マイコプラズマ肺炎は、いわゆる「肺炎」のなかでも、発症例が多い病気の一つ。熱や咳が長引くことも多く、なかなか治りにくいという特徴があります。今回は、子供がマイコプラズマ肺炎にかかったら、保育園や幼稚園は何日くらい休まなければいけないのか、登園できるのはいつからかについてご紹介します。
マイコプラズマ肺炎とは?
マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌の感染により起こります。季節を問わずかかり、患者からの飛沫感染や接触感染によりうつります。肺炎マイコプラズマに感染した子供のうち、約10%がマイコプラズマ肺炎になるといわれています(※1)。
マイコプラズマ肺炎は、細菌が感染してから2~3週間の潜伏期間を経て、発熱や頭痛、全身のだるさといった症状から始まります(※2)。発症してから3~5日後には乾いた咳が出始め、だんだんとひどくなっていきます。
咳は熱が下がったあとも続き、子供の場合は鼻水やくしゃみが出ることもあります。
その他にも、以下のような症状がみられます(※2)。
● 声のかすれ
● 喘鳴(呼吸時にゼイゼイ・ヒューヒューと音がすること)
● 耳の痛み
● 喉の腫れと痛み
● 下痢や腹痛、嘔吐
● 胸の痛み
● 発疹
マイコプラズマ肺炎は、長引く咳が一番の特徴です。最初は乾いた咳でも次第に痰を伴う湿った咳に変わり、3~4週間続くこともあります(※2)。
マイコプラズマ肺炎は、肺炎のなかでは比較的症状が軽く、入院が必要になることはあまりありません。ただし脳炎や肝炎、膵炎、ギランバレー症候群などを合併することも稀にあり、注意が必要です(※1)。
マイコプラズマ肺炎は保育園や幼稚園に通う年齢で発症しやすい?
マイコプラズマ肺炎の患者のうち、約80%は14歳以下です(※3)。マイコプラズマ肺炎は、子供がかかることが多い病気といえるでしょう。
子供がかかる肺炎のうち、マイコプラズマ肺炎が占める割合は、6歳以上の子供で約60%、2~6歳未満で約25%です(※4)。一方、2歳未満の発症はそれほど多くありません。
また、肺炎マイコプラズマは、比較的濃厚な接触がある場合に感染しやすいといわれています。そのため、狭い場所に大人数がいる保育園や幼稚園、接触が多い家庭内で感染が広がりやすい病気です。
マイコプラズマ肺炎にかかったら保育園に通えなくなるの?
マイコプラズマ肺炎は、発熱することが多い病気です。当然ながら、発熱している間は保育園や幼稚園に通うことはできません。
熱が下がっても、激しい咳が続いているときは自宅療養が必要となります。これは本人がつらいからというだけでなく、咳によって周りにうつしてしまう可能性があるからです。
マイコプラズマ肺炎は、発症の2~8日前から細菌を排出しはじめ、発症直後から1週間程度をピークとして、その後も4~6週間は細菌の排出が続くといわれています(※2)。特に発症後1週間は、感染力が高いので注意が必要です。
なお、保育園や運営する自治体によっては、独自に登園停止期間を定めていることもあります。詳しくは通っている保育園に問い合わせてみてください。
マイコプラズマ肺炎で保育園を休んだあと、登園はいつから?
マイコプラズマ肺炎にかかったらいつから登園できるかという基準は、明確に定められているわけではありません。
しかし厚生労働省によると、「発熱や激しい咳が治まっていること」が、登園再開の目安としています(※5)。夜中に咳で起きることがなくなったり、食欲や元気が戻ったころ、と覚えておくといいでしょう。
いつから登園できるかは、医師や保育園の判断により異なることがあるので、受診した病院や通っている保育園に聞いてみるといいでしょう。
なお登園するときには、病院が登園に支障がない状態になったと判断したことを証明する、登園届の提出を求められることもあります(※5)。
マイコプラズマ肺炎で保育園を休んでいる間の対処法は?
マイコプラズマ肺炎は、マクロライド系やテトラサイクリン系・ニューキノロン系の抗生物質を使用することで、発熱の期間を短縮することができます(※2)。しかし咳に対してはあまり効果がないとされています。
また家では、咳のつらさを改善するために、以下のような対処を行ってみましょう。
● 部屋の湿度を上げる
● ほこりが舞わないようにこまめに掃除をする
● マスクを使って喉を保湿する
● 喉を潤すために少しずつ水分を補給する
● 寝ているときに上半身を少し起こす
また、はちみつや大根を食べることで、喉の炎症や咳を改善する効果が見込めるとされています。
マイコプラズマ肺炎にかかったら、保育園を休んでしっかりと回復を
働くママ・パパにとって、子供が病気で保育園を休むというのは一大事。咳が続いていても、本人がつらくなさそうであれば、「早めに保育園に通わせたい…」と思う気持ちもあるでしょう。
しかし、咳が出ているのに保育園に通わせると、本人もつらい上に、周りにうつしてしまう可能性も十分にあります。病院や保育園の指示に従って、登園できるまでは自宅で安静にして、しっかりと治すことが大切ですよ。