子供がかかりやすい感染症の一つに「マイコプラズマ肺炎」があります。一般的に、抗菌薬を使って治療にあたるのですが、最近では一部の抗菌薬が効かないケースも現れています。そのような場合、どうやって対処すれば良いのでしょうか?今回はマイコプラズマ肺炎の治療法について、薬の種類や、処方された薬が効かないときの対処法などをご紹介します。
マイコプラズマ肺炎とは?
マイコプラズマ肺炎とは、肺炎マイコプラズマという細菌に感染して、肺が炎症を起こす病気です。マイコプラズマ肺炎の感染者は、幼児期から青年期にかけてが中心で、7~8歳にピークがあります(※1,2)。
マイコプラズマに感染すると、2~3週間の潜伏期間を経て、発熱や倦怠感、頭痛、痰を伴わない乾いた咳などの症状が現れ、次第に悪化します。発熱も4〜5日継続して、熱が下がった後も、咳は3~4週間ほど続きます。
マイコプラズマ肺炎は、無菌性髄膜炎や脳炎、中耳炎などの合併症を引き起こす恐れもあり、発熱や咳が続いている場合には、マイコプラズマ感染も考えて、すぐに医師に診てもらいましょう。
マイコプラズマ肺炎の治療法は?薬は効く?
マイコプラズマ肺炎の治療は、主に薬物療法になります。肺炎マイコプラズマを滅したり増殖を抑えたりするための抗菌薬が処方されます。治療を始めてから数日以内に解熱して、約1〜2週間ほどで症状が治まっていきます(※3)。
薬が効いて症状が治まってくると、「もう薬は飲ませなくてもいいかな」と服用を中止してしまう人がいますが、完治するまでは細菌が体内に残っている状態なので、自己判断で薬の服用を中止するのは避けましょう。
症状がぶり返してしまう可能性もあるので、処方された分はすべて飲み切るのが基本です。症状がひどい場合は、入院治療が必要になることもあります。
マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法において第三種の感染症として分類されており、日常生活に支障がない程度の咳となれば、登園可能とされています。
マイコプラズマ肺炎に薬が効かないときは?
マイコプラズマに効く抗菌薬には、マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系などいくつかの種類がありますが、そのなかでもマクロライド系のエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンがはじめに使われることが多くあります(※4,5)。
しかし、マクロライド系の抗菌薬に耐性を持つ「マクロライド耐性菌」が2002年より増加傾向にあります(※6)。マクロライド耐性菌に感染した場合、マクロライド系の薬が効かないことがあり、テトラサイクリン系やニューキノロン系など別の種類の抗菌薬に変える必要があります。
症状の改善が見られないときは、処方された薬が効いていない可能性があるので、医師に相談してください。
ただし、テトラサイクリン系の抗菌薬を8歳以下の子供に2週間以上使うと、歯が黄色になったり、骨の発達に影響が出たりすることがあります(※7)。また、ニューキノロン系の薬には子供の関節障害を引き起こすものもあるので、処方された薬のことで不安や疑問に思うことがあったら、悩まず医師に尋ねるようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎に薬が効かないときは早めに相談を
マイコプラズマ肺炎を発症させた場合、医師に処方された薬をきちんと飲み切り、症状が改善するまでは自宅で安静にしてください。処方された抗菌薬がマイコプラズマ肺炎に効かないケースもあるので、薬を飲み始めたのに熱が下がらないときや、咳がひどくなるときは、早めにかかりつけの小児科に相談しましょう。
完治するまでは子供の様子を注意深く観察し、分からないことや不安に思うことがあったら、医師に相談することが大切です。