ときどき子供の間で流行して、ママやパパを不安にさせる「マイコプラズマ気管支炎」。特徴的な症状としては長引く咳が挙げられ、発症すると、子供がしばらくつらい思いをしてしまうことになります。それでは、どのように対処すればいいのでしょうか?今回はマイコプラズマ気管支炎について、原因や症状、治療法、予防法などをご紹介します。
マイコプラズマ気管支炎とは?
喉から肺につながる気管支に炎症が起きた状態を気管支炎といい、肺炎マイコプラズマという細菌によって発症した気管支炎を「マイコプラズマ気管支炎」と呼びます。
以前は4年に1回、夏季オリンピックの年にマイコプラズマ感染症が流行する傾向にあったので「オリンピック病」と呼ばれていたのですが、現在ではこの周期性は見られなくなってきています。
マイコプラズマ感染症は、通常5歳以上の子供がかかり、特に10~15歳の頃がかかりやすいとされています。(※1)
マイコプラズマ気管支炎の原因は?人にうつるの?
マイコプラズマ気管支炎を引き起こす肺炎マイコプラズマは、主に感染者の咳やくしゃみを通して、人に感染します。感染してから発症するまでの潜伏期間は、菌の増殖がゆっくりなので2~3週間と長く、知らず知らずのうちに感染が拡大してしまっていることがあります(※2)。
幼稚園や保育園、学校など集団生活の場で感染が広がりやすいため、通っている園や学校で感染者が出たときは、注意が必要です。
マイコプラズマ気管支炎の症状は?
マイコプラズマ気管支炎にかかると、発熱や倦怠感、頭痛など、風邪と似た初期症状が現れます。
そして、コンコンという乾いた咳が出て、次第に咳がひどくなっていくのが特徴です。熱が下がった後も、咳が3~4週間続くことがあります(※2)。
マイコプラズマ感染症は肺炎を起こして重症化することがあるので、注意が必要です。また、中耳炎や鼓膜炎や発疹を伴うこともあります(※1)。
一般的に小児の方が、軽症で済みやすいのも特徴の一つです(※3)。
マイコプラズマ気管支炎の診断方法は?
発熱や長引く咳などの症状が長引き、マイコプラズマ感染症が疑われるときは、診断のために血液検査などが行われます。
また、胸部X線検査を行い、気管支炎になっていると、レントゲン写真で気管支の部分に影が強く現れます。肺炎の場合には、肺に明らかな白い影が写し出されます(※4)。
マイコプラズマ気管支炎の治療方法は?登校・登園できる?
マイコプラズマ気管支炎は、マクロライド系の抗生物質を服用して治療するのが一般的です。家では安静にして、水分補給をしっかり行います。
症状が良くなってきたからといって、薬の服用を途中でやめてしまうと、完全に治りきらずに再発する恐れがあります。医師の指示に従って、処方された薬はきちんと使い切るようにしてください。
しかし、近年では、このマクロライド系抗菌薬の効果がない耐性株(耐性を持った細菌)も出てきているので注意が必要です。薬の服用をしても改善が見られない場合は、医師に相談しましょう。
マイコプラズマ感染症は、学校感染症の第三種に分類扱されています。第三種は出席停止の措置がとられる可能性があるため、マイコプラズマ気管支炎を発症した場合は、医師と学校・園に相談したうえで、登校・登園するべきかを決めるようにしましょう。
一般的には、解熱して日常生活に支障がないレベルの咳であれば登園は可能となっています。
マイコプラズマ気管支炎の予防法は?
現段階では、マイコプラズマ感染症に対するワクチンはないので、基本的な感染症予防を行います。帰宅時の手洗いとうがいを徹底し、日頃から十分な睡眠と栄養をとりましょう。人混みの多いところでは、マスクの着用を心がけましょう。
子供がマイコプラズマ気管支炎を発症した場合は家族に感染が拡大する可能性があるので、寝室を別にしてあげて、看病をするときはマスクをつけるようにしてください。
マイコプラズマ気管支炎のサインに注意
マイコプラズマ気管支炎が発症し始めの頃は、風邪と見分けがつきにくく、単なる風邪として対処してしまう可能性があります。学童期以上の年齢の子で、発熱が続く、咳がどんどん悪化するなどの異変が見られたら、すぐに小児科を受診するようにしましょう。
風邪に見えても、完全に治るまで子供の様子をしっかり観察し続けることが大切です。