用があるため、原則として8歳未満には使用されません(※6)。
マイコプラズマ肺炎の診断後は登校できる?
マイコプラズマ肺炎を含むマイコプラズマ感染症は、学校保健安全法で第三種感染症として扱われる場合もある「その他の感染症」に指定されており、登校や登園は、症状が改善し、全身状態が良ければ可能とされています(※7)。
ただし、学校や自治体によっては、独自の出席停止期間を定めていることもあります。マイコプラズマ肺炎にかかったらいつまで登校できないかについては、通っている学校に問い合わせてみてください。
マイコプラズマ肺炎と疑われるときは病院で検査・診断を
発症後すぐの段階では、「マイコプラズマ肺炎かも」と疑うような特異な症状はほとんどありません。しかし発熱がなかなか治まらなかったり、咳がだんだんひどくなってきたりしたら、マイコプラズマ肺炎のサインかもしれません。
マイコプラズマ肺炎は迅速診断キットやLAMP法により、診断がより早く正確になってきています。適切な検査を受けることで、その後の診断や治療もスムーズに行うことができますよ。